転職で好印象を与えられる 「柔軟性の自己PR」の伝え方【例文付き】

ビジネスで成果を出すために必要な「柔軟性」。転職活動の自己PRにおいても、企業から評価されやすい能力のひとつですが、伝え方を間違えると効果的なアピールにはなりません。

この記事では、そもそも企業が求める柔軟性とはどんなものか具体的にどんなことを伝えればいいのかを、順を追って解説します。

【書く前にチェック】企業が求める柔軟性とは?

柔軟性とは、ルールや従来の考え方に囚われず、状況に合わせて臨機応変に対応できる力のことを指します。他者の意見を受け入れる、顧客に合わせて対応を変えるなど、仕事で求められることが多い能力です。

また、昨今は社会情勢の移り変わりや技術の進歩に合わせて、事業や業務内容が目まぐるしく変化しているため、企業としてはこれらに対応できる柔軟性を持つ人材を求める傾向があります。

ただし、企業が求めている柔軟性がどんなものか理解しておかないと、柔軟性をアピールしたつもりが、単に「優柔不断な人」「自分の意思がない人」と不本意な評価をされてしまうことになりかねません。

企業が求めている柔軟性とは、「臨機応変に対応して、成果を上げられる力」のこと。あくまで目標を達成するための手段として柔軟な対応をとり、成果に繋げてきたことをアピールしましょう。

▼もし「柔軟性」のアピールが難しいと感じた場合は、こんな能力をアピールする手も
責任感 / 忍耐力

柔軟性をアピールできるエピソードとは?

柔軟性をアピールして説得力のある自己PRにするには、単に「柔軟性があります」「状況に応じて臨機応変に対応できます」と言うのではなく、その柔軟性を裏付ける具体的なエピソードを加えましょう。

また、「不測の事態にも臨機応変に対応することで○○といった成果を出した」と、結果まで伝えることが重要です。

たとえば、「○○といったトラブルがあったが、従来のやり方に捉われず行動し、△△という成果を出した」「××という課題に直面したが、周囲からの指摘やアドバイスを素直に受け入れ、やり方を変えて□□という成果につなげた」など、結果も含めた具体的なエピソードを伝えて効果的なアピールにつなげましょう

なお、柔軟性をアピールできるアクションの例としては、下記のようなものが挙げられます。これまでの経験を振り返り、当てはまるものがないか考えてみましょう。

「柔軟性」をアピールできるアクションの例

成果を上げるために…

  1. 要望に合わせて、柔軟に対応した
  2. 新しいやり方を業務に取り入れた
  3. 指摘やアドバイスを素直に受け入れた

【例文】柔軟性の自己PRの書き方

次に、柔軟性をアピールする自己PRの書き方を見てみましょう。

説得力のある自己PRにするために伝えるべき内容・話の流れには、おすすめのパターンがあります。具体的には「(1)自分の強み」→「(2)根拠となるエピソード」→「(3)自分の強みをどう活かせるのか」の3つの要素を、順番に書いていきましょう。

先ほど紹介した「柔軟性をアピールできるアクションの例」にそって例文を用意したので、こちらを手本に自己PRを作成していきましょう。

1.要望に合わせて、柔軟に対応した

〈例文〉

(1)
現職では4年間にわたり機械部品の営業を担当しております。そのなかで培ってきた強みが、柔軟に対応する力です。

(2)
たとえば、お客様から急な納期の前倒しを依頼され、通常納期では納品が間に合わないケースがありました。そんな状況でもお客様の要望を叶える手段が無いか考え抜き、営業メンバー間で在庫を融通し合ったり、生産部門と掛け合って増産体制を整えたりすることで、お客様の要望を叶えてまいりました。対応を評価していただき、取引を拡大してくださったお客様も数多くいます。

(3)
知恵を絞って柔軟に対応し、困難な状況を解決する力は、貴社の業務でも活かせると考えております。面接の機会をいただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。

〈ポイント〉

  • 柔軟性をアピールする際の基本形として「相手の要望に合わせて、柔軟に対応した」ことを伝えるのがおすすめ。
  • ただし、要望を叶える過程で創意工夫がないエピソードではアピール力不足。対応能力を見られているので、困難な状況のなかでも要望を叶えるために「最適な方法を自分で考えた」「工夫や調整をした」など、自分なりに考えて行動したエピソードを伝えると効果的。

2.新しいやり方を業務に取り入れた

〈例文〉

(1)
新しい技術や周囲の意見を柔軟に取り入れて、課題の解決に繋げられる点が私の強みです。

(2)
前職では3年間にわたり、テックリードとして自社向けのWebアプリケーションの開発に上流から携わってまいりました。案件の特徴として短納期のものが連続することが多く、円滑に進行するには業務の効率化が必要不可欠という課題がありました。

そのため、開発期間が終わるごとに次の案件に向けて開発手法の改善を実施。開発に関する業界内の技術トレンドや、メンバーから収集した「改善の余地がある箇所」の情報などをもとに、開発フローの見直しや、ときに開発言語の変更といった抜本的な見直しも行ってまいりました。

従来の手法にとらわれず業務フローの改善を行った結果、開発効率の改善に成功。当初の目標を上回るペースで開発を行えたことで、この3年間で70以上のプロダクトをリリースしてまいりました。

(3)
課題の解決に向けて自発的に情報収集を行い、柔軟に対応できる能力を活かして、貴社の開発業務にも貢献したいと考えております。

〈ポイント〉

  • 社内外から最新の情報を集めて業務に取り入れる」「周囲の人のやり方を真似して柔軟に取り入れる」といった自発的な行動も、柔軟性のアピールに使えるエピソードのひとつ。
  • アピールする際には、「課題を解決するためにどんなことを業務に取り入れ」「その結果どうなったか」を伝える。

3.指摘やアドバイスを素直に受け入れた

〈例文〉

(1)
現職では総務担当として2年間、主に機器・備品の管理を行ってまいりました。そのなかで発揮してきた「アドバイスを素直に受け入れて、柔軟に行動を変えていく姿勢」が私の強みです。

(2)
現職では当初、機器や備品の管理を自作の管理表を使って行っていました。この状態でも業務をまわすことはできていましたが、「もっと管理を効率化できないか」「重複業務が発生していないか」と指摘されたことをきっかけに改善の必要性に気づき、行動を起こしました。

具体的には、業務の棚卸しを行い、管理項目の見直しや重複作業の洗い出しを実施。表計算ソフトの扱いにくわしいメンバーにもアドバイスをもらい、一部の業務を自動化するといった改善を行いました。

その結果、業務効率を20%改善。以降は「もっと効率化できるところはないか」「ほかのメンバーの知恵を借りて、効率化できないか」と考える習慣が身に付きました。

(3)
貴社においても、指摘や意見を受け入れて行動を柔軟に変えていく姿勢を強みにパフォーマンスを発揮し、貢献していきたいと考えております。

〈ポイント〉

  • 指摘やアドバイスを素直に受け入れて、行動を変化させたエピソードも、柔軟性をアピールする際に効果的。
  • ただし、「言われたとおりに動いているだけ」「自分の意思が無い」といった印象にならないよう注意が必要。指摘やアドバイスを受けたうえで解決策を自分で考え、成果に繋げたことを伝えられると理想的。

4.相手に合わせて、柔軟にコミュニケーション方法を変えた

〈例文〉

(1)
介護の現場において、さまざまな状況に合わせて柔軟に対応する力が強みだと考えております。

(2)
現在勤務している介護施設では、基本的に、利用者の方への対応は研修内容やマニュアルをもとに判断していました。その一方で、個人の特性に合わせた対応も必要だと考え、利用者それぞれの特性と対応をまとめた資料も自発的に作成しております。

たとえば「一度決めたことを変えづらい」という特性を持った利用者の方を説得する場合、こちらの意見を押し付けるのではなく本人の意思を尊重することが大切だと考え、複数の選択肢を提示しご本人に選んでいただくようにして、その後の行動がスムーズになるように対応しておりました。

このように、利用者ごとに適切な対応を考えて実行する柔軟性が評価され、2年目からは新人メンターを任されています。

(3)
利用者の方に寄り添った施設運営を目指す貴社でも、こうした柔軟性は活かせるものと考えております。即戦力として活躍できるように、精一杯努めてまいります。

〈ポイント〉

  • 相手に合わせてコミュニケーションを柔軟に変えてきたエピソードを伝える際は、「状況に応じて適切な判断をしてきた」ことを印象付けるのが効果的。
  • どんな状況・事情があって」「どのような対応が必要だと考え」「実際に対応をどのように変えたのか」の3点を具体的に伝えると、納得感が高まる。

【注意】柔軟性の自己PRで、NGな内容

せっかく自己PRを書いても、内容によっては採用担当者からの評価に繋がらなかったり、逆に印象が悪くなったりする可能性があります。

自分の書いた「柔軟性」の自己PRが、下記の2つにあてはまっていないか、必ず確認しておきましょう。

【柔軟性の自己PRで、NGな内容】「自分の意思がない」「継続力がない」といった印象になっている/行動が成果に繋がっていない

「自分の意思がない」「継続力がない」といった印象になっている

柔軟性はアピール要素になる一方で、伝え方を誤ればネガティブな印象にも繋がります

たとえば、周囲の言うことに耳を傾けてばかりでは「自分の意思がない」「受け身の姿勢では?」「人の言いなりになっている」といった誤解を招くので注意が必要です。また、臨機応変に対応しているというアピールも、ポジティブな印象を与えられる反面で「周囲からの影響を受けやすい」「継続力が無いのでは?」といったネガティブな受け取り方をされる可能性があります。

誤解を防ぐには、周囲の意見も参考にしたうえで自分で考え、判断を下して行動していると、具体的なエピソードを通して伝えることが重要です。「こういった経緯で、こんな選択をすべきと考えた」といった自分の思いや考えを必ず伝えましょう。

行動が成果に繋がっていない

自己PRで語るエピソードが「行動を起こしたものの、成果に繋がっていない」ものだと、評価に繋がらない可能性があります。なぜなら企業が求めているのは、成果を上げることができる人だからです。

そのため、柔軟性を発揮したことで「成約に繋がった」「納期を守ることができた」といった成果に直結したエピソードや、「お客様から感謝の言葉をいただけた」といったプラスの結果に繋がったエピソードを伝えることが大切です。自身の業務を振り返って、該当するものを探してみましょう。

コラム:面接時の言動にも注意しよう

転職の面接では、自己PRで伝えた強みと実際の言動に、一貫性があるかどうかも見られています。

たとえば、「相手の言葉を受け止めることができる」とアピールしているのに感情的な返答をしてしまったり、「臨機応変に対応できる」と伝えていても、面接官からの質問に対して黙り込んでしまったりすると、本当に柔軟性があるのか疑われてしまいます

面接官のなかにはあえて試すような質問をしてくる人もいるため、自己PRの内容と言動に一貫性を持たせるよう、常に気を配りましょう。もし返答に困る質問をされたら「少しお時間をいただけますか?」と伝えて時間をもらい、落ち着いてから答えるようにしましょう。

自己PRの書き方について、くわしくは…

自己PRのくわしい書き方を知りたい場合や、別のアピールポイントに変えたい場合は、下記の書き方の解説記事をチェックするのがおすすめです。

履歴書・職務経歴書それぞれの書き方と例文を紹介しています。

▼履歴書の自己PR

▼職務経歴書の自己PR

この記事の執筆者

ライター・編集者

久保田 敦大

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。

大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。

転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。

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