4つの例文を紹介 財務の志望動機の書き方・例文
財務の転職で、企業に評価される説得力ある志望動機をまとめるにはどうしたらいいのでしょうか。
財務の志望動機の書き方のほか、すぐに使える例文などを紹介します。
財務の転職で志望動機はどれだけ重要？
書類では見られないが、面接ではよく聞かれる
財務ポジションで転職する場合、志望動機は書類選考ではあまり重視されない一方、面接ではよく聞かれる質問の一つであり、答え方によっては合否に影響することも。
財務の書類選考では、あくまで「実務経験」が最重視されます。財務の業務範囲は企業ごとに異なるからこそ、採用担当者は職務経歴書から応募者の実務経験をくまなくチェックし、「自社で今まさに必要な財務業務を担える人材かどうか」を精査しているのです。
そのため志望動機については、無理に履歴書や職務経歴書に記載しなくてもOK。
一方の面接ですが、志望動機は一般的な質問の一つ。面接官は自社について深い理解があり、「この会社でこんな仕事をしたい」という明確な意思を持った人を採用したいと考えているからです。
内定を勝ち取るために、「なぜその会社に魅力を感じているのか」「なぜその会社で働きたいと思っているのか」、説得力ある志望動機を伝えられるように準備しておきましょう。
財務の志望動機を書くために必要な2つのこと
財務の転職において企業に評価される志望動機を作るためには、次の2つを整理しておくことが大切です。
そもそも志望動機は、その企業に応募した理由に加えて、入社後はどのように貢献したいと考えているかを伝えるもの。「1）転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと」は、前者の「その企業に応募した理由」に繋がります。また、「2）活かせる経験／スキル」は後者の「入社後の貢献イメージ」を裏付ける根拠となります。
そのため、この2点をあらかじめ言語化しておくことで、説得力ある志望動機をスムーズに組み立てることができるのです。
1）転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと
「現職では叶えられないこと」は何か
まずは、今までの業務経験を振り返り「転職を考えたきっかけ」を洗い出しましょう。その際、“業務やキャリア上の”「現職では叶えられないこと」を起点に考えるのがポイント。
例えば、「現職は事業が縮小気味で攻めの財務戦略を打ち出せない」「経理も兼任しており、財務としてのスキルアップがしづらい」といった状況に対して、「だから自分はどうしたいのか」=転職で叶えたいことを考えてみましょう。
（例）財務の転職のきっかけ→叶えたいこと
- （経験者）現職は業績悪化の影響で、コスト削減などの「赤字回避」のための資金繰りで手一杯→拡大期にある企業で、事業成長に向けた設備投資やM&Aといった攻めの財務戦略を打ち出したい
- （未経験）経理の経験を積むなかで財務に興味を持ったが、現職では異動希望が叶わない→財務のポジションで「未来会計」の経験を積みたい
…など
キャリア
アドバイザー
給料や残業がきっかけの場合は？
転職を考えたきっかけとして、「給料が低い」「残業が多い」といった待遇面への不満を伝えるのが絶対NGというわけではありません。
ただし、下記の例のように、採用担当者が「それなら転職を考えるのも無理はない」と納得できるような状況説明をする必要があります。
- 給料：「業績悪化による賞与カットで、年収が大幅に下がった」
- 給料：「ここ数年年収が上がらず、子どもも生まれたため、将来的な年収アップも視野に入れ、新しい環境にチャレンジしたい」
- 残業：「人手不足で恒常的に残業が多く、月80～100時間の残業が続いている」
応募先企業なら希望が叶うと考えた理由は？
転職で叶えたいことが整理できたら、なぜ応募先の企業なら希望が叶いそうだと考えたのか、応募先の特徴や惹かれた部分を整理してみましょう。
「転職のきっかけ（現職では叶えられないこと）」から、「応募先企業でなら自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることで、説得力ある志望動機を作ることができます。
（例）財務の転職で叶えたいこと→応募先の特徴
- （経験者）拡大期にある企業で、事業成長に向けた設備投資やM&Aといった攻めの財務戦略を打ち出したい→経営計画上「第二創業期」とされる時期で、積極的な事業投資を行っている
- （未経験）財務のポジションで「未来会計」の経験を積みたい→将来のCFO候補として、資金調達／運用を中心に経験を積んでいける
2）活かせる経験／スキル
次に、入社後に「活かせそうな経験／スキル・資格」を整理しましょう。職務経歴書とは違い、志望動機では経験や資格そのものの有無を問われるわけではありません。
これまでの業務経験や身につけたスキル・資格と、入社後に叶えたいことに一貫性があるか、経験やスキルを踏まえた活躍イメージを具体的に描けているかどうかが評価ポイントとなります。
そのため、志望動機の冒頭で「これまで◯◯や△△の業務を経験するなかで～」などと転職のきっかけに繋げる形で触れたり、締めの部分で「○○の経験／スキルを活かして貢献したい」といった形で貢献意欲をアピールしたりできれば、「入社後に活躍してくれそうだ」と評価される可能性が高まります。
（例）財務で活かせる経験
- 経理・税務としての経験（財務諸表や税務申告書の作成など）
- 経営／財務分析
- 財務戦略の立案
- 予算編成の計画・管理
- 資金調達（銀行融資や株式・社債の発行など）
- 資金運用（債権や不動産の購入、M&Aなど）
- IR・監査法人対応
…など
（例）財務で活かせるスキル・資格
- 簿記1級・2級
- 税理士資格（科目合格含む）
- 公認会計士資格
- 英語（TOEICなど）
- 会計ソフトの操作スキル
…など
応募先の採用ニーズに合った貢献イメージを
入社後に「活かせそうな経験／スキル・資格」を判断するには、応募先企業の業務内容や、そこで求められる経験・スキルへの理解が欠かせません。
求人の「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」などをよく確認して、企業の採用ニーズに合う経験・スキルをふまえた貢献意欲・活躍イメージをアピールしましょう。
コラム：企業理解も深めておくと◎
「”業務やキャリア上”叶えたいこと」にマッチする求人は一つとは限らないため、場合によっては面接官から「（叶えたいことにマッチする企業のなかでも）どうして当社を志望されたのですか？」「当社のどんな部分に魅力を感じているのですか？」といった質問をされることがあります。
その際に迷わず「◯◯なところに惹かれています」と答えられるよう、下記のような方法で応募先の事業や経営状況、社風などについても理解を深めておくのが得策です。
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〈企業研究の一例〉
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一次面接フェーズでは求人やホームページにざっと目を通しておくレベルで問題ありませんが最終面接のフェーズではさらに企業理解を深め、より志望度の高さが伝わる志望動機を用意する必要があります。
最終面接で伝える志望動機の作り方は、下記の記事で解説しています。
財務の志望動機の書き方
ここでは、財務の志望動機の書き方を解説します。
まず、財務の志望動機の基本構成と、その構成にしたがって作成した例文を確認してみましょう。
〈財務（経験者）の志望動機の例文〉
- 攻めの財務戦略に挑戦でき、財務としてより専門性を高められる環境に惹かれ、志望いたしました。
- 現職では5年間、財務として資金調達や運用を担当しておりますが、業績悪化の影響もあり、直近はコスト削減などの「赤字回避」のための資金繰りで手一杯で、今以上に業務範囲を広げるのは難しいのが実情です。「第二創業期」である貴社の財務ポジションであれば、設備投資やM&Aといった攻めの財務戦略を行い、事業のさらなる成長に貢献できることはもちろん、個人としても経験の幅を広げられると考え、大変魅力に感じております。
- これまでの財務経験を活かしながら、将来的には財務戦略の立案にもかかわれるよう精進しますので、どうぞよろしくお願いいたします。
（308文字）
財務の志望動機は、上記のように（1）応募した理由（結論）、（2）その背景やエピソード、（3）入社後の意気込み、の3要素で構成するのが基本です。
この基本構成にしたがって、志望動機の作り方を具体的に見ていきましょう。
1.応募した理由（結論）
志望動機の書き出しではまず、応募した理由を結論として一言で述べます。
書き出しの表現に明確なルールはありませんが、応募先に惹かれたポイントなどを端的に示すのがオススメです。
書き出しの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
2.その背景やエピソード
次に、1）で述べた「応募した理由（結論）」に至った背景やエピソードを説明します。
具体的には、転職しようと思ったきっかけや経緯を伝えます。なぜわざわざ転職しようと思ったのかについて、前の章で整理した「現職（前職）では叶えられなかったものの、応募先でチャレンジしたいと思っていること」を具体的に伝えましょう。
続けて、その思いや希望が「応募先なら叶えられる」と感じた理由やポイントに触れます。前述したように、説得力ある志望動機を作るには、「転職のきっかけ」から「応募先で自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることが重要です。
あわせて、応募先の採用ニーズとマッチする業務経験と身につけたスキルを記載することで、入社後の活躍イメージを抱いてもらうことができるでしょう。
3.入社後の意気込み
最後に、入社後の意気込みを語って締めます。現職（前職）での経験を活かしていきたいという姿勢などをアピールするとよいでしょう。
締めくくりの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
財務の志望動機の例文4選
ここでは財務の志望動機の例文を、4つのパターンに分けて紹介します。
中小企業→大企業への転職（経験者）
〈例文〉
- 貴社を志望したのは、財務としての専門性を高められる環境に挑戦したいと考えたからです。
- 現職でも財務として5年間、銀行融資のためのレポート作成や株式・債権購入などの対応を経験してきましたが、社内体制の関係で業務範囲を広げるには最低でもあと5年ほどかかってしまう状況のため、より早く成長できる環境に身を置きたく、転職を決意しました。貴社の財務ポジションでは資金調達や運用だけではなく、上流の経営／財務状況の分析やファイナンス戦略の立案にもチャレンジできる環境だと伺い、大変魅力に感じております。
- 現職で培った財務諸表に関する知識や金融機関との折衝力などを活かしつつ、財務としてより成長し、貴社に貢献する所存ですので、どうか面接の機会をいただけますと幸いです。
（325文字）
〈おさえておきたいポイント〉
- 現職で培った経験・スキルを明示する
- その上で、応募先でしかできない業務にチャレンジしたいという前向きな意思を強調する
財務部長→CFOへの転職（経験者）
〈例文〉
- CFO候補として経営により近いポジションで事業成長に貢献できる環境に魅力を感じ、志望いたしました。
- 現職では財務部長として8年間、財務業務の統括やメンバーマネジメントを担ってきましたが、意思決定のための進捗管理や報告・共有業務が多く、より攻めの財務戦略にチャレンジしたいと考え、転職を決意しました。グローバル拠点の機能強化に取り組む貴社のCFO候補ポジションであれば、資本政策の立案やM&Aにも携われると伺い、大変魅力に感じております。
- 国内外からの資金調達の経験や海外事業所のマネジメント経験などを活かし、貴社のさらなる発展に貢献する所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
（289文字）
〈おさえておきたいポイント〉
- 応募先のCFO（候補）ポジションで期待されることを正しく理解し、そこに惹かれて転職に踏み切った理由について、説得力のある内容を伝える
- 自身の経験・スキルがどう活かせるのかを明示する
金融機関→事業会社への転職（未経験）
〈例文〉
- 日本の自動車業界を牽引する貴社で、財務として事業のファイナンス戦略や経営に携わりたいと考え、志望いたしました。
- 銀行の融資係として自動車関連の企業様から多くの相談を受けるなかで、資金の貸し付けだけではなく、事業会社の一員としてファイナンス戦略や経営に深く関わりたいという思いが強まり、自動車関連企業への転職を決意しました。なかでもPEV事業を中心に先行投資を積極的に続ける貴社であれば、収益の最大化に向けた低コストでスピード感のある資金調達・運用にチャレンジできるのではと思い、大変魅力に感じております。
- 現職で培った自動車関連企業様との折衝や経営／財務状況の分析経験を活かしながら、貴社のさらなる事業拡大に貢献する所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
（329文字）
〈おさえておきたいポイント〉
- 金融機関から事業会社に転職しようと考えた経緯やきっかけは、説得力のある内容にする
- 応募先の事業内容・経営状況などもふまえ、自身のどんな経験・スキルをどのように活かせるのかを具体的にする
経理→財務への転職（未経験）
〈例文〉
- 経理の経験を活かし、財務としてステップアップしたいと考え、志望いたしました。
- 現職では5年間、経理として決算業務や税務処理などを担当してきましたが、財務諸表を作成するなかで、経営状況を分析し今後の資金繰りを検討する「未来会計」としての財務の役割に魅力を感じ、キャリアチェンジを検討しております。貴社の経理財務ポジションでは経理業務に加え、金融機関との折衝やIR対応といった財務業務にもチャレンジできると伺い、大変魅力を感じております。
- 財務の業務は未経験ですが、B/S、P/Lや国税の税務申告書の作成経験で培った知識を財務業務にも役立てながら貢献していく所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
（298文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- 財務の業務内容や役割を正しく理解し、どうして惹かれたのか、きっかけをくわしく説明する
- 現職で培った経験・スキルのうち、何をどのように活かせるのか明示する
志望動機の不安を解消するには？
志望動機は面接での答え方によって、合否に影響することがあります。一度作り終えたからといって気を抜かず、採用担当者の印象に残る内容になっているか、時間を置いて読み直しましょう。
下記の記事では、志望動機を書く上での大切なポイントや、効果的なアピールに繋げるためのコツなどについて解説しています。
こちらもあわせてチェックしておきましょう。
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。
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