4つの例文を紹介 税務の志望動機の書き方・例文

税務の転職で、企業に評価される説得力ある志望動機をまとめるにはどうしたらいいのでしょうか。

税務の志望動機の書き方のほか、すぐに使える例文などを紹介します。

税務の転職で志望動機はどれだけ重要?

書類では見られないが、面接ではよく聞かれる

税務の転職において、志望動機は書類選考ではあまり重視されませんが、面接ではよく聞かれる質問の一つで、答え方によっては合否に影響することもあります。

税務の書類選考で最も重視されるのは、あくまで「実務経験」。税務が個人で任される業務範囲は企業によって異なるからこそ、採用担当者は職務経歴書から応募者の実務経験をくまなくチェックし、「自社で今まさに必要な税務業務を担える人材かどうか」を精査しているのです。

そのため志望動機については、無理に履歴書や職務経歴書に記載しなくても問題ないでしょう。

一方の面接において、志望動機は一般的な質問の一つ。面接官は自社について深い理解があり、「この会社でこんな仕事をしたい」という明確な意思を持った人を採用したいと考えているからです。

内定を勝ち取るために、「なぜその会社に魅力を感じているのか」「なぜその会社で働きたいと思っているのか」、説得力ある志望動機を伝えられるように準備しておくことが大切です。

▼税務の志望動機の例文を早速チェック

税務の志望動機を書くために必要な2つのこと

税務の転職において企業に評価される志望動機を作るためには、次の2つを整理しておくことが大切です。

そもそも志望動機は、その企業に応募した理由に加えて、入社後はどのように貢献したいと考えているかを伝えるもの。「1)転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと」は、前者の「その企業に応募した理由」につながります。また、「2)活かせる経験/スキル」は後者の「入社後の貢献イメージ」を裏付ける根拠となります。

そのため、この2点をあらかじめ言語化しておくことで、説得力ある志望動機をスムーズに組み立てることができるのです。

1)転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと

「現職では叶えられないこと」は何か

まずは、今までの業務経験を振り返り「転職を考えたきっかけ」を洗い出しましょう。その際、“業務やキャリア上の”「現職では叶えられないこと」を起点に考えるのがポイント。

例えば、「現職は国内市場がメインで国際税務に携われない」「経理も兼任しており、税務としてのスキルアップがしづらい」といった状況に対して、「だから自分はどうしたいのか」、つまり、転職で叶えたいことを考えてみましょう。

(例)税務の転職のきっかけ→叶えたいこと

  • (経験者)現職は国内市場がメインで国際税務に携われない→グローバル企業で、移転価格税制対応や国外取引に関する税務の経験を積みたい
  • (未経験)経理として税理士対応をするなかで税務に興味を持ったが、現職では税理士法人に委託している業務が多く、税務としてのキャリアアップが難しい→税務のポジションで申告書の作成から経験を積んでいきたい

…など

キャリアアドバイザー

キャリア
アドバイザー

給料や残業がきっかけの場合は?

転職を考えたきっかけとして、「給料が低い」「残業が多い」といった待遇面への不満を伝えるのが絶対NGというわけではありません。特に税理士法人/会計事務所における繁忙期の多忙さは、事業会社の採用担当者も重々理解しています。

ただしその際は、例えば下記のように、採用担当者が「それなら転職を考えるのも無理はない」と納得できるような状況説明をする必要があります。

  • 給料:「業績悪化による賞与カットで、年収が大幅に下がった」
  • 給料:「ここ数年年収が上がらず、子どもも生まれたため、将来的な年収アップも視野に入れ、新しい環境にチャレンジしたい」
  • 残業:「人手不足で恒常的に残業が多く、月80~100時間の残業が続いている」

応募先企業なら希望が叶うと考えた理由は?

転職で叶えたいことが整理できたら、なぜ応募先の企業なら希望が叶いそうだと考えたのか、応募先の特徴や惹かれた部分を整理してみましょう。

「転職のきっかけ(現職では叶えられないこと)」から、「応募先企業でなら自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることで、説得力ある志望動機を作ることができます。

(例)税務の転職で叶えたいこと→応募先の特徴

  • (経験者)グローバル企業で、移転価格税制対応や国外取引に関する税務経験を積みたい→海外シェアの拡大に注力しており、移転価格税制対応のほか、国外取引に伴う所得課税・付加価値税影響解析や申告業務に携われる
  • (未経験)税務のポジションで申告書の作成から経験を積んでいきたい→経理業務も兼任しながら、まずは税務申告書の作成サポートから税務経験を積んでいける

2)活かせる経験/スキル

次に、入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を整理しましょう。職務経歴書とは違い、志望動機では経験や資格そのものの有無を問われるわけではありません。

これまでの業務経験や身につけたスキル・資格と、入社後に叶えたいことに一貫性があるか経験やスキルを踏まえた活躍イメージを具体的に描けているかどうかが評価ポイントとなります。

そのため、志望動機の冒頭で「これまで◯◯や△△の業務を経験するなかで~」などと転職のきっかけにつなげる形で触れたり、締めの部分で「○○の経験/スキルを活かして貢献したい」といった形で貢献意欲をアピールしたりできれば、「入社後に活躍してくれそうだ」と評価される可能性が高まります。

(例)税務で活かせる経験

  • 税務申告書の作成(地方税/国税)
  • 経理・財務業務(日常経理や決算業務、財務諸表の作成など)
  • 国際税務(BEPS対応など)
  • 税務リスク分析/税務戦略の立案・実行
  • 税理士/会計士対応
  • 税務調査の対応
  • 税理士法人/会計事務所での税務顧問/代行の経験

…など

(例)税務で活かせるスキル・資格

  • 税理士資格(科目合格含む)
  • 公認会計士資格(科目合格含む)
  • 簿記1級・2級
  • 英語(TOEICなど)
  • 会計ソフトの操作スキル

…など

応募先の採用ニーズに合った貢献イメージを

入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を判断するには、応募先企業の業務内容や、そこで求められる経験・スキルへの理解が欠かせません。

求人の「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」などをよく確認して、企業の採用ニーズに合う経験・スキルをふまえた貢献意欲・活躍イメージをアピールしましょう。

コラム:企業理解も深めておくと◎

「”業務やキャリア上”叶えたいこと」にマッチする求人は一つとは限らないため、場合によっては面接官から「(叶えたいことにマッチする企業のなかでも)どうして当社を志望されたのですか?」「当社のどんな部分に魅力を感じているのですか?」といった質問をされることがあります。

その際に迷わず「◯◯なところに惹かれています」と答えられるよう、下記のような方法で応募先の事業や経営状況、社風などについても理解を深めておくのが得策です。

〈企業研究の一例〉

  • 求人で「事業内容」「採用背景」などの項目を確認する
  • ホームページ企業紹介サイトなどで事業内容や企業・経営理念のページを読む
  • IR情報などから事業・経営状況や今後の展望について確認し、考える
  • 応募先企業やその業界にまつわるニュースをチェックする
  • 応募先企業で働いている知人がいれば、話を聞く
  • (利用している場合)転職エージェントから内部情報を聞き出す
  • (面接予定がある場合)面接官に逆質問する

一次面接フェーズでは求人やホームページにざっと目を通しておくレベルで問題ありませんが、最終面接のフェーズではさらに企業理解を深め、より志望度の高さが伝わる志望動機を用意する必要があります。

最終面接で伝える志望動機の作り方は、下記の記事で解説しています。

税務の志望動機の書き方

ここでは、税務の志望動機の書き方を解説します。

まず、税務の志望動機の基本構成と、その構成にしたがって作成した例文を確認してみましょう。

税務の志望動機の基本構成|1 応募した理由(結論)|2 その背景やエピソード|3 入社後の意気込み|

〈税務(経験者)の志望動機の例文〉

  1. 国際税務に挑戦でき、税務としてよりスキルアップできる環境に惹かれ、志望いたしました。
  2. 現職では5年間、税務申告書の作成や税理士・会計士対応などを担当しておりますが、国内市場を主戦場としているため、さらなるスキルアップに向けて国際税務にチャレンジしたく、転職を検討しております。売上シェアや従業員の半数以上が海外である貴社の税務ポジションであれば、移転価格税制対応や国外取引に伴う所得課税・付加価値税影響解析や申告業務などに挑戦でき、個人としても経験値を上げられることはもちろん、さらなる事業拡大に貢献できるものと思い、大変魅力に感じております。
  3. 国際税務は未経験ですが、国内税務の経験やTOEICXXX点の英語力を活かし、いち早くキャッチアップできるよう努めてまいります。

(334文字)

税務の志望動機は、上記のように(1)応募した理由(結論)(2)その背景やエピソード(3)入社後の意気込み、の3要素で構成するのが基本です。

この基本構成にしたがって、志望動機の作り方を具体的に見ていきましょう。

1.応募した理由(結論)

志望動機の書き出しではまず、応募した理由を結論として一言で述べます

書き出しの表現に明確なルールはありませんが、応募先に惹かれたポイントなどを端的に示すのがオススメです。

書き出しの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

2.その背景やエピソード

次に、1)で述べた「応募した理由(結論)」に至った背景やエピソードを説明します。

具体的には、転職しようと思ったきっかけや経緯を伝えます。なぜわざわざ転職しようと思ったのかについて、前の章で整理した「現職(前職)では叶えられなかったものの、応募先でチャレンジしたいと思っていること」を具体的に伝えましょう。

続けて、その思いや希望が「応募先なら叶えられる」と感じた理由やポイントに触れます。前述したように、説得力ある志望動機を作るには、「転職のきっかけ」から「応募先で自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることが重要です。

あわせて、応募先の採用ニーズとマッチする業務経験と身につけたスキルを記載することで、入社後の活躍イメージを抱いてもらうことができるでしょう。

3.入社後の意気込み

最後に、入社後の意気込みを語って締めます。現職(前職)での経験を活かしていきたいという姿勢などをアピールするとよいでしょう。

締めくくりの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

税務の志望動機の例文4選

ここでは税務の志望動機の例文を、4つのパターンに分けて紹介します。

税理士法人/会計事務所→事業会社への転職(経験者)

〈例文〉

  1. 貴社を志望したのは、事業会社の一員として、税務面から経営のサポートをしたいと考えたからです。
  2. 現職では5年間、主に自動車業界の法人様に対し、年間XX件ほどの決算書・申告書作成のほか、帳簿監査や税務調査立会などを経験してきました。税務担当者様とお話するなかで、いつしか事業会社の一員として経理・財務の方とも連携し、税務面から事業成長に貢献したいという思いが強くなり、転職を決意しました。なかでも貴社は世界有数の自動車メーカーで、さらなるシェア拡大に向けて経営に対する経理・財務部門の積極的な関与を推進されていると伺い、大変魅力に感じております。
  3. 事業会社での業務経験はありませんが、これまでの数多くの税務顧問の経験やそこで得た知見を活かしていく所存ですので、どうか面接の機会をいただけますと幸いです。

(347文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • 税理士法人/会計事務所での経験内容を具体的に記載する
  • 事業会社の税務ポジションに興味を持ったきっかけについて触れる

税務のスペシャリストを目指したい(経験者)

〈例文〉

  1. 税務のエキスパート職としてより幅広い業務に挑戦し、専門性を高められる環境に魅力を感じ、志望いたしました。
  2. 現職では5年間、経理業務と平行して申告書の作成や税理士・会計士対応などの税務業務も担当しておりました。業務に必要な税制について勉強するなかで、税務に特化したキャリアを積みたいという思いが強まり、転職を検討しております。求人にて貴社の税理ポジションは、エキスパート職として経営層への税務リスク報告、税務業務効率化の施策立案、後進の育成などを経験できると拝見し、大変魅力に感じております。
  3. スキルアップに向けて税理士資格の取得を目指しており、昨年は法人税法の科目合格を達成しました。勉強で得た知識や現職での経験を活かし、貴社のさらなる事業拡大に貢献できればと思います。

(333文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • キャリアについて考えたきっかけや、将来像について触れる
  • スペシャリストを志望する上で、応募先のどんな部分に惹かれたのかについて言及する
  • 自己研鑽の姿勢や取り組みをアピールしてもOK

幅広い経験を積んで管理職を目指したい(経験者)

〈例文〉

  1. 税務業務を中心に幅広い経験を積み、将来的には経理・財務部門の管理職を目指せる環境に魅力を感じ、志望いたしました。
  2. 現職では経理・財務部の税務課にて5年間、申告書の作成や税理士・会計士対応などを担当してきましたが、ここ数年間は増員や配置転換がなく、業務範囲を広げることが難しい状況です。貴社の税務ポジションは国際税務にも挑戦できることに加え、ジョブローテーションにより経理や財務の経験も幅広く積み、将来的には経理・財務部門を統括する管理職を目指せると伺い、大変魅力に感じております。
  3. まずは現職での経験を活かしながら、税務担当者として業務範囲を広げることで貴社の事業成長に貢献していく所存ですので、どうか面接の機会を賜りますようお願いいたします。

(320文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • 現職では望むキャリアが描けない理由について、納得できる内容を伝える
  • 管理職経験者の場合はマネジメント内容を具体的に述べ、未経験の場合は前向きな意欲を述べる

経理→税務への転職(未経験)

〈例文〉

  1. 経理の経験を活かし、税務としてステップアップしたいと考え、志望いたしました。
  2. 現職では5年間、経理として日常経理や決算業務を中心に担当しており、税理士・会計士対応をするなかで税務としての専門性を高めたいと思うようになりました。現職では税務業務の大部分を税理士法人に委託しておりますが、貴社の税務ポジションは、税のエキスパートとして経営層に対する積極的な提案をされていると伺い、大変魅力に感じております。
  3. まずは申告書の作成サポートからチャレンジし、いち早く貴社の税務担当者として経験と実績を積みたいと考えております。将来的には経営にも深く関わっていけるような人材になるべく、キャッチアップに努める所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

(319文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • 税務の業務に興味を持ったきっかけや理由について触れる
  • 未経験でもいち早く成長し、貢献していきたいという前向きな思いを伝える

志望動機の不安を解消するには?

志望動機は面接での答え方によって、合否に影響することがあります。一度作り終えたからといって気を抜かず、採用担当者の印象に残る内容になっているか、時間を置いて読み直しましょう

下記の記事では、志望動機を書く上での大切なポイントや、効果的なアピールにつなげるためのコツなどについて解説しています。

こちらもあわせてチェックしておきましょう。

この記事の担当者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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