一般企業の選考では有利? 履歴書への「教員免許」の書き方と正式名称
教員免許を取得している場合、履歴書への書き方を悩む人も多いでしょう。
この記事では、教員免許の正式名称と履歴書への正しい書き方を解説します。また「一般企業に応募する場合、教員免許は選考で有利になる?」といった疑問にもお答えします。
履歴書への教員免許の書き方と正式名称
資格欄には「◯◯教諭△種免許状」と書く
教員免許を履歴書の資格欄に書く場合、免許状に記されている正式名称どおりに「◯◯教諭△種免許状」と記載します。そのあとひとマス空けて「取得」と書きましょう。
取得年月欄(年・月)には、免許状に記されている授与年月を記入します。
中学校と高等学校の教員免許の場合は、正式名称のあとに担当の「教科名」をカッコ書きします。
教員免許の正式名称一覧
履歴書に書く教員免許の正式名称は、免許状に記載されています。
運転免許の「普通自動車第一種免許」のように「第」はつけないので注意してください。
下記の一覧表から、正式名称を確認しましょう。
▼幼稚園
大学卒業程度 | 幼稚園教諭一種免許状 |
短大卒業程度 | 幼稚園教諭二種免許状 |
大学院修了程度 | 幼稚園教諭専修免許状 |
▼小学校
大学卒業程度 | 小学校教諭一種免許状 |
短大卒業程度 | 小学校教諭二種免許状 |
大学院修了程度 | 小学校教諭専修免許状 |
▼中学校
大学卒業程度 | 中学校教諭一種免許状(教科名) |
短大卒業程度 | 中学校教諭二種免許状(教科名) |
大学院修了程度 | 中学校教諭専修免許状(教科名) |
▼高等学校
大学卒業程度 | 高等学校教諭一種免許状(教科名) |
大学院修了程度 | 高等学校教諭専修免許状(教科名) |
※高等学校教諭に二種免許状はありません
▼特別支援学校
大学卒業程度 | 特別支援学校教諭一種免許状 |
短大卒業程度 | 特別支援学校教諭二種免許状 |
大学院修了程度 | 特別支援学校教諭専修免許状 |
▼養護教諭
大学卒業程度 | 養護教諭一種免許状 |
短大卒業程度 | 養護教諭二種免許状 |
大学院修了程度 | 養護教諭専修免許状 |
▼栄養教諭
大学卒業程度 | 栄養教諭一種免許状 |
短大卒業程度 | 栄養教諭二種免許状 |
大学院修了程度 | 栄養教諭専修免許状 |
なお、教員免許を含め、履歴書に記入する資格は取得した年月が古い順に書きます。資格欄に教員免許以外の資格も記入する場合は、下記の記事も合わせて確認しましょう。
周辺の欄の書き方については、下記の記事で解説しています。
このほかの欄の書き方については、下記の記事をチェックしてください。
複数取得・未取得・失効した場合の記入例
さまざまなケース別に、教員免許の正しい書き方を紹介します。
複数持っている場合は1行にひとつずつ
教員免許を複数取得している場合は、ひとつずつ行を分けて書きましょう。
例えば、中学校と高等学校の教員免許を同一の教科で取得した場合に「中学校・高等学校教諭」と1行にまとめてしまったり、複数の教科を取得している場合に「中学校教諭一種免許状(社会・体育)」などと併記するのはNGです。
未取得の場合は「取得見込み」と書く
新卒採用などで現在教員免許をまだ取得していない場合、履歴書には免許状の正式名称に続いて「取得見込み」と記入すればOK。
取得年月には、大学を卒業する見込みの年月を書きましょう。
免許更新せず、失効しても記入できる
教員免許を失効した、もしくは修了確認期限までに講習を修了していない場合でも、履歴書の資格欄に記入することができます。
ただし、カッコ書きで(更新講習未受講)と記載しなければなりません。取得年月は、免許状に書かれている授与年月でOKです。
教員免許更新制は2009年4月にスタートしました。免許状更新講習は取得から10年ごとに行われ、合計30時間以上の受講・修了が必要となります。
教員として働いている場合はもちろん、現在は教員ではないが今後教員になりたいという場合も教員免許の更新手続きが必要となるので、注意してください。
ただし、更新制は教員の負担が大きいなどの理由から2023年をめどに廃止される見通しで、現在は更新制に代わる研修制度に関する議論が進んでいます。
※参考:
教員免許更新制、23年度にも廃止 指導力の向上なお課題|日本経済新聞
一般企業の場合、教員免許は有利になる?
一般企業に応募するとき、履歴書に「教員免許」について書くことで、選考で有利になるのか気になる人も多いでしょう。
実際のところ、一般企業に応募する場合でも、教員免許取得の経験がアピールポイントになることがあります。どんな業種や状況で役立つのかを紹介します。
教員免許は「勉強熱心さ」をアピールできる
教員免許を取得した事実は、選考において「勉強熱心さ」を打ち出すアピール材料になります。
教職課程を修了するには、通常の講義のほかに多くの単位を取得しなければなりません。そのため「教職課程をとる人は、コツコツ勉強する真面目なタイプが多いので、仕事も頑張ってくれそう」と評価する採用担当者もいます。
教育関係の企業では有利になる可能性が高い
教育関係の企業に応募する場合は、子どもや教育業界に対する理解や知見が、アドバンテージのひとつとなります。
例えば、子どもたちの成長をサポートする学校運営や、塾や予備校の講師、家庭教師といった業種・職種では、教員免許を持っていることが選考で有利に働く可能性があるでしょう。
入社後はプレゼンや人材教育にも役立つ
教育に関わる企業に就職しない場合でも、教職課程で学んだことは入社後の業務で役立つことがあります。
教職課程では、教育に関わる基礎理論のほかにも、生徒指導論や教育相談に関することを学びます。そこで学んだ「人に効果的に伝える方法」はプレゼンテーションなどで、「今後の進路を考えるときの筋道の立て方」は、研修などの人材教育の分野で役に立つこともあるでしょう。
教員免許の履歴書や面接での伝え方
ここでは教員免許について、履歴書の志望動機欄に盛り込む場合の記入例と、面接で「なぜ教師にならなかったのか?」と聞かれたときの答え方について解説します。
履歴書|志望動機への盛り込み方
教員免許を活かせそうな企業に応募する場合は、資格欄だけではなく、教職課程での経験や、教員免許を取得しようと思った動機について、履歴書の志望動機にも盛り込むのが効果的。
志望動機や入社後にやりたいことが、教員免許を取得した理由と合致していると、採用担当者の納得感も大きくなります。
教員免許取得について、履歴書の志望動機欄に盛り込む場合の記入例とポイントを紹介します。
新卒の場合(応募先:ゲームアプリ制作会社)
エンジニアとして新卒入社できる企業を探す中で、教育アプリを開発する貴社であれば、大学時代のゼミの経験と教職課程で得た学びが活かせると思い、志望いたしました。
私には子どもの頃からエンジニアになるという夢がありました。そのため大学では理工学部に入学し、VRを研究・開発するゼミに所属しました。また、好きだった数学の面白さを追求するため、高校の数学科目の教員免許も取得しました。
教育実習中は数学への興味が持てない生徒たちに、どのように数字の面白さを教えればよいか試行錯誤し「生徒一人ひとりに寄り添い、何につまづいているのかを理解しなければ教えることはできない」ことを学びました。相手の要望を丁寧に聞き、ニーズを汲み取って反映するという工程は、エンジニアの業務にも通ずるところがあると考えています。
こうした教職課程で学んだ教育への理解や子どもたちへの指導経験も活かして、より多くの人に利用してもらえるようなアプリを開発したいと考えています。
転職の場合(前職:中学校教員→応募職種:児童向け英語教育)
中学時代に出会った恩師の影響で、中学校(英語)の教員免許を取得し、公立中学校に勤務しました。そこでの経験から、学校教育とは別の角度から英語教育に関わりたいと思い、この度転職を決意いたしました。
以前の勤務先の学校では、英語に対して苦手意識のある生徒たちの姿を多く見ました。特に、幼少期から英語教育を受けてきた生徒とそうではない生徒の興味関心、それに伴う学力の差を感じました。
しかし、実際の現場では指導要録をアレンジしたり、特定の生徒だけに特別な指導を行うことは容易ではなく、歯がゆさを感じていました。そこで、英語科目にスムーズに取り組めるよう、学校の外から子どもたちにアプローチしたいと思い、民間企業への就職を考えました。
貴社は将来的に、児童向けから小学生・中学生向けの英語教育にも事業展開を考えていると伺い、教員の経験が活かせるものと思い、志望いたしました。一度面接の機会をいただけますと幸いです。
▼ポイント
履歴書の志望動機欄で教員免許取得についてアピールする場合は、以下の3点をおさえましょう。
- どうして教員免許を取得したのか
- 教職課程(教員時代)で何を学んだか
- それが応募先でどう活かせるのか
新卒採用の場合は社会人としての経験がないため、取得したきっかけや教職過程で得た自分の考え方を伝えることが大切です。
一方、転職の場合は、教壇に立った経験を具体的に盛り込むと良いでしょう。
まずはしっかりと自己分析をし、教職課程や教員時代における経験や学びが、応募先の企業でどう活かせるか洗い出しましょう。
▼志望動機欄の書き方についてくわしく
面接|なぜ教員にならなかった?と聞かれたら
「教員免許を取得したのに、なぜ教師にならなかった(辞めた)のか?」という面接時の質問は、採用担当者の素朴な疑問であることがほとんど。自分の気持ちを正直に述べた上で、企業への就職を考えた理由を伝えれば問題ありません。
ただし新卒の場合は、教員採用試験の合否が一般企業の内定よりも後に決まるため「第一志望は教員なのか当社なのか見極めたい」という気持ちが含まれていることもあります。
このため、面接時には「教員になるつもりはなく、御社に就職したい」という熱意をきちんと伝えることが大切です。
OK例とNG例を参考に、企業への志望度が高いことを伝えるための回答を考えてみましょう。
面接でのOK例とポイント
新卒の場合(応募先:ホテル業界)
もちろん子どもは好きですし、教育実習も充実したものでした。しかし、夏休みにリゾートホテルでアルバイトをした際、人に関わる仕事という点で接客にもやりがいを感じ、接客業への興味が強くなりました。
そんな折、御社のABCホテルに訪れた際に、フロントの方のきめ細かな対応に心を打たれ、ホテル業界への就職を本格的に考えはじめました。
教職課程で学んだ人との接し方は、ゲストの方やスタッフ間のコミュニケーションでも通じるものだと思います。学んだことを活かし、顧客のニーズを見抜いて質の高いサービスを提供できるスタッフになりたいと考えております。
転職の場合(前職:小学校教員→応募職種:教育コンサルタント)
というのも、実際の教育現場で働く中で、教員は学級通信の作成や小テストの採点など授業以外の作業も多く、長時間労働や休日出勤が常態化していると身をもって感じました。
学校コンサルティングやICT支援などを行う御社であれば、教員としての経験も活かしながら、そうした教育現場の課題を外から解決できるのではないかと思ったため、志望いたしました。
▼ポイント
新卒の場合は、採用担当者が「第一志望は教員なのか、当社への入社なのか見極めたい」と思っていることも多いため、応募先が第一志望である理由を、実体験やエピソードなども交えながら明確に伝えることが大切です。
また、面接では話し方や表情も意識し、履歴書の文面だけでは伝えきれなかった熱意をよりアピールするよう心がけましょう。
転職の場合、応募先が教育業界であれば、教壇に立った際の実体験を伝えるのも効果的です。
ただし、辞めた理由が教育業界全般への愚痴や文句にならないように注意。できるだけ前向きに表現するよう、心がけましょう。
面接でのNG例とその理由
新卒の場合
転職の場合
▼NG理由
教員という仕事がハードであることは事実ですが、「大変だった」「きつい」だけではネガティブな印象で終わってしまいます。
教員免許を取得したが教員にはならなかった(辞めた)理由やきっかけを伝えた上で「なぜその企業に応募するのか」という前向きな思いを、納得感が得られるように説明することが大切です。
このほか、面接でよく聞かれる質問とその回答例について、くわしくは以下の記事にまとめています。