特にない場合や注意点も解説 履歴書の特記事項の書き方・例文
履歴書を書いていると、特記事項の欄に「何を書けばよいの?」と手が止まってしまうことがあるのではないでしょうか。
この記事では、履歴書の特記事項の書き方について例文付きでくわしく解説します。
履歴書の特記事項の書き方|ケース別の例文
履歴書の特記事項には、応募書類を提出する段階で企業側に前もって伝えておきたいことを書くことができます。例えば、入社可能日や希望職種、持病の有無、転居の予定などが当てはまります。
特記事項を書く欄の具体的な名称は履歴書の様式によって異なり、「その他特記事項」と書かれているケースもあれば、「本人希望記入欄」「通信欄」などの場合もあります。
ここでは、企業に伝えておきたい特記事項がある場合の書き方を10のケースに分けて、例文付きで紹介します。
「応募」について伝えたいことがある場合
「職歴」について伝えたいことがある場合
「自身の状況」について伝えたいことがある場合
入社可能日が決まっている
入社可能日は面接時にすり合わせることが基本ですが、応募書類を提出する段階で伝えておきたい場合は、特記事項の欄に入社できる年月日を記載しておきましょう。
〈記入例〉
入社可能日は内定から2~3カ月以内とするのが一般的。入社までの期間がそれ以上に長くなると「入社の意思が感じられない」と、マイナス評価を受けるリスクもあります。
2カ月よりも先になる場合は「進行中のプロジェクトが◯月末に完了するため」など、理由も合わせて記載すると状況が伝わりやすいでしょう。
なお欠員補充による募集の場合は、必ず上記のように入社可能日を記載しましょう。企業はすぐにでも人材を獲得したいため、入社可能時期が採用基準に大きく影響します。
企業が複数の職種を募集している
複数の職種を募集している企業に応募する場合は、どの職種への応募なのか企業側がわかるように、特記事項の欄に必ず自分の希望職種を明記しましょう。
〈記入例〉
職種名は求人票や募集要項に掲載されているとおりの名称を記載してください。例えば「営業事務」を「営業アシスタント」など勝手に言い換えてしまうと、採用担当者の混乱を招くのでNGです。
電話に出られない時間がある
転職活動中は企業から選考に関わる連絡が来る可能性があります。
最近はメールでやり取りを行う企業も多いですが、業務の都合上電話に出られない時間を前もって伝えておきたいという場合は、該当する時間を特記事項の欄に具体的に記載しておくと安心です。
〈記入例〉
なお、面接で電話に出られない理由について質問があれば、事情をはっきりと説明してください。在職中であれば勤務時間中に電話に出られなくても問題ないため、遠慮せずに伝えましょう。
転職回数が多い場合
転職回数が多いことに対し、採用担当者にネガティブな印象を持たれるのではないかと心配な人は、特記事項の欄に転職理由と過去の職歴の要約を記載することで不安を払拭できます。
〈記入例〉
転職理由を伝えるときには、「前の会社は残業が多かった」など前職の不満を直接的に書くことは避けましょう。
「効率的に働くことが求められる環境で自分自身を成長させたい」など、自分自身の成長にフォーカスしたポジティブな言い方に変換することが大切です。
短期間の職歴がある場合
3カ月、1年未満など短期間の職歴があることで「すぐ辞めそうだと思われたらどうしよう」と不安な場合は、退職した理由や背景を特記事項に書いてもOKです。
〈記入例〉
短い職歴があっても、採用担当者にポジティブな印象を持ってもらえるように前向きな表現や伝え方を心がければ、必ずしもマイナスなイメージを持たれることはありません。
職歴にブランクがある場合
職歴にブランクがあることが選考に影響するのではないかと不安な場合は、特記事項の欄で「退職後に何をしていたのか」を説明することで、採用担当者に事情を理解してもらうことができます。
〈記入例〉
持病がある場合
持病があることを事前に企業に伝えておきたい場合は、特記事項の欄で病状や勤務への影響などを説明しましょう。
〈記入例〉
「健康状態」の記入欄が用意されている履歴書であれば、特記事項の欄ではなくそちらに書けばOKです。
持病がある場合は入社後に自分が苦労しないためにも、事前に伝えておいたほうがよいでしょう。持病を伝えておくことで、勤務時間や業務内容を調整してもらえることもあります。
また、既往歴や後遺症について理解のある企業で働く方が、気持ちの面でも安心できるでしょう。
自分の持病が業務に影響することを伝えるべきだと、事前にわかっていながら隠すのはNG。後から事実が発覚した場合、企業からの信用を失いかねません。
転勤が難しい事情がある場合
自分の一方的な要望を応募書類に書くのは基本的にはNGですが、やむを得ず転勤できない事情がある場合、特記事項の欄で転勤が難しい背景をくわしく伝えておくことで企業側も勤務地や配属先を考慮できます。
〈記入例〉
なお、特別な事情があって転勤が難しい場合は、そもそも転勤ありの求人に応募しない、あるいはエリア採用に応募するなどの選択肢も含めて検討しましょう。
転居の予定・意思がある場合
遠方の勤務地に応募し、入社が決定したら転居する意志がある場合は、通勤ができる地域に転居予定である旨を特記事項欄に記載しておきましょう。
〈記入例〉
通勤時間の目安は、最大で片道90分程度です。それ以上かかる場合には転居を検討しておくとよいかもしれません。
取得予定の資格がある場合
応募する企業・職種とは関係ない資格であっても、勉強への取り組みなどをアピールしておきたい場合は特記事項欄を活用しましょう。
〈記入例〉
さらに「将来的に〇〇の業務に携わりたいと考えているため、仕事終わりに毎日〇時間勉強しています」など、資格を取得しようと思った理由や勉強への取り組みを簡単に説明しておけば、能動的に学ぶ姿勢があると伝えることができます。
また、離職してから応募までにブランクがある場合は、離職期間中に資格の勉強をしていたと伝えることで「これまで何もしていなかったのか?」といった印象を抱かれるリスクを減らすことが可能です。
履歴書の特記事項に「書くことがない」場合は?
応募企業に特別伝えておきたいことがない場合、特記事項欄の名称の違いによって書き方が異なります。
手元の履歴書の様式にあわせて確認しましょう。
履歴書にあるのが…
本人希望記入欄の場合…「貴社の規定に従います」
特記事項を記入する欄の名称が「本人希望記入欄」である場合は「貴社の規定に従います」と記載するのが一般的。
その名の通り「本人の希望を記入する欄」なので、応募企業への入社に際して希望があるかを問われているためです。
なお、空欄は避けましょう。採用担当者に書き忘れを疑われてしまう可能性があります。
通信欄やその他特記事項の場合…「特になし」
特記事項を記入する欄の名称が「通信欄」や「その他特記事項」などであれば、希望を聞かれているわけではないので「特になし」で問題ありません。
インターネット上には「特記事項の欄にもアピールできる内容を記載しておかないと面接官の心象が悪くなる」と書かれている記事もありますが、特記事項の欄で無理に自分をアピールする必要はありません。
アピールすべきことは志望動機や自己PRの欄にまとめましょう。
※志望動機欄の書き方・例文はこちら
※自己PR欄の書き方は・例文こちら
履歴書の特記事項でやってはいけないNG例
履歴書の特記事項に記載するべきではない、NG内容について紹介します。
NGその1:自己PRする
特記事項は、好きなことを何でも書いてよいフリースペースではなく、どうしても伝えたいことがある場合に記入する項目です。
アピールしたいことがある場合は、原則として自己PR欄や志望動機欄に記入しましょう。
NGその2:まとまりのない文章・長文で書く
特記事項の欄に長文を書くのは避け、伝えたい内容はできるかぎり簡潔にまとめましょう。長文で書くと、応募者が何を伝えたいのか応募先企業が理解しにくく、煩雑な印象を与えてしまう可能性があります。
入社可能日と応募職種など複数の項目について記載する場合は、箇条書きにしたり項目ごとに段落を分けたりして、読みやすくするとよいでしょう。
NGその3:年収など待遇面の希望を書く
正社員に応募する場合、給与や休日の希望などの待遇面については特記事項の欄に書かないのが無難です。
待遇面は面接などの場で直接すり合わせるのが基本ですが、「希望の年収額が叶わなければそもそも入社しない」と決めているのであれば、履歴書の特記事項に給与の希望を書いておくことで、選考が進んでから給与にまつわるトラブルにならずに済むでしょう。
「休日出勤は絶対にしたくない」などは、会社のことをまったく考えていないと捉えられかねないため、応募書類に書くのはNG。どうしても休日出勤ができないのであれば、面接の逆質問でその頻度をたずね、自身の事情について理由を説明するのが望ましいでしょう。
ほかの記入欄の書き方も確認しよう
特記事項の書き方が理解できたら、履歴書の完成に向けてほかの欄の記入も進めましょう。
以下の記事では、志望動機や資格欄なども含めたすべての欄の書き方を解説しています。企業への提出マナーも紹介しているので、チェックしてみましょう。
この記事の執筆者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。