機械設計向け 職務経歴書の書き方・ポイント
機械設計エンジニアの職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。ロボティクス・メカトロニクス分野の最新動向や採用事情に精通したキャリアアドバイザーからのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
機械設計の職務経歴書テンプレート
機械設計が職務経歴書を書く上での心得
とにかく大事なのは経験・スキルをくわしく・具体的に伝えること
機械設計エンジニアが職務経歴書を書く上で何よりも大切なのは、
- 担当製品
- 主な業務(担当範囲)
- 使用ツール
の3点を、できる限りくわしく・具体的に伝えること。
なぜなら機械設計は、企業によって扱う製品や業務範囲、使用ツールなどが異なり、書類選考を通過できるかどうかは「これまでの経験や技術・知識の中から、応募企業との共通点をどれだけ見つけてもらえるか」にかかっているから。
採用担当者は、例えば「”量産対応”の経験はあるか」「”CATIA V5″の使用歴はあるか」などと、採用要件となるキーワードを拾い読みしているため、経験・スキルに関する記述が曖昧だと、「よくわからないから不採用」という判断になってしまうのです。
では一体、何をどのように書いていけばいいのか、項目ごとにくわしく解説していきます。
1)職務要約
重要度:★★★☆☆
応募先にフィットする経験・スキルを5行前後でまとめる
職務経歴書冒頭の「職務要約」欄は、その先を読み進めてもらうためのフックとなる部分。
忙しい採用担当者にパッと見で自社との共通点を見つけてもらい、まずはざっくりと「採用要件を満たしていそう」と感じさせることが大切です。
そのため、応募先の企業・ポジションで求められるものを中心に、これまで関わった製品や担当業務、部署・チーム内での役割などについて、5行前後で端的にまとめましょう。
キャリア
アドバイザー
リーダー・マネジメント経験は好印象
機械設計エンジニアでは30代以降、リーダー・マネジメント経験が評価される傾向にあるため、経験があれば「職務要約」欄でも触れておくのがおすすめです。
2)職務経歴
重要度:★★★★★
担当製品や業務範囲などをくわしく記載する
「職務経歴」欄は、機械設計の職務経歴書における最重要項目であり、ここをいかにくわしく・具体的に記入できるかで合否が決まると言っても、過言ではありません。
なぜなら機械設計エンジニアは、設計してきた「モノ」と使用していたツールさえわかれば、力量がある程度推測できる職種だから。採用担当者は「職務経歴」欄をくまなくチェックし、「自社で必要とされる経験・スキルがあるのか」を精査しているのです。
したがって、採用担当者が確実に共通点を見つけられるよう、「職務経歴」欄はできる限りくわしく・具体的に書くのがポイント。下記の項目を部署や役割(役職)、担当製品ごとに区切って記入しましょう。
〈「職務経歴」欄に記載すべき項目〉
- 担当製品(※特定の顧客がいた場合はそちらも明記)
- 主な業務(担当範囲)(※特に詳細に!)
- 使用ツール(CADや解析ソフトなど)
- 部署・チームの人数・役割
- 主な実績
中でも「主な業務」は、曖昧な表現になりがちなので要注意。試作と量産どちらに携わっていたのか、仕様検討~評価のうちどこを担当していたのか、素材は樹脂なのかアルミなのか…といったことまで細かく書き出すことではじめて、採用担当者は「何をどこまでできる人なのか」を理解することができます。
リーダー・マネジメント経験がある場合、何人のメンバーに対して、どんな種類のマネジメントをしていたのか(進捗管理/予算管理/工数管理など)も記載しましょう。
キャリア
アドバイザー
「主な実績」は自ら考え工夫した経験を記載する
機械設計は職業柄、成果を定量的に示すことが難しいため、無理に「主な実績」欄に数字を盛り込む必要はありません。
その代わり、性能向上やコストカットに向けて設計上こだわったポイントや、評価時に出た不具合をどう解決したのかなど、業務や課題に対して自ら考え、工夫したことを惜しまず書いておきましょう。主体性や課題解決能力が伝わります。
また、社長賞や技術表彰など、社内外で評価された実績がある場合、そちらも併記しておくと高評価を得られます。
転職経験がある場合は最新の職歴を最上部に
機械設計エンジニアは直近の経験が重視されるため、転職経験がある場合は最新の職歴(現職)を最上部に書き、そこから古い職歴へとさかのぼって記入するのが鉄則です。
ただし、一つの会社内での職歴は、逆に古いものから順に書く点には要注意。部署や役職、担当製品や業務範囲などが変わり、記入欄を分ける場合は、入社時から退職(または現在)までを時系列で書きましょう。
その方が採用担当者にとって「その企業でどのような変遷を辿っていったか」がわかりやすいからです。
3)保有資格・スキル/語学/活かせる経験・知識・技術
重要度:★☆☆☆☆
「職務経歴」欄の補足として、伝えきれないことを書く
資格やスキル、語学力などについて記載する項目です。機械設計エンジニアは「職務経歴」欄が最重要項目であり、この部分が厳しくチェックされることはありません。
ただ、「職務経歴」欄では伝えきれない経験・スキルを書いたり、そちらに記載した内容を一言にまとめて箇条書きにしたりすることで、プラスアルファのアピールにつながるケースも。「わかりやすく・端的に」記入しましょう。
保有資格・スキル/語学
機械設計で最も重視されるのはあくまで実務経験であり、資格の有無や内容が採用基準になることはほとんどありません。
ただし、海外の支社や協力会社とやり取りのある企業に応募する際は、TOEICなどの語学力を証明する資格・試験は忘れずに記載しましょう。
その際は「ネイティブとの会議が可能」など、「実務においてどれくらいのレベル感で使えるのか」についても併記しておくのがポイント。
活かせる経験・知識・技術
もし「職務経歴」欄に書ききれなかった経験・スキルがあれば、この欄に記載しておきます。例えば、流体力学などの製品設計に必要な基礎学問(4力学)や、プレスや溶接といった加工方法に関する知識・経験などを書くことができるでしょう。
また、「職務経歴」欄に書いた内容のまとめとして、「3D CAD(CATIA V5)を用いた機械設計スキル」「製品開発における企画から量産までの一連の業務経験」などと、改めて一言で表現するのもOK。
いずれにせよ、機械設計においてはあまり重要度が高い項目ではないので、あくまで「職務経歴」欄を詳細に書くことを意識しましょう。
4)自己PR
重要度:★★★★☆
機械設計がアピールしたい3つの能力
求められる能力は企業によって異なりますが、機械設計エンジニアには一般的に下記のような能力が求められます。
「自己PR」欄では、このうち自分が強みとしているものを選んで見出しを立て、その能力を裏付けるエピソードを書くことで、機械設計としての適性やレベルの高さをしっかりと伝えていく必要があります。
〈機械設計に求められる3つの能力〉
- 機械設計としての専門性(特定分野の技術・知識)
- 課題解決に向けてチームを牽引する力(巻き込み力)
- プロジェクトの完遂や製品化に向けてやり切る力
第一に、機械設計として関わってきた製品や分野に関する技術・知識はもちろんですが、製品化までには多くの部署や職種が関わるため、適宜チームや他部署・協力会社などに協力を仰いだり調整したりといった牽引力・巻き込み力も大きな強みになります。
製造業界はピラミッド構造ですが、大手や上流ほど関係者が増え、この能力が強く求められるため、自己PRで触れない手はありません。
加えて、考えるべきこと・やるべきことが多い中でもベストを尽くし、厳格な納期までに間に合わせる完遂力・やり遂げる力も求められる職種です。
エピソードは「自ら考え工夫した経験」にする
上記の能力を裏付けるエピソードを書く上で注意したいのが、「業務や課題に対して主体的に考え、工夫した経験」を題材にするという点です。
機械設計エンジニアには顧客の要望を正しく捉え、本質的な課題解決のための設計を”自ら”考える主体性や課題解決能力が求められますが、「個人」としての考え方やアクションが見えないと、「ただ指示通りにタスクをこなしてきただけ」という見方をされかねないからです。
したがって「自己PR」欄では、製品の設計時や評価時などに「業務や課題を”あなたが”どう捉え、”あなたが”何をしてどんな結果が得られたのか」、順序立てて説明することが大切です。
〈専門性を伝える自己PRのエピソード例〉
- (課題)樹脂製品の開発において金型要件がネックとなり、締結点の強度不足が課題だった
- →(工夫)闇雲な形状変更はせず、解析による傾向分析をふまえ補強箇所・方法を絞った
- →(結果)納期を守った上で性能・品質にも満足していただけた。従来製品と比較して約2割のコストカットも実現した。
こうした能力が発揮されたエピソードがないか、過去の経験を振り返ってみましょう。
キャリア
アドバイザー
自己PRに使えそうなエピソードが思いつかない場合、これまでの経験のうち「自分が最も会社に貢献できた経験」を題材に、どうしてそれが実現できたのか、自分なりに考えていたことや工夫したことなどを思い返してみましょう。
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。