機械設計向け 職務経歴書の書き方・ポイント

機械設計エンジニアの職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。ロボティクス・メカトロニクス分野の最新動向や採用事情に精通したキャリアアドバイザーからのコメントも掲載中。

無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。

機械設計の職務経歴書テンプレート

職務経歴書|20XX年XX月XX日現在|氏名 転職 一郎|【職務要約】 大学卒業後10年間、自動車部品サプライヤーにて設計担当として、完成車メーカーとの仕様のとりまとめから 設計、量産、品質対応まで設計プロセス全般に従事して参りました。その後外資系サプライヤーへ転職。アプリケーションエンジニアとして従事した後、現在はプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトの工程および予算管理や、海外拠点を巻き込んだプロジェクトの推進を担当しております。その他、社内の品質向上プロジェクトに参画し、業務フローの改善業務にも携わっております。 【職務経歴】 2011年1月~現在 XYZオートモーティブ・ジャパン株式会社 事業内容:自動車部品の製造及び販売 資本金:1億円 売上高:非公開 従業員数:50名 期間 業務内容 2011年1月 ~ 2013年6月 ブレーキビジネスユニット R&Dメカニカルエンジニアチームに配属 役職:シニアエンジニア ※マネージャー 以下6名 [担当製品] 電気ブレーキシステム、油圧ブレーキシステム、他付帯部品 [担当顧客] トヨタ自動車、本田技研工業、富士重工業 [主な業務] ・各種ブレーキシステムならびにその付帯部品の設計、設計変更等の3Dデータ修正 ・各顧客先との仕様折衝および客先窓口業務全般 ・部品図の出図、技術資料のアップデート及びチェック ・顧客担当者と協力し、FMEAの作成 ・開発拠点のドイツに滞在し、製品知識の習得 [使用ツール] CATIA-V5 2013年7月 ~ 現在 ブレーキビジネスユニット プロジェクトマネジメントチームに異動 役職:プロジェクトマネージャー ※マネージャー 以下5名 [担当製品] 電気ブレーキシステム、油圧ブレーキシステム、他付帯部品 [担当顧客] 日産自動車、本田技研工業、富士重工業、マツダ [主な業務] ・開発プロジェクトの運営全般 ・開発日程および予算の策定、管理、推進 ・客先、社内、外注業者間のコーディネート ・営業チームの活動支援 ・社内品質活動への支援 ・社内プレゼン/報告 ・社内開発ツール、プロセスの管理、指導、改善 ・開発ゲートレビューの推進2000年4月~2010年12月 ABC工業株式会社 事業内容:自動車部品(トランスミッション等駆動系部品)の製造及び販売 資本金:52億25百万円 売上高:2511億10百万円(単体) 従業員数:10000名(単体) 期間 業務内容 2000年4月 ~ 2008年3月 技術本部 製品設計課に配属 ※課長以下20名 [担当製品] トランスミッション部品、他付帯部品 [担当顧客] 日産自動車 [主な業務] 仕様打ち合わせ(営業部門と同行し、顧客要求のヒアリングと仕様検討の補佐業務) 機構構造設計、詳細設計 部品設計(プレス部品、板金等) 試作(外注先金型メーカー、部品メーカーとの工程調整) 強度耐久性の評価解析 [使用ツール] I-DEAS、ANSYS 2008年4月 ~ 2010年12月 技術本部 製品設計課 ※役職:係長 課長以下20名 ■設計リーダーとして、設計実務に加え、メンバー(2~3名)への設計業務の指示から、設計工程管理、スケジュール管理、量産対応を担当。 [担当製品] トランスミッション部品、他付帯部品 [担当顧客] 日産自動車、ルノー、トヨタ自動車 [主な業務] ・仕様打ち合わせ(営業部門と同行し、設計の主担当として顧客要求のヒアリングと仕様検討) ・顧客への仕様のプレゼンテーション、コスト低減提案 ・機構構造設計、詳細設計(設計実務に加え、設計リーダーとして設計業務の指示) ・試作(外注先金型メーカー、部品メーカーとの工程調整、品質対応) ・設計工程管理、スケジュール管理(メンバーの業務管理、製造部門との調整) ・評価設計(実験評価手法の立案、製造部門・品質部門との調整、仕様へのフィードバック) ・量産対応(製造部門との製造工程およびスケジュール調整、品質改善対応) ・品質対応(顧客対応および社内対応) [使用ツール] UGNX、CATIA-V5|【保有資格・スキル】|・普通自動車第一種運転免許|・パソコンスキル:Word、Excel、PowerPoint|・使用ツール 3DCAD:I-DEAS、UGNX、CATIA-V5|解析ツール:ANSYS|【語学】|英語 TOEICスコア 830点|実務経験:文書読解、メール交換、プレゼンテーション、1回/週程度のドイツならびにタイ、中国とのTEL会議【活かせる経験・知識・技術】|・CADでの設計検証やモデリング|・CAE解析を用いた構造検討|・初期開発から量産までのプロセス知識や経験|・鋳造部品の材料知識や加工知識|【自己PR】|■関係各者との調整力|顧客対応から、設計部門内での報告・連絡・相談はもちろんのこと、社内製造部門や品質部門、また外注先など、ものづくりにおいては多くの関係者との密な連携が重要であると考えております。そのため、相手の立場を考慮しつつ、納期・品質を第一に考えたコミュニケーションを心掛けております。時には調整が難航することもありますが、最終的には「良い製品を期日までに仕上げる」ために、粘り強く自分の意志を伝えることで、関係者と信頼関係を築きながら業務を遂行できることが私の強みであると考えております。|■納期を重視した業務計画立案と遂行|納期までにタスクを完了できるよう、業務を要素分解し、優先順位をつけたうえで、期日から逆算して行動計画に落とし込みます。要素分解したタスクに関しては、作業に必要な時間を割り出し、タスクごとに細かな期日を定めることで、無駄のないスピーディーな作業を行うとともに、時間短縮にも努めております。毎日の行動を振り返り、行動計画の進捗確認と早期軌道修正を行っております。|以上

機械設計が職務経歴書を書く上での心得

とにかく大事なのは経験・スキルをくわしく・具体的に伝えること

機械設計エンジニアが職務経歴書を書く上で何よりも大切なのは、

  • 担当製品
  • 主な業務(担当範囲)
  • 使用ツール

の3点を、できる限りくわしく・具体的に伝えること。

なぜなら機械設計は、企業によって扱う製品や業務範囲、使用ツールなどが異なり、書類選考を通過できるかどうかは「これまでの経験や技術・知識の中から、応募企業との共通点をどれだけ見つけてもらえるか」にかかっているから。

採用担当者は、例えば「”量産対応”の経験はあるか」「”CATIA V5″の使用歴はあるか」などと、採用要件となるキーワードを拾い読みしているため、経験・スキルに関する記述が曖昧だと、「よくわからないから不採用」という判断になってしまうのです。

では一体、何をどのように書いていけばいいのか、項目ごとにくわしく解説していきます。

1)職務要約

重要度:★★★☆☆

【職務要約】 大学卒業後10年間、自動車部品サプライヤーにて設計担当として、完成車メーカーとの仕様のとりまとめから 設計、量産、品質対応まで設計プロセス全般に従事して参りました。その後外資系サプライヤーへ転職。アプリケーションエンジニアとして従事した後、現在はプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトの工程および予算管理や、海外拠点を巻き込んだプロジェクトの推進を担当しております。その他、社内の品質向上プロジェクトに参画し、業務フローの改善業務にも携わっております。

応募先にフィットする経験・スキルを5行前後でまとめる

職務経歴書冒頭の「職務要約」欄は、その先を読み進めてもらうためのフックとなる部分。

忙しい採用担当者にパッと見で自社との共通点を見つけてもらい、まずはざっくりと「採用要件を満たしていそう」と感じさせることが大切です。

そのため、応募先の企業・ポジションで求められるものを中心に、これまで関わった製品や担当業務、部署・チーム内での役割などについて、5行前後で端的にまとめましょう。

キャリアアドバイザー

キャリア
アドバイザー

リーダー・マネジメント経験は好印象

機械設計エンジニアでは30代以降、リーダー・マネジメント経験が評価される傾向にあるため、経験があれば「職務要約」欄でも触れておくのがおすすめです。

2)職務経歴

重要度:★★★★★

【職務経歴】 2011年1月~現在 XYZオートモーティブ・ジャパン株式会社 事業内容:自動車部品の製造及び販売 資本金:1億円 売上高:非公開 従業員数:50名 期間 業務内容 2011年1月 ~ 2013年6月 ブレーキビジネスユニット R&Dメカニカルエンジニアチームに配属 役職:シニアエンジニア ※マネージャー 以下6名 [担当製品] 電気ブレーキシステム、油圧ブレーキシステム、他付帯部品 [担当顧客] トヨタ自動車、本田技研工業、富士重工業 [主な業務] ・各種ブレーキシステムならびにその付帯部品の設計、設計変更等の3Dデータ修正 ・各顧客先との仕様折衝および客先窓口業務全般 ・部品図の出図、技術資料のアップデート及びチェック ・顧客担当者と協力し、FMEAの作成 ・開発拠点のドイツに滞在し、製品知識の習得 [使用ツール] CATIA-V5

担当製品や業務範囲などをくわしく記載する

職務経歴」欄は、機械設計の職務経歴書における最重要項目であり、ここをいかにくわしく・具体的に記入できるかで合否が決まると言っても、過言ではありません。

なぜなら機械設計エンジニアは、設計してきた「モノ」と使用していたツールさえわかれば、力量がある程度推測できる職種だから。採用担当者は「職務経歴」欄をくまなくチェックし、「自社で必要とされる経験・スキルがあるのか」を精査しているのです。

したがって、採用担当者が確実に共通点を見つけられるよう、「職務経歴」欄はできる限りくわしく・具体的に書くのがポイント。下記の項目を部署役割(役職)担当製品ごとに区切って記入しましょう。

〈「職務経歴」欄に記載すべき項目〉

  • 担当製品(※特定の顧客がいた場合はそちらも明記)
  • 主な業務(担当範囲)(※特に詳細に!)
  • 使用ツール(CADや解析ソフトなど)
  • 部署・チームの人数・役割
  • 主な実績

中でも「主な業務」は、曖昧な表現になりがちなので要注意。試作と量産どちらに携わっていたのか、仕様検討~評価のうちどこを担当していたのか、素材は樹脂なのかアルミなのか…といったことまで細かく書き出すことではじめて、採用担当者は「何をどこまでできる人なのか」を理解することができます。

リーダー・マネジメント経験がある場合、何人のメンバーに対して、どんな種類のマネジメントをしていたのか(進捗管理/予算管理/工数管理など)も記載しましょう。

キャリアアドバイザー

キャリア
アドバイザー

「主な実績」は自ら考え工夫した経験を記載する

機械設計は職業柄、成果を定量的に示すことが難しいため、無理に「主な実績」欄に数字を盛り込む必要はありません

その代わり、性能向上やコストカットに向けて設計上こだわったポイントや、評価時に出た不具合をどう解決したのかなど、業務や課題に対して自ら考え、工夫したことを惜しまず書いておきましょう。主体性や課題解決能力が伝わります。

また、社長賞や技術表彰など、社内外で評価された実績がある場合、そちらも併記しておくと高評価を得られます。

転職経験がある場合は最新の職歴を最上部に

機械設計エンジニアは直近の経験が重視されるため、転職経験がある場合は最新の職歴(現職)を最上部に書き、そこから古い職歴へとさかのぼって記入するのが鉄則です。

ただし、一つの会社内での職歴は、逆に古いものから順に書く点には要注意。部署や役職、担当製品や業務範囲などが変わり、記入欄を分ける場合は、入社時から退職(または現在)までを時系列で書きましょう。

その方が採用担当者にとって「その企業でどのような変遷を辿っていったか」がわかりやすいからです。

3)保有資格・スキル/語学/活かせる経験・知識・技術

重要度:★☆☆☆☆

「職務経歴」欄の補足として、伝えきれないことを書く

資格やスキル、語学力などについて記載する項目です。機械設計エンジニアは「職務経歴」欄が最重要項目であり、この部分が厳しくチェックされることはありません

ただ、「職務経歴」欄では伝えきれない経験・スキルを書いたり、そちらに記載した内容を一言にまとめて箇条書きにしたりすることで、プラスアルファのアピールにつながるケースも。「わかりやすく・端的に」記入しましょう。

保有資格・スキル/語学

【保有資格・スキル】|・普通自動車第一種運転免許|・パソコンスキル:Word、Excel、PowerPoint|・使用ツール 3DCAD:I-DEAS、UGNX、CATIA-V5|解析ツール:ANSYS|【語学】|英語 TOEICスコア 830点|実務経験:文書読解、メール交換、プレゼンテーション、1回/週程度のドイツならびにタイ、中国とのTEL会議

機械設計で最も重視されるのはあくまで実務経験であり、資格の有無や内容が採用基準になることはほとんどありません

ただし、海外の支社や協力会社とやり取りのある企業に応募する際は、TOEICなどの語学力を証明する資格・試験は忘れずに記載しましょう。

その際は「ネイティブとの会議が可能」など、「実務においてどれくらいのレベル感で使えるのか」についても併記しておくのがポイント。

活かせる経験・知識・技術

【活かせる経験・知識・技術】|・CADでの設計検証やモデリング|・CAE解析を用いた構造検討|・初期開発から量産までのプロセス知識や経験|・鋳造部品の材料知識や加工知識

もし「職務経歴」欄に書ききれなかった経験・スキルがあれば、この欄に記載しておきます。例えば、流体力学などの製品設計に必要な基礎学問(4力学)や、プレスや溶接といった加工方法に関する知識・経験などを書くことができるでしょう。

また、「職務経歴」欄に書いた内容のまとめとして、「3D CAD(CATIA V5)を用いた機械設計スキル」「製品開発における企画から量産までの一連の業務経験」などと、改めて一言で表現するのもOK

いずれにせよ、機械設計においてはあまり重要度が高い項目ではないので、あくまで「職務経歴」欄を詳細に書くことを意識しましょう

4)自己PR

重要度:★★★★☆

【自己PR】|■関係各者との調整力|顧客対応から、設計部門内での報告・連絡・相談はもちろんのこと、社内製造部門や品質部門、また外注先など、ものづくりにおいては多くの関係者との密な連携が重要であると考えております。そのため、相手の立場を考慮しつつ、納期・品質を第一に考えたコミュニケーションを心掛けております。時には調整が難航することもありますが、最終的には「良い製品を期日までに仕上げる」ために、粘り強く自分の意志を伝えることで、関係者と信頼関係を築きながら業務を遂行できることが私の強みであると考えております。|■納期を重視した業務計画立案と遂行|納期までにタスクを完了できるよう、業務を要素分解し、優先順位をつけたうえで、期日から逆算して行動計画に落とし込みます。要素分解したタスクに関しては、作業に必要な時間を割り出し、タスクごとに細かな期日を定めることで、無駄のないスピーディーな作業を行うとともに、時間短縮にも努めております。毎日の行動を振り返り、行動計画の進捗確認と早期軌道修正を行っております。

機械設計がアピールしたい3つの能力

求められる能力は企業によって異なりますが、機械設計エンジニアには一般的に下記のような能力が求められます。

「自己PR」欄では、このうち自分が強みとしているものを選んで見出しを立て、その能力を裏付けるエピソードを書くことで、機械設計としての適性やレベルの高さをしっかりと伝えていく必要があります。

〈機械設計に求められる3つの能力〉

  • 機械設計としての専門性(特定分野の技術・知識)
  • 課題解決に向けてチームを牽引する力(巻き込み力)
  • プロジェクトの完遂や製品化に向けてやり切る力

第一に、機械設計として関わってきた製品や分野に関する技術・知識はもちろんですが、製品化までには多くの部署や職種が関わるため、適宜チームや他部署・協力会社などに協力を仰いだり調整したりといった牽引力・巻き込み力も大きな強みになります。

製造業界はピラミッド構造ですが、大手や上流ほど関係者が増え、この能力が強く求められるため、自己PRで触れない手はありません。

加えて、考えるべきこと・やるべきことが多い中でもベストを尽くし、厳格な納期までに間に合わせる完遂力・やり遂げる力も求められる職種です。

エピソードは「自ら考え工夫した経験」にする

上記の能力を裏付けるエピソードを書く上で注意したいのが、「業務や課題に対して主体的に考え、工夫した経験」を題材にするという点です。

機械設計エンジニアには顧客の要望を正しく捉え、本質的な課題解決のための設計を”自ら”考える主体性課題解決能力が求められますが、「個人」としての考え方やアクションが見えないと、「ただ指示通りにタスクをこなしてきただけ」という見方をされかねないからです。

したがって「自己PR」欄では、製品の設計時や評価時などに「業務や課題を”あなたが”どう捉え、”あなたが”何をしてどんな結果が得られたのか」、順序立てて説明することが大切です。

〈専門性を伝える自己PRのエピソード例〉

  • (課題)樹脂製品の開発において金型要件がネックとなり、締結点の強度不足が課題だった
  • (工夫)闇雲な形状変更はせず、解析による傾向分析をふまえ補強箇所・方法を絞った
  • (結果)納期を守った上で性能・品質にも満足していただけた。従来製品と比較して約2割のコストカットも実現した。

こうした能力が発揮されたエピソードがないか、過去の経験を振り返ってみましょう。

キャリアアドバイザー

キャリア
アドバイザー

「会社に貢献できた経験」を題材にしてもOK 

自己PRに使えそうなエピソードが思いつかない場合、これまでの経験のうち「自分が最も会社に貢献できた経験」を題材に、どうしてそれが実現できたのか、自分なりに考えていたことや工夫したことなどを思い返してみましょう。

この記事の担当者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。