「一身上の都合」以外の書き方も 履歴書に退職理由は書かなくていい?

履歴書の職歴欄に「退職理由」を書く必要はあるのでしょうか?

基本的な書き方と、状況別にくわしい記入例を紹介します。

履歴書に具体的な「退職理由」は書かなくていい

退職する理由は「未経験職種にキャリアチェンジするため」「家族の仕事の都合で転居するため」など人それぞれですが、履歴書の職歴欄には具体的な退職理由を書く必要はありません

基本的には「一身上の都合により退職」という決まり文句を書くだけでOKです。

「一身上の都合により」以外を書くケースはこちら

そもそも履歴書の職歴欄は、過去の経歴の概略を書くところ。企業側としても、そこまで詳細な情報を求めていないというのが実情です。

また、履歴書の職歴欄は行数が限られているので、具体的な退職理由を書くことで書類全体が見にくくなってしまう可能性も。さらには、退職した理由の詳細が正しく伝わらなかったり、内容によってはネガティブな印象を与えてしまったりするリスクがあります。

職歴欄への「一身上の都合により」の書き方

履歴書の職歴欄には、入社した会社名+「入社」と書いた1行下に、会社名+「一身上の都合により退職」と書きましょう。

【「一身上の都合により退職」と書く!】<年月/学歴・職歴(項目別にまとめて記入)>職歴2018/4/株式会社ABC入社/2020/3/株式会社ABC/一身上の都合により退職/2020/4//株式会社いろは入社/2023/8/株式会社いろは/一身上の都合により退職/2023/9/株式会社ワンツースリー入社/現在に至る/以上職歴が多い場合など、職歴欄に同じ表記ばかり並ぶことが気になるようであれば、社名と「一身上の都合により退職」は書かずに「退職」とだけ書いてもOKです。

具体的な退職理由は、面接で聞かれたときに答えましょう。面接での退職理由の答え方は、下記の記事で解説しています。

そのほか、履歴書の各項目のくわしい書き方や企業への提出時のマナーは、下記の記事をチェックしてください。注意すべきポイントなど、くわしく解説しています。

【ケース別】「一身上の都合により退職」以外の書き方

自己都合で会社を辞めた人であれば「一身上の都合により退職」で構いませんが、場合によってはそれ以外の書き方をしたほうが、採用担当者に退職理由を誤解なく伝えることができるケースもあります

具体的には下記のようなケースです。自分にあてはまるものがあれば、確認してください。

▼空白期間(ブランク)がある人はあわせてチェック!

同年代に比べて転職回数が多い・いままで経験した職種がさまざまな人は、こちらもチェック!

家族の事情によって転職した場合

結婚や配偶者の転勤など、家庭の都合によって退職することになった場合は、その事実を履歴書に書いてもOKです。

仮に短期間での離職や遠方の企業への転職だったとしても、家庭の都合だとわかれば「やむを得ない」と納得してもらえるでしょう。

【家族の事情によって転職した場合】職歴/2010/4/株式会社〇〇〇入社/2012/3/結婚に伴い退職

よくある家庭都合による退職理由は、以下のとおりです。見本に当てはめて書きましょう。

〈家庭都合の退職理由の例〉

  • 結婚に伴い退職
  • 転居に伴い退職
  • 親の介護に伴い退職
  • 海外移住に伴い退職
  • 出産に伴い退職

未経験業界・職種に転職した場合

未経験の業界や職種に転職している場合も「一身上の都合により退職」で十分ですが、その理由を端的に表せるのであれば、付け加えてもよいでしょう。

【家族の事情によって転職した場合】職歴/2010/4/株式会社〇〇〇入社/2012/3/結婚に伴い退職異なる業界や職種への転職をしている場合、採用担当者がその理由や経緯を知りたいと思うのはごく自然なことです。

基本的には職務経歴書で触れたり、面接で伝えたりすれば問題ありませんが、履歴書にも書いておくことで、過去の経歴をスムーズに理解してもらうことができます。

未経験職種に応募する場合は、職務経歴書の書き方にも注意が必要です。下記の記事では、具体的な書き方を紹介しています。

長期の離職期間がある場合

長期の離職期間がある場合は、その理由を履歴書か職務経歴書で触れておきましょう

【長期の離職期間がある場合】職歴/2015/4/株式会社〇〇〇入社/2020/3/資格取得のため退職/2023/4/株式会社△△△入社/現在に至る/以上

よくある長期的な離職理由は、以下のとおりです。履歴書に書く場合は、見本に当てはめてください。

〈長期離職の理由となる例〉

  • 資格取得のため退職
  • 病気治療のため退職(7月31日現在、完治)
  • 個人事業主として活動するため退職

※「病気治療のため退職」は、経過についても記載するとより良い

長期の離職期間がある場合、採用担当者は「その間に何をしていたのか」を気にします

離職期間が長期になればなるほど「社会復帰できるのか」を懸念されてしまう可能性もあるため、履歴書と職務経歴書のどちらかで触れておくのが無難でしょう。

離職期間の職務経歴書への書き方は、下記の記事をチェックしてください。

期間契約が満了して退職した場合

派遣社員や契約社員などで契約期間満了の日を迎えて退職した場合は、「契約期間満了により退職」と書きましょう。

正社員と契約社員では業務内容や職責が異なるケースが多いため、雇用形態がわかる書き方をしておくことで、面接時や入社してからの互いのミスマッチを防ぐことができます。

なお、退職だけではなく入社についても「株式会社〇〇〇 入社(契約社員)」と書いておくと、さらに伝わりやすいでしょう。

 【期間契約が満了して退職した場合】職歴/2018/4/株式会社〇〇〇入社(契約社員) 2021/3/株式会社〇〇〇/契約期間満了により退職2021/4/株式会社△△△入社/現在に至る/以上

契約延長の話を断って辞めた場合も、それが契約満了日の退職であれば「契約期間満了により退職」でOKです。

なお、契約期間の満了日よりも前に退職した場合は、自ら辞めたことになるため「一身上の都合により退職」と書きましょう。

リストラなど会社都合で退職した場合

リストラや解雇によって退職した場合には、「会社都合により退職」と書きましょう。

仮に短期間での離職でも、会社の倒産や事業の撤退など、やむを得ない事情による退職であれば、在籍期間の短さが問われにくくなります

【リストラなど会社都合で退職した場合】職歴/2018/4/株式会社〇〇〇入社/2021/3/株式会社〇〇〇/会社都合により退職/2021/4/株式会社△△△入社/現在に至る/以上

会社都合による退職とは、次のうちいずれかの条件で会社を辞めた場合のみ該当します。

  1. 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
  2. 事業所において大量雇用変動の場合(1カ月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
  3. 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む)に伴い離職した者
  4. 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により離職した者
  5. 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない)

※(5)の退職勧奨は、会社側からの求めに対して承諾してしまうと自分から退職したと見なされ、自己都合(一身上の都合)退職扱いにされてしまう場合があります。

なお、会社都合退職に該当しているのに「一身上の都合により」と書くのは、履歴書に虚偽の内容を記載したとして、経歴詐称にあたります。

内定の取り消しや入社後の処分など、のちのちトラブルにならないためにも、正しく記載しておきましょう。

会社都合退職についてくわしく

退職理由は面接でも聞かれる!

「退職理由」は転職活動の面接でよく聞かれる、定番の質問です。

面接で聞かれたときにスムーズに答えられるように、応募書類の作成段階でも今までの職歴とその時系列、それぞれの会社の退職理由を整理しておくのがおすすめです。

面接時の退職理由の答え方や伝えるべきポイントについて、下記の記事で詳しく解説しています。

これから履歴書・職務経歴書を作成する人は…

応募書類をこれから作るという人は、下記の記事もチェックしてください。

テンプレートや記入する際のポイントをわかりやすく紹介しています。

この記事の執筆者

ライター・編集者

柴田 栞

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。履歴書の書き方などの転職に役立つノウハウや、キャリアに関する記事を多数執筆。

同世代の働き方や生き方に「寄り添い、共に悩み、考える」ことをモットーに、読者が「自分らしく」活躍できる仕事や職場を見つけられる助けとなることを目指して活動中。

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