書き方・テンプレート 人事(採用・労務)の職務経歴書
人事(採用・労務)の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。最新のコーポレート部門の採用事情に精通したキャリアアドバイザーのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
人事の職務経歴書テンプレート
人事の職務経歴書ではこの2点が見られる!
人事(採用・労務)の職務経歴書では、とりわけ下記の2点が厳しくチェックされています。
一口に「人事」といっても、組織の規模感(対応人数)や業務範囲は企業によってまちまち。100人規模の企業で採用から労務管理まで幅広く兼任するポジションもあれば、1000人規模の企業で教育・研修専任のポジションもあるでしょう。
そのため採用担当者は、応募者がこれまで「どれくらいの規模の組織で、何の業務を担当してきたのか」がわからないことには、「自社の人事ポジションの業務を担える人材かどうか」を判断できず、不採用になってしまうのです。
よって人事の職務経歴書では「職務経歴」欄を中心に、組織の規模感(管理する社員数や採用人数など)や業務範囲を明記するのがポイントです。
1)職務要約
重要度:★★★・・
応募先にマッチする経験を書く
「職務要約」欄には、応募先で求められている経験を中心に記載するのが鉄則。
例えば「人員・採用計画/戦略の企画立案および書類選考~クロージングまでの一連の採用業務」「目標・評価・処遇・配置などに関する人事制度の運用」など、求人の「仕事内容」や「必須/歓迎条件」などに記載されているキーワードをそのまま盛り込むのがポイントです。
人事(採用・労務)の書類選考で合否の決め手となるのは後述の「職務経歴」欄ですが、採用担当者が最初に目を通すのは、あくまで「職務要約」欄。
まずはここでザックリ「求めている経験・知識がありそう」と感じてもらわないことには、そもそもその先を読まれずに不合格になってしまうリスクがあるのです。
▼「職務要約」欄についてさらにくわしく
2)職務経歴
重要度:★★★★★
人事(採用・労務)の職務経歴書において、「職務経歴」欄は合否を分ける最重要項目です。
なぜなら先述の通り、採用担当者はこの欄から応募者の実務経験を確認し、その内容・レベル感が「自社で求める人事ポジションとマッチするか」を厳しくチェックしているから。
そんな「職務経歴」欄を記載する上で、特に注意したい3つのポイントを紹介します。
1)対応人数や実績を数字で明記
「職務経歴」欄には、対応人数や実績を数字で明記しましょう。
対応人数については、採用担当であれば年間採用人数、労務管理やHRBPであれば管理していた社員数など、実績については、採用目標人数に対する達成率や社員満足度(エンゲージメント率)、離職率などが挙げられます。
こうした定量的な情報を盛り込むことで「これだけの人数の採用経験があれば、自社の採用業務も問題なく担えそう」などと、採用担当者が自社との親和性を判断しやすくなります。
キャリア
アドバイザー
採用業務は特にくわしく書く
採用担当だった場合は、年間採用人数のほかにも、下記の情報を細かく記載しましょう。
- 新卒/中途(新卒の場合は文理も)
- 職種
- 手法
採用業務は企業による差が大きいため、こうした情報がないと、採用担当者が自社との親和性を判断しづらくなってしまうからです。
2)「取り組み・実績」も活用する
「職務経歴」欄の最後には「取り組み・工夫」の項目を設け、目標達成に向けて取り組んだことや工夫したことについて記載しましょう。
特に採用担当の場合、人手不足の昨今では目標の未達成が続くケースも珍しくなく、結果としての「実績」だけ記載するのでは、アピール不足になりかねません。
そこで、そうした厳しい状況でも成果を上げるために試行錯誤した「過程」を伝えることで、主体性や課題解決能力があるという評価につながる可能性があるのです。
(取り組み・工夫の例)
- (採用)辞退率改善に向けた、選考途中での社員面談や面接FBの実施、面接官の増員
- (労務管理)入力ミスや修正工数削減に向けた、新しい勤怠管理ツールやダブルチェック体制の導入/リマインドメールの送信
- (HRBP)エンゲージメント率や離職率の改善に向けた、定期的なエンゲージメント調査や課長とのFB会議の実施
…など
3)企画業務の経験は高評価
人事の業務の中でも、下記のような企画系の業務経験は評価アップにつながるケースがあるため、忘れずに記載しましょう。
労働人口減少や多様な働き方・人材の浸透にともない、各企業では人的資本経営の考えに基づく人事施策の立案・実施が急務。社員のパフォーマンス最大化に向け、こうした企画業務を担える人事人材のニーズが高まっているのです。
▼「職務経歴」欄についてさらにくわしく
3)保有資格など
重要度:★★・・・
人事(採用・労務)は経験してきた組織の規模感(対応人数)や業務範囲が重視されるため、「保有資格・スキル(語学)」欄や「活かせる経験・知識・技術」欄の内容が合否に大きく影響することは考えにくいでしょう。
ただし一部、加点につながる要素があるため、ひととおりポイントを確認しておきましょう。
保有資格・スキル(語学)
人事に必須となる資格はありませんが、労務管理や総務兼任のポジションであれば、社会保険労務士や衛生管理者の資格が加点要素になるケースも。
また、グローバル企業では人事制度や労務管理について、海外支社の現地スタッフとのやり取りが発生することも。TOEIC600~700点以上の英語力は高評価につながるため、点数とあわせて実務での使用場面・頻度も併記しましょう。
▼「保有資格・スキル(語学)」欄についてさらにくわしく
活かせる経験・知識・技術
「活かせる経験・知識・技術」は、前述の「職務経歴」欄のまとめのようなものと考えましょう。
例えば「書類選考~クロージングまでの一連の採用業務の経験(中途)」「DEI推進に関連するトレーニングプログラムの企画開発経験」などと、「職務経歴」欄に記載した経験・スキルを一言のフレーズに言い直し、箇条書きにします。
そうすることで、人事担当者が採用要件となるキーワードを拾い読みしやすく、書類選考の通過率が高まる可能性があります。
▼「活かせる経験・知識・技術」欄についてさらにくわしく
4)自己PR
重要度:★★★・・
人事がアピールしたい2つの能力
人事(採用・労務)の職務経歴書において、「自己PR」欄はあくまで加点要素です。
実務経験や実績はほかの欄でもアピールできるため、「自己PR」欄ではむしろ、下記のようなソフトスキルをアピールするのがおすすめ。
これらのソフトスキルの裏付けとして「何の業務において・どんな取り組み/工夫をして・どうなったのか」を順序立てて説明することで、思考・行動パターンや仕事に対するスタンスが伝わり、一緒に働くイメージを持ってもらいやすくなるでしょう。
巻き込み力・調整力
人事の「自己PR」欄では、巻き込み力や調整力をアピールするのが効果的です。
採用業務から評価・報酬制度の設計に至るまで、人事の業務は会社全体に関わるものが多く、他部署や経営層の協力なしには進められません。
例えば採用業務であれば採用要件のすり合わせや書類チェック・面接対応の依頼、研修・育成業務であればスキル・キャリアに関する懸念点や要望のヒアリングなどに際して、各部門のリーダーや社員に対する働きかけや協力要請・取りまとめを主体的に行う能力が求められるのです。
自己PRで巻き込み力・調整力をアピールする場合は、例えば下記のようなエピソードが使えます。
▼巻き込み力・調整力をアピールできるエピソード例
- (採用)採用活動の一環として現場社員を巻き込み、SNSでのインタビュー動画や仕事風景の発信、採用説明会で求める人材についてのプレゼンなどを依頼・実施し、熱度の高い母集団形成やミスマッチ削減につなげた経験
- (人事制度)評価制度の見直しにおいて、各部門から代表者を募って評価基準の検討会議を定期的に開催し、部門ごとの違いや課題を反映させた評価基準・項目を設定したことで、従業員のモチベーションアップや生産性向上につなげた経験
行動力・課題解決能力
目標達成に向けた行動力・課題解決能力も、人事の自己PRとしては加点につながりやすい能力です。
人事は「ヒト」に関わる業務だからこそ、内定を承諾する予定だった候補者がいきなり辞退したり、人事制度を見直そうにも他部署の協力が得られなかったりと、目標達成に向けた障壁が発生・変化しやすいという特徴があります。
そのため人事には、そんな状況を打破するべく主体的に解決策を考え、アクションを起こしていくことが求められるのです。
自己PRで行動力・課題解決能力をアピールする場合は、例えば下記のようなエピソードが使えます。
▼行動力・課題解決能力をアピールできるエピソード例
- (採用)リファラル採用を導入するも、紹介数が伸び悩んだため、採用ポジションや要件について定期的な説明会を実施したり、募集ポジションに近い社員をリストアップし個人的にアプローチしたりして、リファラル経由での採用数や定着率を改善した経験
- (労務管理)特定の期間で残業が増加していたため、「ノー残業デー」や「定時退社チャレンジ」として残業削減目標に対する達成率に応じたインセンティブを提供するキャンペーンを企画・実施し、残業削減の意識醸成や残業時間の削減につなげた経験
…など
▼「自己PR」欄についてさらにくわしく
人事の志望動機もあわせてチェック
職務経歴書が完成したら、悩みがちな志望動機の書き方や例文についても、下記の記事から確認しておくのがおすすめです。
人事の転職において、志望動機は、書類選考では合否の決め手にならないものの、面接ではよく聞かれる質問であり、答え方によっては合否に影響することもあるでしょう。
書類作成のタイミングで準備しておくと、のちのちの面接で回答に困らずに済みます。
履歴書の作成も忘れずに!
転職の書類選考では、職務経歴書とあわせて履歴書の提出を求められることが一般的。
まだ着手していない場合、まずは下記の記事から自分に合ったテンプレートをダウンロードしましょう。
ダウンロードできたら、下記の記事から書き方・ポイントを確認し、早速作り始めてみましょう。
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。