転職前にやるべきことは? 会社が倒産しそう…注意すべき11の前兆
会社の業績や社内の様子から「会社が倒産するかも」と思っても、本当に倒産するのかどうか、自分で判断するのは難しいでしょう。
そこでこの記事では、会社が倒産しそうかどうかをチェックできる11項目を紹介します。また、会社が倒産する前にやるべきことや転職のタイミングについても解説します。
会社が倒産しそう…注意すべき11の前兆
会社が倒産しそうと思ったら、まずは以下のような前兆が表れていないかチェックしてみましょう。
当てはまるチェック項目が多いほど、近いうちに会社が倒産する可能性があると考えられます。
それぞれの項目については、以下でくわしく説明します。
1.会社の赤字が何年も続いている
会社の経営状態を確認し、利益が生まれていない赤字状態が何年も続いているようであれば、近いうちに倒産する可能性が極めて高い状態でしょう。
企業は赤字が続くと損失が膨らんでいくだけでなく、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けるときの審査が通りにくくなります。経営を改善できず資金調達ができない状態にまで陥ると、手元に現金がなくなり会社は倒産してしまいます。
会社が赤字かどうかは、会社のホームページにあるIR情報から確認できます。特に、損益計算書(P/L)の「営業利益」「経常利益」がマイナスになっていれば赤字であり、会社の経営状態はよくないといえるでしょう。
2.厳しい経費削減が行われている
例年に比べて厳しい経費削減が行われるようになった場合、会社の資金繰りが難しくなっていて倒産のリスクが高まっている可能性があります。
〈経費削減の例〉
- 毎年行っていた社内イベントがすべて中止になる
- ボールペンやメモ帳など、業務に必要な備品が経費で買えなくなる
- コピー機や冷暖房など、オフィスの設備を極力使わないように指導される
経費削減自体は、経営状況が良い企業であっても利益を多く残すために日常的に行っています。
しかし、会社がいきなり極端なコスト削減を始めた場合は、社員の不満を買ったとしても経費を切り詰めないといけないほど危機的な状況にあると考えられます。
3.経営陣や経理部門社員の退職が増える
会社の財政状況を一番理解している経営陣や経理担当者が次々と退職したら、会社が倒産する日が近いかもしれません。彼らは立場上、会社の先行きが危ういという情報を知り、倒産に巻き込まれる前に転職している可能性があります。
特に、会社の創業期のメンバーなど社歴が長い人が退職し始めている場合は要注意です。なぜなら、多くの難局を乗り越えてきたはずの社員が辞めるほど深刻な状況に陥っていると考えられるからです。
もし退職する人と親しい関係であれば、正直な退職理由を聞いてみても良いかもしれません。
4.給料の支払いが遅れている
毎月の給料の支払いが遅れるようになったら、近いうちに会社が倒産する可能性が高いと言えます。
給料を指定日までに支払わないことは労働基準法違反に該当し、支払いが遅れた分だけ遅延損害金も発生します。それにもかかわらず支払いが遅れるということは、最優先の経費を工面できないほど資金繰りが限界にきていることを示しています。
5.電話や来客があると社長が居留守を使う
電話や来客があっても社長が居留守を使って自分で対応しないようになったら、会社の経営が極限まで悪くなっていると捉えて良いでしょう。
銀行や信用金庫などから融資を受けたものの返済できる見込みが立っておらず、その支払いの催促から逃げている可能性があります。
6.税理士や会計士などが頻繁に出入りしている
普段見かけない税理士や会計士、経営コンサルタントなどがオフィスに頻繁に出入りしている場合、会社の経営がうまくいっていない可能性があります。
状況が深刻化する前に専門家に内情を見てもらい、業務縮小などの改善案を探している状態と考えられるためです。
7.同業他社の間で良くない噂が流れている
「破格の金額で仕事を引き受けようとしている」「下請けへの発注を減らしているようだ」など、複数の同業他社から自分の会社について暗い噂を聞くようになったら、自社の経営がうまくいっていない可能性があります。
同業他社であれば、業界内の集まりや取引先などで顔を合わせる機会が多く、自社の社員よりも会社の情報を持っていることがあるためです。
8.上層部の会議が増えた
役員や管理職など、会社の上層部だけが集まる会議が頻繁に行われるようになったら、倒産に関わるような経営上の大きなトラブルが起こっている可能性があります。
忙しいであろう上層部のメンバーが時間を割いて集まらければならないほど、経営状態が良くないと考えられるからです。特に、会社のお金の流れを管理している経理担当が会議に出席している場合は、金銭面での問題が起こっている可能性が高いと言えます。
ただし会議が頻繁に行われているからといって、必ずしも倒産の話が進められているとは限りません。上層部の会議が増えたと思っても早とちりせずに、この他にも倒産の前兆がないか確認しましょう。
9.業務量が激減した
大口の取引先との契約がなくなることで業務量が激減し、新しい取引先や案件も見つかっていなければ、会社の経営が不安定になる可能性があります。
ただし閑散期で業務量が一時的に減っているだけかもしれないため、入社したばかりで急に仕事が減ったと感じたのであれば、社歴が長い社員になぜ今の時期に仕事が少ないのか質問してみましょう。
10.ボーナスや手当が減った
これまで支給されていたボーナスや会社独自の手当が支給されなくなったら、会社の経営状況はあまり良くないと捉えられるでしょう。そのまま金銭面の待遇が悪くなる一方であれば、倒産のリスクも少なからずあります。
ただし、ボーナスの支払いは法的に義務付けられていないため、売上が少なく利益が十分に出ない場合はボーナスカットが行われます。住宅手当や資格手当などの会社独自の福利厚生についても同様で、会社側に費用を負担する余裕がなければ廃止されます。
11.希望退職者を募っている
社内で希望退職者の募集が積極的に行われるようになったら「もしかしたら会社が倒産するかもしれない」と危機感を持った方が良いでしょう。今の社員数を抱えたままでは経営を続けられないほど、売上や利益に余裕がない可能性があるからです。
ただし倒産のリスクが低く業績が良好な会社でも、将来の市場環境の変化に対応したり組織の新陳代謝を促したりするために、希望退職者を募ることがあります。そのため希望退職者の募集があるからといってすぐ倒産を疑うのではなく、他のチェック項目も当てはまっていないか確認してみましょう。
前兆があっても倒産するとは限らない
たとえ自分の会社に倒産の前兆があったとしても、本当に倒産するとは限りません。
なぜなら、経費削減や人員整理に成功したり、金融機関から融資を受けられるようになったりすることで、会社の経営が良い方向に進む場合もあるからです。
また、財政状況が改善しなくても、倒産ではなく他の会社に吸収合併されることで従業員がリストラなどの不利益を受けなくて済むケースもあります。
そのため、上記で紹介した11の項目はあくまで「会社が倒産する可能性をより客観的に判断するための参考情報」として捉えておきましょう。
会社が倒産しそう…と思ったらやるべきこと3つ
上記のチェックで当てはまる項目が多いと「本当に会社が倒産するかもしれない」と危機感を覚える人もいるかもしれません。
会社の倒産が不安な人は、状況が悪化する前に以下の3つに取り組みましょう。
これらの対策を早めに講じておけば、会社が倒産しても自分が受ける金銭的・精神的なダメージを少なくすることができます。
大きな買い物を控えて貯金する
会社の業績が良くなく会社が倒産するかもしれないと感じたら、家・車の購入などローンを組むような大きな買い物は控えて貯金に力を入れましょう。
会社の業績が悪い状態が続くと、元々ボーナスが支給されていた場合は、その額が大幅に減ったりまったく支給されなくなったりする可能性があります。また、万が一会社が倒産した場合は、転職先が見つかるまでの収入源がなくなってしまいます。
転職先が見つからないまま失業した場合、失業給付を受け取ることはできますが、支給額は給与の約50〜80%ほどです。会社が倒産しても生活に困らないよう給料はなるべく貯金に回すようにしましょう。
転職先の候補を探しておく
会社が倒産する可能性が高いと判断したら、転職先の候補を探し始めましょう。会社が倒産してから次の会社を考え始めると、転職活動の動き出しが遅くなってしまいます。
また、倒産後に失業給付を申請することはできますが、実際に給付を受け取れるのは申請から1ヶ月以上経ったあとになるため、収入が不安定な時期が長引いてしまいます。
倒産後の金銭的な不安を少しでも減らすためには、早めに転職準備を進めておくことが大切です。まずは転職先の候補を探すために、求人サイトをチェックしてみましょう。
本格的に転職活動を始めた方が良い時期については、次章「会社が倒産しそうな場合はいつ転職したらいい?」で解説します。
有給休暇を消化する
有給休暇を取得したい場合は、倒産するかもしれないと感じたら、なるべく早めに有給休暇を消化するとよいでしょう。
有給休暇は会社が倒産した時点で消滅してしまうからです。また、倒産する直前に会社がなくなることが通知されてしまえば、倒産する日までに有給休暇を消化しきれないケースも考えられます。
ちなみに、倒産する前に使い切れなかった有給休暇は、会社によっては買い取ってもらうことも可能ですが、法律で義務づけられているわけではないため、期待はあまりできません。そのため、倒産する前兆を感じたら、できるだけ早いうちに有給休暇を消化しておく方がベターです。
コラム:未払いの給料は未払賃金立替払制度で請求可能
すでに未払いの給料が発生している場合、倒産後に「未払賃金立替払制度」を使えば最大で未払い分の給料の8割を国に立て替えてもらうことができます。
未払賃金立替払制度を使うためには「会社が1年以上事業を行っていた」「会社が倒産した」などの条件を満たすことが必要です。給料の立て替えを希望する場合、まず最寄りの労働基準監督署に相談してみましょう。
会社が倒産しそうな場合はいつ転職したらいい?
倒産する前に転職するか、倒産してから転職するかは、それぞれのメリット・デメリットを理解してから決めましょう。
倒産前より「倒産後」に転職する方が有利
一般的に、転職活動においては倒産する前よりも倒産した後に選考を受ける方が有利と言えます。会社都合で辞めたことが明らかなので、退職理由を作り込む必要がなく、採用担当者にも事情を理解してもらいやすいからです。
その一方で、倒産する前に転職活動を始める場合は、転職理由として「今の会社が倒産しそうだから」とそのまま伝えることは面接官からの印象が悪くなる可能性があり、今の会社にも悪影響を及ぼしかねません。そのため、会社で不安に感じていることを転職したい理由に結びつけるなどして「会社が倒産しそうだから」以外の志望理由を考える必要があります。
ただ倒産前と後のどちらで転職をするにせよ、面接官にとっては「あなたがなぜ自社に応募してきたのか」や「自社でどのように活躍できるのか」が重要です。そのため、転職理由を伝えるときは「その企業でなければならない理由」をきちんと説明するようにしましょう。
※会社都合退職についてくわしく
※失業保険を会社都合でもらうときはこちら
「倒産前」に辞めたいなら転職先を決めてから退職
会社が倒産する前に辞めたい場合は、転職先を決めてからの退職をおすすめします。
次の就職先を決めないまま辞めると、自己都合退職になるため失業給付の支給開始まで2ヶ月以上かかり、倒産後の退職に比べて支給期間も短くなります。また、職歴が途切れてブランク(空白期間)が生まれると、選考を受ける際に採用担当者から良くない印象を持たれてしまう可能性もあります。
さらに、転職先を決めずに会社を辞めると「貯金が尽きる前に就職先を探さなきゃ」「失業給付が切れる前に決めなきゃ」という焦りが生まれやすくなります。その結果、職場環境や労働条件などを十分に吟味できず、自分に合っていない会社に転職してしまう可能性があります。
会社が倒産する前に辞めたいなら、退職した後に余計な焦りや不安を感じなくて済むよう、納得できる転職先を決めた上で辞めましょう。
倒産前に起こりやすいトラブルの対処法を知っておこう
倒産寸前の会社では給料カットや連鎖退職など、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。
今のうちからトラブルに備えたい人は、以下の記事で紹介している対処法を確認して、賢く対応できるようにしておきましょう。
この記事の執筆者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。