ない場合は?罰の記入は必須? 履歴書の賞罰欄の書き方

履歴書の賞罰欄には、何をどのように書けばいいのか分からない人も多いでしょう。

この記事では、賞罰欄に書ける経歴の具体例実際の記入見本を紹介します。

※法律上、履歴書に書く賞罰の定義や書式が決まっているわけではありません。

履歴書の賞罰欄には何を書く?

賞…全国レベルの入賞歴・受賞歴

履歴書の賞罰欄に書ける「賞」とは、全国・国際レベルの大会で入賞した実績や、国や都道府県から表彰された実績のことを指します。

▼賞として書ける具体例

  • スポーツや文化活動の全国・国際大会の入賞歴
  • 消防署からもらった人命救助の表彰
  • 地域・自治体からのボランティア活動への感謝状
  • 学会の受賞歴(業務に関わり、かつ業界で有名なもの) など

※「賞」があるときの書き方はこちら

なお、社内表彰歴や皆勤賞などは、賞罰欄には書かないのが一般的。ただし、記載することが法律で禁止されているわけではありません。

罰…有罪判決を受けた刑事罰

履歴書の賞罰欄に書く「罰」とは、刑法犯での有罪判決を受けた刑事罰のこと。刑事罰とは、懲役・禁固・罰金・科料などの判決を受けたものを指します。

▼罰として書くべき具体例

  • 6点以上の交通違反=いわゆる赤切符(無免許運転や酒気帯び運転など)
  • 殺人
  • 暴行・傷害
  • 窃盗
  • 詐欺・横領
  • 賭博・わいせつ など

※参考:警察庁|刑法犯に関する統計資料

なお、30km/h未満(高速道路は40km/h未満)のスピード違反や駐車違反など、6点未満の交通違反(=いわゆる青切符)は記載しなくてOK

というのも、赤切符は刑罰を受けることとなるため、原則記載が必要になります。一方、青切符は刑事罰を科されるわけではないため、記載する必要はないとされます。

ただし、トラックやタクシーなどのドライバー職に応募する場合は、青切符でも事前に申告しておいたほうが良いでしょう。法律で明確に義務付けられているわけではありませんが、職業の性質上、交通違反の有無が職務遂行において重要になるためです。また、事前に申告しておかないと、入社後に告知義務違反で解雇される可能性がないとは言い切れません

※「罰」があるときの書き方はこちら

ちなみに「有罪判決を受けた刑事罰」にあてはまらないものとして、具体的には以下のものがあります。これらの経歴は賞罰欄に書く必要はありません。

  • 懲戒解雇
  • 過料
  • 不起訴になった事件
  • 執行猶予期間が終わった事件
  • 裁判中の事件
  • 少年犯罪歴 など

賞罰欄に書くものがない場合は?

左寄せで「なし」と書けばOK

賞や罰に該当するものがない場合は1行目に左寄せで「なし」と書き、その下の行に右寄せで「以上」と書きましょう

「なし」だけだと、空白が目立つため不安に感じるかもしれませんが、記載することがある人の方が少ないので、心配する必要はありません

賞罰欄のない履歴書を使うのもひとつの手

空白が気になるという人は「賞罰欄」のない履歴書を使うのもひとつの手です。

賞罰欄のない履歴書テンプレートはこちら

このほかの履歴書の欄の書き方も知りたいという人は、下記の記事もあわせてチェックしてください。

なお、下記の「履歴書の書き方ガイド」では、この他の欄の書き方や作成するときのポイント企業への提出マナーなど履歴書にまつわる疑問をまるっと解説しています。

罰の書き方|隠すとどうなる?告知義務は?

欄があるなら書かなければならない

手元の履歴書に「賞罰欄」があるのであれば、刑事罰を受けた経歴を正直に書かなければなりません

会社によっては罰の経歴について正直に伝えないことで、告知義務違反や経歴詐称となり、不採用や入社後の解雇につながる可能性があります

「罰」に該当する経歴がある場合、刑が確定した年月と内容を省略することなくすべて書きましょう。一行下の右端に「以上」と書くのも忘れずに。

罰の書き方例

一定期間が経過していれば書かなくて良い

刑事罰を受けた場合でも、一定期間が経過していれば賞罰欄に書く必要はありません。

ただし、そもそも転職活動時における前科の告知義務自体が、法律上の義務ではないので、期間はあくまで目安として捉えるのがよいでしょう。

告知義務がなくなる目安の期間は、以下のとおりです。

  • 懲役・禁固・拘留:服役し、刑期が満了してから10年程度
  • 罰金・科料刑:支払い後5年程度
  • 執行猶予:執行猶予を取り消されることなく、期間が満了したとき

賞の書き方|具体例と欄の書き方

古いものから時系列順に書く

「賞」に該当する経歴がある場合には、受賞した年月と賞の正式名称を古いものから順に書きましょう。最後の行の右端に「以上」と書きます。

感謝状など、賞の正式名称だけで内容が伝わらない場合には、カッコなどを使って詳細を書き加えるのがおすすめです

賞の書き方例

なお、応募する職種に関連があるものを除いて、10年以上前の受賞歴や表彰歴は書かないほうが無難。採用担当者から、過去の実績にとらわれていると思われてしまう可能性があります。

賞罰欄がない場合、学歴・職歴欄の下に書いてOK

手元の履歴書に賞罰欄がないが、賞に該当する経歴がありアピールしたいという場合は、学歴・職歴欄の下に記入してもOK

賞罰を学歴・職歴欄に書く場合

最後の職歴の後に1行空け続けて「賞罰」と書きます。その1行下に受賞した年月と賞の正式名称を記入してください。このときも、最後の行に右寄せで「以上」と書くのを忘れずに。

学歴・職歴欄が書ききれない場合の対処法6選

社内表彰歴は、自己PR欄や職務経歴書に書く

応募先の業務に関わるものであっても、「営業成績MVP」などの社内表彰歴は賞罰欄には書かないのが原則。社内表彰の受賞歴をアピールしたい場合には、履歴書の自己PR欄職務経歴書などでアピールしましょう。

▼履歴書の自己PRの書き方

▼職務経歴書の書き方

(文:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

弁護士

南 陽輔

一歩法律事務所

大阪市出身。大阪大学法学部卒業、関西大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(大阪弁護士会所属)。その後、大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立。誰もが利用しやすい弁護士サービスを心掛け、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行う。

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