体験談、ばっくれ後の対処法も 仕事をばっくれたときの6つのリスク
事前連絡なしに仕事を休むこと、出勤しないことは「ばっくれ」と呼ばれています。
この記事では、仕事をばっくれてしまった方の体験談や、リスクと対処法を解説します。
仕事をばっくれた人の体験談
実際に仕事をばっくれた後、会社の対応などはどうなるのでしょうか。仕事を「ばっくれ」た経験のある2名の方に話を聞きました。
仕事を寝ばっくれ(寝過ごす形で無断遅刻)しました
原因は目覚ましのかけ忘れです。起きて時計を見たら午前10時近くで。携帯を確認したら会社から5~6件ほど着信がありました。
焦って折り返し電話をかけたら、やはり上司に怒られました。「今日はもう来なくていいから、明日から気をつけるように」とのことでした。
次の日に出勤するのはやっぱり嫌でしたね。出勤して上司に謝罪したら、それからは寝ばっくれしてしまったことに関して追及されることは特になく、同僚の態度も変わりませんでした。
怖い気持ちはありましたが、思い切って謝ってよかったなと思っています。繰り返さないよう気をつけます。
仕事をばっくれて、その流れで退職しました
業務自体は好きだったんですが、社風が合わなくて。会社に行きたくない気持ちが強くなってしまい、無断欠勤を繰り返すようになりました。
会社からはそのたびに何度も電話がかかってきたんですが、罪悪感が大きくすぐに出られなくて…しばらくしてから折り返し連絡して謝って、なんとか許してもらっていました。
会社に退職を申し出たときは、人手不足もあってか、なかなか辞めさせてもらえませんでした。最終的には無断欠勤してそのまま行かなくなり、後日、郵送で必要書類を送って退職しました。
辞めさせてもらえなくてこういう形になってしまったのはありますが、期待してもらっていた分、円満に退職できなかったのは悔やまれます。
【正社員】ばっくれるとどうなる?6つのリスク
正社員が仕事をばっくれるとどうなるのか、起こりうる6つのリスクを紹介します。
会社から何度も電話、
上司が家まで来ることも
仕事をばっくれるとまず、会社から何度も電話がかかってくることがほとんどです。
何度も電話がかかってくると、催促されているようで出るのが怖くなってしまうかもしれません。
しかしたいていの場合、会社の人たちは怒っているのではなく「通勤中に事故に遭ったのではないか」「病気で起き上がれないのではないか」と、心配して電話をかけています。
電話に出ないと、最終的には上司が家に確認しに来ることもあります。この時点で事情説明、謝罪をしっかりすることで、穏便に済ませることもできるでしょう。
実家など緊急連絡先に連絡される
電話で連絡がつかず、家にいる様子もない場合、実家などの緊急連絡先に連絡されることもあります。
その結果、親に仕事をばっくれたことがバレてしまったり、親が心配して警察に通報したりなど、騒ぎが大きくなる可能性もあるでしょう。
給料はもらえるが、
無断欠勤分は有給がつかない
仕事をばっくれてしまっても、その日以外で働いた分の給料は通常通りもらえます。
ただし「ばっくれ=欠勤」の扱いになるため、ばっくれた分の給料はもちろん出ず、いつももらえる金額から減給されることになります。
また、ばっくれた後からその分を有給にすることは認めていない会社がほとんど。仕事をばっくれたら、基本的には減給されると考えておきましょう。
2週間の無断欠勤→懲戒解雇に
仕事をばっくれた状態が2週間続くと「会社は懲戒解雇処分を下すことができる」とされています。懲戒解雇とは「罰としてクビになる」ということで、数ある懲戒処分の中では最も重いものです。
「2週間の無断欠勤で通告なしの懲戒解雇が可能」とされているのには、以下の2つの背景があります。
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- 過去の判決から長期的な無断欠勤を理由とした解雇は有効とされていること
- 通常、解雇をする場合は解雇予告が必要だが、その例外として「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し,出勤の督促に応じない場合」が政府の通達に挙げられていること(行政通達(昭和23・11・11基発第1637号、昭和31・3・1基発第111号))
こうした理由から、就業規則で「無断欠勤2週間で懲戒解雇」としている会社がほとんど。
パワハラなど、会社に過失のある無断欠勤の場合、本人の責任と断言しづらく懲戒解雇が認められないことも多いものの、単に仕事をばっくれた場合、2週間で懲戒解雇になる可能性は低くないでしょう。
懲戒解雇処分を受けると、退職金や解雇予告手当がもらえなかったり、残っていた有給休暇が無効になってしまうほか、転職への影響も考えられます。
※懲戒解雇について詳しくは→懲戒解雇とはどういう意味?事例や転職・退職金への影響も
転職に悪影響が出ることも
仕事をばっくれる形で辞めてしまうと、転職に悪影響が出ることもあります。
通常、ばっくれてしまったこと、または最終的に懲戒解雇となってしまったことは、自己申告しない限り転職先に知られてしまう可能性は低いでしょう。懲戒解雇をされた場合、離職票にその旨が記載されますが、転職先がそれを勝手に確認することはできません。
ただし転職先によっては、入社前に離職票の提出を求められる場合もあります。その際に懲戒解雇の事実を知られてしまった場合、虚偽申告として内定取り消しとなる恐れがあります。
また、面接などで離職理由を聞かれたときにうまく応えられず、ばっくれたことがバレてしまった場合「信用できない」と判断される材料となることも否めません。
損害賠償はほぼされないが例外あり
仕事をばっくれても、会社から損害賠償請求をされることはほとんどありません。
損害賠償請求をするのにはお金がかかり、コストが大きい上に、ばっくれたことと損害の直接的な関係を立証するのが難しいからです。
ただし、ばっくれたことと損害の関係が明確であり、損害額が甚大な場合、損害賠償請求をされることが全くないとは言い切れません。
派遣など正社員以外はばっくれるとどうなる?
派遣社員や契約社員、アルバイトなど、正社員以外のばっくれは、正社員よりも処分が軽かったり、その後の影響が少なかったりすることが多いようです。
正社員に比べて、派遣社員、契約社員、アルバイトなどは、解雇されてしまいやすい反面、背負うべき責任が比較的軽く、ばっくれてもそのまま辞められることも多いでしょう。
懲戒解雇などの処分を受けることも少ないので、経歴にも傷がつきません。
ただ、派遣社員では、同じ派遣会社から仕事を紹介してもらいづらくなったり、アルバイトでは勤務先の別店舗やグループ会社などに採用されづらくなったりすることは考えられます。
勤務先がよく立ち寄る場所や家の近くだった場合、従業員の人と遭遇することを避けてしまうなど、生活に影響がでることもあります。
正社員よりも悪影響は少ないものの、それまでお世話になったという礼儀としても、正式な手順を踏んで辞めましょう。
ばっくれた後、どうすればいい?
「軽い気持ちでばっくれてしまったけれど、辞めたくはない」「このまま辞めたいけど、懲戒解雇はされたくない」…そういったときにどうしたらいいのか、ばっくれた後の対処法を解説します。
まずは会社に連絡し謝罪する
仕事をばっくれてしまったら、会社を辞めたくてもそうでなくても、まずは会社に連絡し謝罪しましょう。
ばっくれた直後に会社から電話が来たなら、それに出られると一番スムーズです。出ることができなかったら、改めて電話して謝罪しましょう。
ほとんどの場合、会社の人は心配してくれています。素直に「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした」と伝えましょう。
ばっくれた理由を聞かれたら、「精神的に追い詰められている」「体調がどうしても悪く連絡することが難しかった」など、具体的に説明できるとよいでしょう。
辞めるなら、解雇される前に
自己都合退職を目指す
仕事をばっくれてしまったまま2週間が経ち、懲戒解雇になるのは最も避けたいところです。
もしもそのまま辞めることを考えているのなら、懲戒解雇になる前に、あくまで自分の意思、自己都合で退職するようにしましょう。自己都合退職であれば、経歴に傷はつきません。具体的な方法は次の章で解説します。
また、退職するための正しい手順を踏む余裕がない場合の退職方法は「最速で退職する方法」で紹介します。
自己都合退職の流れ
ここでは、一般的な自己都合退職の流れを解説します。
※自己都合退職の方法について詳しくは→自己都合退職とは?会社都合との違い・失業保険の受け取り方まとめ
※退職の手続きについて詳しくは→【完全版】退職時・退職後の手続きガイド
STEP1:上司に相談して退職日を決める
退職すると決めたら、まず上司に相談して退職日を決めましょう。
ただし、重要な仕事を担っていたり、上司に評価されていたりすると、引き止められることもあります。
それでも退職の意思が固まっているなら、その意思をしっかりと伝えましょう。過度な引き止めにあったときは、さらに上の上司に相談しましょう。
万が一納得してもらえなくても、退職は労働者の権利。心配する必要はありません。
※退職の切り出し方について詳しくは→トラブらない退職の切り出し方|どんな言い方・伝え方をすれば良い?
※引き止めにあったときについて詳しくは→退職を引き止められたとき、穏便にすませるための上手な対処方法
STEP2:辞める1か月前に会社に通知し、退職届を出す
退職日が決まったら、退職届を提出しましょう。
上司が取り合ってくれず、退職の同意が得られない場合は、最低でも退職を予定している日の1か月前に会社に退職を通知し、退職届を出しましょう。
※退職届を受け取ってもらえない場合→「出社できなければ内容証明郵便」
1か月前に通知すべきとされている理由は、引継ぎや辞めるための手続き準備にそのくらいの期間が必要だからです。引継ぎや人員配置に時間がかかることもあるので、できれば2か月前に伝えておくとより良いでしょう。
※退職届の書き方について詳しくは→【見本つき】退職届・退職願の書き方まとめ|退職理由の書き方も
STEP3:後任者に引き継ぎ
退職日が決まったら、後任者への引き継ぎに取り掛かります。
引き継ぎのスケジュールを決め、マニュアルを作成し、後任者と業務内容を共有します。
その後、後任者と一緒に担当交代のあいさつ回りなどを行うのが一般的な流れです。
※退職時の引き継ぎについて詳しくは→退職時の引き継ぎをスムーズに行うためには【義務、期間、資料】
STEP4:有給休暇を消化する
退職前に、残っている有給休暇を全て使うことができます。最終出社日から退職日までの間や、最終出社日までの期間に、まとめてあるいは少しずつ有給を消化する事が一般的です。
ただ、引き継ぎ期間を考慮せずに有給を使おうとすると、トラブルになってしまうこともあります。引き継ぎに余裕をもって有給を使えるよう、退職日を設定・変更しましょう。
※退職前の有給消化について詳しくは→【社労士監修】退職前の賢い有給消化マニュアル
STEP5:会社から借りているものを返却
健康保険証や、会社から借りている社用携帯やPC、社員証などを返却します。
最後の出勤日にまとめて返すのが一般的ですが、返し忘れた物があったら、郵送で返却しましょう。
辞めやすいタイミングとは?
退職時に最もネックになるのが「引き止め」。辞めることに罪悪感を感じ、なかなか辞められなくなってしまうことも。
引き止められにくいタイミングは、「閑散期」や「プロジェクトの合間」です。人員配置などの調整がしやすく、引継ぎに時間を割ける閑散期や、携わっているプロジェクトがひと段落したときなど、仕事に余裕が出るタイミングがおすすめです。
退職の申し出もしやすく、柔軟に対応してもらえることが多いでしょう。
最速で退職する方法
今すぐにでも辞めたい、手間をかけずに辞めたいときに、最速で退職する方法をご紹介します。
法律上では2週間あれば辞められる
民法上では、退職届を出してから2週間で退職が成立するとされています。
今すぐにでも会社を辞めたい場合、退職届の提出日から休日を含めた2週間後の日付を退職日とします。
たとえ就業規則に「退職は◯ヶ月前に申し出ること」とあったとしても、民法は会社の就業規則より効力が強いので、確実にその日に辞めることができます。
ただ、これはあくまで「パワハラがひどく心身に不調をきたしている」「引き留めがひどく辞めさせてくれない」など非常時の手段なので、積極的に使うのは避けましょう。
※2週間で辞める方法について詳しくは→退職は2週間前の申告でできるって本当?退職日設定や有給消化も解説
出社できなければ内容証明郵便
仕事をばっくれてしまった後など、上司と顔を合わせるのが気まずいときや、出社することが難しいときは、内容証明郵便で退職届を会社に送りましょう。
内容証明は、文書の内容を郵便局が証明してくれるサービスです。これにより、退職届の提出を法的に証明することができます。
ただ、できる限り退職届は対面で提出できるのが望ましいので、この方法は出社がどうしても困難な非常時のみ使用するようにしましょう。
退職代行は最終手段
最も手間をかけずに辞められるのは「退職代行」です。
相場は5万円程度とお金はかかりますが、退職にまつわるすべての手続きを代行してもらうことができます。会社とのやり取りも代行してもらえる上に、会社から本人に直接連絡しないように交渉してもらうこともできます。
辞める会社からの心証は良いものではありませんが、転職活動に重点を置きたいなど、よりカジュアルな理由で利用する人が増えています。
まとめ
仕事をばっくれてしまったら、続けるにせよ辞めるにせよ、まずは謝罪をしましょう。
退職すること自体は、手段さえ誤らなければ決して悪いことではありません。新しい職場に快く転職するためにも、経歴に傷をつけず退職することを目指しましょう。