体調不良や人間関係の例文13選 面接での退職理由(転職理由)の伝え方
退職理由(転職理由)は転職の面接で必ず聞かれる質問です。
マイナスな印象にならない伝え方や、すぐに使える例文を紹介します。
面接で伝える退職理由が思いつかない…どう言えばいい?
面接で退職理由(転職理由)を聞かれても「人間関係が悪い」「残業が多い」「給料が低い」といった不平不満しか思いつかない…それは至極当然のことでしょう。ほとんどの場合、転職のきっかけはネガティブなものだからです。
一方、そうした本音を伝えると印象が悪いともよく耳にします。結果、退職理由をどう伝えれば良いのかわからず、頭を悩ませる人は少なくありません。
面接での退職理由はどのように伝えれば良いのでしょうか?
退職理由(転職理由)はこう伝える!
面接で退職理由(転職理由)を聞かれた場合、伝えるべきポイントは2つ。
「1)転職によって叶えたいこと」と「2)前職でもできる限りの努力をしたこと」です。
〈退職理由(転職理由)の例文〉
- 年次に関係なく提案できるような環境で働きたいと思い、転職を検討しております。
- 現職では重役以外誰も発言しない定例会議や、そのための資料作成や調整業務が多く、自分の業務を進める時間がどうしても限られていました。会議の進め方や頻度について、改善策を何度か上司に掛け合いましたが、その度に「ウチはそういう会社だから」と言われてしまい、取り合ってもらえませんでした。
こうしたことから、より良い組織づくりや自分自身の成長のためには、年次に関係なく発言がしやすい環境が大切だと感じ、転職を検討しました。
1)転職によって叶えたいこと
面接で退職理由(転職理由)を聞かれた場合、まずは「◯◯したいと思ったから(転職したい)」という、転職によって叶えたいことを一言で伝えましょう。
とはいえ、それが何なのか思いつかない人も多いでしょう。しかし、ゼロから考える必要はないので安心してください。「転職によって叶えたいこと」は、「人間関係が悪い」「残業が多い」「給料が低い」といった不平不満の根底に必ずあるものだからです。
例えば「人間関係が悪くてつらい」という不満の裏には「もっと和気あいあいとした環境で働きたい」「チームワークの良いところで働きたい」という望みがあるはず。
前職に対する不平不満をもとに、そうした「転職で叶えたいこと」を言語化してみましょう。例えば下記のような具合です。
〈「転職によって叶えたいこと」の例〉
- (不平不満)無駄な会議や資料作成が多く、残業時間が長くなりがち。改善策を提示しても取り合ってもらえなかった。
→(本当は)業務の効率化を考え、年次に関係なく提案できるような環境で働きたい
- (不平不満)相談しても暴言を吐かれるなど、上司のパワハラが酷かった
→(本当は)上司やチームメンバーと積極的にコミュニケーションを取りながら仕事を進めたい
こうした「本当はこんな風に働きたい」という、仕事や働き方、キャリアに対する思いや大切な価値観こそが「転職で叶えたいこと」です。
このとき、たとえ前向きな表現だとしても「残業なしで楽に働きたい」「給与が高いところで働きたい」といった、待遇に関することを伝えるのは避けましょう。
面接官から「待遇ばかり気にして仕事に対する熱意が感じられない」「ウチより好条件のところがあればまた転職するのでは?」などと思われてしまうからです。
2)前職でもできる限りの努力をしたこと
転職によって叶えたいことを伝えたら、次はその実現のために「前職でもできる限りの努力をしたこと」を伝えましょう。
前職でどのような課題があり、その改善に向けてどのようなアクションをしたのか、当時の状況や転職という決断に至った経緯を端的に説明します。
このとき「上司の態度が本当にひどくて~」「無駄な作業のせいで残業が多すぎて~」など、前職をただ感情的に非難するのはNG。面接官から「他責的で自分を顧みることができない人」「少しの不満で辞めてしまう打たれ弱い人」などと判断されてしまうからです。
「前職でもできる限りの努力をしたこと」の伝え方は、例えば下記のような具合です。
〈「前職でもできる限りの努力をしたこと」の例〉
- 重役以外誰も発言しない定例会議が多く、自分の業務を進める時間が限られていた。会議の進め方や頻度について、改善策を何度か上司に掛け合ったが「うちはそういう会社だから」と、取り合ってもらえなかった。
- 業績不振で次々に同僚が辞めていく状況だった。若手だったこともあり、後任として業務を任されることが多く、ついには自分1人ではどうやっても処理しきれない量になってしまった。上司に調整を打診しても後回しにされてしまった。
- 上司が自分の発言内容や期日について忘れることが多く、期日直前に突発的な業務を依頼されたり、以前と違う指示をされたりと、業務に支障をきたすことが多々あった。改善のため確認の頻度を増やしたり議事録をとったりしたものの、その度に嫌な顔をされ、改善もされなかった。
「前職でもできる限りの努力をしたこと」を伝えたら、最後にもう一度「転職で叶えたいこと」を伝えましょう。
当時の状況をふまえ、転職によってどのような働き方・キャリアを実現したいと考えたのか、改めて言語化します。
注意:応募先で実現できる内容を伝える!
(1)で整理した「転職で叶えたいこと」はもちろん、応募先で実現できる内容を伝えなくてはいけません。例えば年功序列の会社で「年次関係なく挑戦できる環境で働きたい」と伝えても、面接官から「その希望はウチでは叶わないな…」と判断されてしまうからです。
「転職で叶えたいこと」がマッチする企業・ミスマッチになる企業としては、例えば下記のようなものがあります。
〈マッチする企業・ミスマッチの企業の例〉
- 業務の効率化を考え、年次に関係なく提案できるような環境で働きたい
→(◯)若手マネージャーが活躍しているなど、「出る杭は伸ばす」ベンチャー気質な企業
→(✕)伝統を重んじ、年功序列の色が濃く、社内稟議も多い老舗の大企業
- 上司やチームメンバーと積極的にコミュニケーションを取りながら仕事を進めたい
→(◯)社員同士のランチ・飲み会が多い、上司との定期的な1on1があるなど、フランクなコミュニケーションを重視している企業
→(✕)競争意識が強くドライな雰囲気で、仕事はあくまで個人で進める企業
伝えようとしている「転職で叶えたいこと」が応募先で実現できるかどうかは、応募先の企業研究を行うことで判断できます。
企業研究の方法としては、以下のようなものがあります。
〈企業研究の一例〉
- 求人情報で「求める人物像」「社風」などの項目を確認する
- ホームページや企業紹介サイトなどで社員インタビューの記事を読む
- IR情報などから中期経営計画の内容を確認する
- 応募先企業やその業界にまつわるニュースをチェックする
- 応募先企業で働いている知人がいれば、話を聞く
- (利用している場合)転職エージェントから内部情報を聞き出す
叶わないなら辞退も1つの選択肢
企業研究の結果、応募先では「転職で叶えたいこと」が実現できないとわかった場合、実現できそうな他の「転職で叶えたいこと」がないか、改めて考えてみましょう。前職への不平不満や退職を決めたきっかけは、1つではないはずです。
考えた結果、応募先で実現できそうな他の「転職で叶えたいこと」が思い浮かばない場合、あるいは実現できないとわかったはじめの「転職で叶えたいこと」が絶対に譲れない条件だった場合は、その企業はあなたにとってベストな転職先ではない可能性があります。
その際、内定欲しさに本当の希望とはまったく関係のない嘘の「転職で叶えたいこと」を伝えるのはおすすめできません。他の質問の回答と辻褄が合わずに結局不採用になってしまったり、入社後に働きづらく短期離職につながったりするリスクがあるからです。
自分自身が入社後に長く気持ちよく働くためにも、本当にそのまま選考を受け続けても良いのか、あるいは「転職で叶えたいこと」が実現できる他の企業を探すのか、しっかりと時間をかけて考える必要があります。
▼その退職理由で大丈夫?
コラム:退職理由(転職理由)と志望動機の違いは?
退職理由(転職理由)と志望動機の違いは、話の焦点が転職の軸か、応募先かという点にあります。
退職理由のメインはあくまで「どうして退職(転職)を決断したのか」「転職によって何を実現したいのか」というポイントです。
一方の志望動機は、退職理由に関連して「希望が叶う数ある選択肢のうち、どうして自社なのか」にフォーカスが当てられます。
両者は地続きの質問なので、退職理由に続いて志望動機もあわせて聞かれることも多いでしょう。
その際は、応募先ならではの特徴や魅力を具体的に語れるよう、企業研究をしっかりしておくことをおすすめします。
志望動機の考え方や例文は、下記の記事からチェックできます。
よくある退職理由の例文13選
よくある13の退職理由(転職理由)について、面接での伝え方・例文を紹介します。
自分の状況に近いものを参考にしてみてください。
人間関係が悪い
人間関係が退職理由(転職理由)の場合、つい「上司と馬が合わなかった」「お局のような年配社員がいて嫌だった」など、上司や同僚に対する不平不満を言いたくなってしまいますが、それはNG。
人間関係の問題は多かれ少なかれどんな職場にもあるため、上司や同僚を非難するような口ぶりでは「あなたにも課題があったのでは?」「ウチでも同様にトラブルを起こしそう」といったマイナス印象につながりかねません。
そうではなく、どんなコミュニケーションスタイル・チーム体制・雰囲気の職場で働きたいのか、前向きな思いを中心に伝えましょう。
〈例文〉
以前の職場は個人プレー重視の社風だったため、チームで仕事ができる環境に身を置いてみたいと思い退職を決意しました。
前職は個人での営業成績が重視されていたこともあり、競争意識が強く、メンバー同士のコミュニケーションやチームで協業する姿勢が不足していると感じる場面が多くありました。私から声をかけるようにしたり、業務の中での気づきを積極的に共有したりといったことも試みましたが、殺伐とした雰囲気はあまり改善されませんでした。
もちろん成果を出すことは大切ではあるものの、周囲と意見交換しながら働くことができれば、より営業職としての幅が広がるのではないかと考え、オンライン・オフラインを問わずコミュニケーションを重視している会社への転職を考えています。
パワハラを受けている
パワハラが退職理由(転職理由)の場合、パワハラの具体的な内容やその酷さを伝えるのではなく、上司や会社との考え方や方針の違いという形に言い換えましょう。
明らかに相手に非がある場合でも、面接官は当事者ではないため状況を正しく判断できず「あなたにも課題があったのでは?」「打たれ弱い性格なのでは?」といった印象につながる恐れがあるからです。
ただし、当時の状況についてくわしく聞かれた場合、できる限り冷静な態度で「上司から◯◯などと叱責された」「相談を持ちかけても無視された」など、客観的な事実であれば伝えても良いでしょう。感情的になったり、自分から「パワハラを受けていた」と強く断定したりすることは避けましょう。
売上と顧客満足度のどちらも高めていきたいと考えたのが、退職の動機です。
前職は営業職全員に高いレベルの売上目標が設定されており、何よりも売上を伸ばすことが重視されていると感じていました。営業職として売上目標を達成するのはもちろん大切ですが、同時にお客様の満足度を高めることも大事だと考えています。
提案力と丁寧な対応を強みとしている御社に入社することで、前職で培ったスピード感と顧客満足度の両立を実現したいと考えております。
体調不良・メンタルヘルス
体調不良やメンタルヘルスが退職理由(転職理由)の場合、診断書や治療を受けた事実があるのであれば、正直に伝えましょう。
離職期間がある場合、その理由について後から聞かれる可能性が高いので、ごまかすのは難しいでしょう。
一方で、現在は回復しており、今は十分に働けることをはっきりと伝えるのがポイント。面接官は「仕事に支障が出るのではないか?」「完治しておらず、また同じ理由で辞めてしまうのではないか?」を気にしているからです。
健康で明るい印象になるよう、応募先企業に対する熱意や志望動機をあわせて伝えても良いでしょう。
〈例文〉
前職は、長時間勤務や休日出勤が続いたことで体調を崩してしまったため退職いたしました。静養の結果、現在は体調も回復しており、医師からはこれまで通り仕事に取り組んで問題ないと言われています。
オウンドメディアの運用や制作に携わってきた経験を活かして、御社のメディア制作事務スタッフとして資料作成やデータ整備に取り組み、力を尽くしたいと考えております。
仕事が合わない・向いていない
仕事が合わない・向いていないことが退職理由(転職理由)の場合、今の仕事への不満や適性のなさよりも、やりたい仕事やチャレンジしたいことにフォーカスをあてた伝え方をしましょう。
どうしてその仕事をしたいと思ったのか、納得感のあるきっかけや背景を説明すると良いでしょう。
また、その仕事が前職(現職)ではどうしても叶わなかったことをあわせて伝えると、より説得力が増します。
〈例文〉
事務職として組織の運営をサポートする仕事がしたいと考え、転職を検討しております。
現職では営業職として3年間働いておりますが、上司のプレゼン資料を作成したり、業務フローの改善案を提案したりする際、課題発見力や課題を整理してより良い方向にまとめる力などを評価される機会が多くありました。実際に私が提案した業務フローや資料のフォーマットが採用されたこともあり、次第にバックオフィスの仕事に興味を持つようになりました。
現職を続けることも考えましたが、少人数の組織ということもあり、部署異動は難しいと言われてしまったため、自分がよりやりがいを感じながら取り組めるサポート部門の仕事ができる職場への転職を決めました。
社風が合わない
社風が合わないことが退職理由(転職理由)の場合、今の職場への不満ではなく、どのような考え方・体制の職場で働きたいのか、自分自身の希望を伝えましょう。
また、面接官から「あなたが浮いていただけでは?」と判断されないように、自分自身が適応できないか考えたり、改善の提案をしたりといった努力をしたこともあわせて伝えると良いでしょう。
〈例文〉
個人の意見が尊重され、若手でも新しい提案ができる環境で働きたいと考え、退職を検討しております。
現職は老舗の食品メーカーということもあり、商品の開発方法や販売方法、業務の進め方などについて、どうしても従来の考え方ややり方に固執してしまうことがありました。何度が昨今の消費者の動向やニーズをふまえ、新しい商品の企画やプロモーション方法などについて提案したものの、いずれも「これがウチの伝統だから」と取り合ってもらえない状況です。
もちろん伝統を大切にしたいという思いもありますが、時代の流れや変化に応じて新しい意見を柔軟に取り入れ、より価値の高いものを生み出していける組織で働きたいと思い、転職を決めました。
給料が低い・安い
給料が低い・安いことが退職理由(転職理由)の場合、「実績で評価してほしい」「若手でも活躍したい」といったオブラートに包んだ表現をするのがコツです。
ただし、給料アップだけが目的だと思われると「待遇ばかり気にして仕事に対する熱意が感じられない」「ウチよりも条件が良い会社があればまた辞めるのでは?」などとマイナス印象につながってしまうので要注意。
退職理由に続けて「数ある企業の中でもなぜウチなのか?」という志望動機を聞かれる可能性が高いので、その際は応募先企業に感じている魅力や、応募ポジションへの適性もきちんと伝えるようにしましょう。
〈例文〉
年次を問わず成果や実力を評価していただける環境にチャレンジしたいと考え、転職を決めました。
現職では広告企画職を3年間務めており、月間契約数トップを複数回達成しました。ですが、実績に関係なく勤続年数で報酬やポジションが決まる年功序列の風土のため、成長スピードを上げきれていないと感じることが多くありました。
勤続年数を問わず実績で評価される場に身を置くことで、刺激を受けながらより良い仕事ができるのではないかと考えており、そのような企業風土の会社への転職を検討しております。
残業が多い・休みが少ない・ワークライフバランスを整えたい
残業が多い・休みが少ない・ワークライフバランスを整えたいという退職理由(転職理由)の場合、現職の労働時間や勤務日数が志望先の企業と比べて極端に多くない限りは、具体的な内容を伝えないほうが無難です。
また、残業や休日出勤を減らすために自分なりの努力をしたこともあわせて伝えると良いでしょう。
ただ「残業が多くて~」「休みが少なくて~」とだけ伝えてしまうと、面接官から「あなたの業務効率が悪いのでは?」「コミュニケーション能力が低く、上司に報連相できないのか?」などと思われてしまうからです。
残業の多さや休日の少なさよりも、それが原因で実現できなかったことを転職で達成したいという点にフォーカスし、志望動機につながる内容を伝えるようにしましょう。
〈例文〉
より良いシステム開発のために議論する時間をしっかり確保できる、クオリティに妥協しない環境で働きたいと考え、転職を検討しております。
現職では退職者が毎月出ていることもあり、受注した案件のタスクが業務時間内に処理できず、ほぼ毎週休日出勤がありました。業務調整を上司に相談してはいるのですが、メンバーが少ないこともあり、なかなか難しい状況です。
また、タスクを高速に処理することが重視され、より良いシステム開発のために議論する時間もほとんどないことから、このままではスキルアップにつながらないと感じております。
これからはより良いシステム開発のために議論をしたり考えたりする時間を確保でき、クオリティを優先できる環境で働きたいと考え、転職を決めました。
短期間で退職した・第二新卒で転職する
短期間で退職した・第二新卒で転職する場合、退職理由(転職理由)は「やむを得ず退職した」と納得してもらえる言い方をしましょう。
退職を考えるきっかけになった問題に対して、客観的に自分ができる限りの対応をしたことを伝え、会社側にも非があったと思ってもらえるようにしましょう。
〈例文〉
事務職としてのキャリアを築ける環境で働きたいと考え、転職を検討しております。
現職は資料作成や業務フローの見直しなど、営業職のサポート業務を行う営業事務のポジションで入社したのですが、実際の業務内容はテレアポによる新規開拓営業でした。まずは設定された目標件数を達成したうえで、上司に業務内容のすり合わせや見直しを願い出たものの、依然としてテレアポ以外の業務はできていない状況です。
経験を広げる意味で現職を続けることも考えましたが、事務職としてのキャリアを考えると、やはり自分がやりがいを感じられる資料作成や業務フロー・社内ルールの検討や改善の経験を積みたいと考え、転職を決めました。
会社の将来性が不安
会社の将来性への不安が退職理由(転職理由)の場合、退職(転職)する必然性が伝わるよう、状況をくわしく説明しましょう。
例えば「同じ部署の社員が次々に辞め、その仕事をすべて処理しなくてはいけない」「取引先が減り、仕事がほとんどない」「経営層が状況を正しく把握しておらず、間違った方針を打ち出している」といった具合です。
また、今は実現できていないが、転職後はどのような仕事をしたいのかという、仕事や働き方に対する前向きな思いもあわせて伝えると納得感があるでしょう。
〈例文〉
よりチャレンジングな環境で組織を強く大きくしていけるような仕事がしたいと考え、退職を検討しております。
現職の印刷会社では雑誌やチラシといった紙媒体の印刷を請け負っておりますが、インターネットやスマートフォンの普及による打撃は大きく、需要は右肩下がりの厳しい状況が続いています。出勤しても仕事がほとんどない日もあり、キャリアへの不安は大きくなるばかりです。
このまま時間を無駄にしてしまうよりも、組織の発展のために試行錯誤し、自分自身のスキルアップにもつなげられるような環境に身を置きたいと考え、転職を決意しました。
新しいことに挑戦したい(キャリアチェンジ)
新しいことに挑戦したい・キャリアチェンジしたいという退職理由(転職理由)の場合、どうしてその決断に至ったのか、きっかけや背景を自分の言葉で説明しましょう。
このとき「将来性のある業界だから」「高給与が望めるから」といった内容は、目移りしやすく飽きっぽい印象を与えるので、避けるのが無難です。
チャレンジしたい仕事や職種に対する熱意を伝えるとともに、それを手に入れるための努力をしていることを伝えると、本気度が伝わり好印象です。
〈例文〉
Webデザイナーの仕事に挑戦したいと考え、転職を検討しております。
現職の企業では生活雑貨の制作・販売を手掛けており、Webサイトでの通信販売もしているのですが、古いサイトということもあり、デザインや使い勝手が悪く、購入実績も芳しくない状況でした。改善策を提案したこともあったのですが、予算の都合上、サイトの改修は叶っていない状況です。
一方、改善策をまとめる上でWebデザインに関する書籍や講座などで勉強したり、ソフトでWebページの改修案を作成したりするうちに、デザインによってユーザーの課題を解決することに大きなやりがいを感じるようになり、Webデザイナーへのキャリアチェンジを決意しました。
スキルアップしたい・専門性を高めたい
スキルアップしたい・専門性を高めたいという退職理由(転職理由)の場合、それが前職(現職)では叶わないことを、説得力のある形で伝えましょう。
スキルアップのために今の会社で自分なりに努力をしたことが伝われば、面接官も納得してくれるでしょう。
また、スキルや専門性はあくまで仕事をするための手段なので、その向上だけを目的に転職するのではなく、将来的にチャレンジしたい仕事や、理想とするキャリアなどもあわせて語れるとベストです。
〈例文〉
SIer(システムインテグレータ)で大規模案件や上流工程の経験を積むことで、エンジニアとしてスキルアップしたいと考え、転職を検討しております。
現在はSES(システムエンジニアリングサービス)企業でフロントエンドエンジニアとして受注したシステム開発の案件を担当しておりますが、業態の特性上、開発工程の一部分にしか携われないことに加え、短期スパンで案件が変わるため、スキルアップに限界を感じております。
得意とする◯◯の技術を活かせる案件や、少しでも上流工程を経験できる案件に入れないか上司に打診しているものの、希望はほとんど通らない状況です。
将来的にはプロジェクトマネージャーを目指したいと考えているため、現職より少しでも必要なスキル・経験が得られる環境に身を置きたいと思い、転職を決めました。
結婚した
結婚が退職理由(転職理由)の場合は、隠さず伝えて問題ありません。
現在は働く意欲があることを明確に伝え、どのような仕事をしたい思っているのか、前向きな内容をアピールするのがポイントです。
もし残業が難しい事情があれば、「残業はできますか?」と聞かれた場合に限り「基本的には○時頃まで勤務可能です。毎日となると難しいかもしれないので、勤務時間内に効率よく仕事をして業務量をカバーしていきたいと考えています」のように、前向きな内容で答えるようにしましょう。
〈例文〉
結婚しても変わらず仕事を続けたいと考えていたのですが、どうしても転居が必要だったため、退職いたしました。
引っ越し後、家庭も落ち着きましたので、前職で培った総務・人事の経験を活かして働きたいと思っております。
妊娠・出産の予定を聞かれたらどうする?
厚生労働省のガイドラインでは、家庭環境に関する質問は本来、聞くべきではないとされています。しかし実態として、結婚を理由に退職した場合、妊娠・出産の予定を聞かれることも少なくありません。
万が一聞かれた場合は「2~3年後に予定している」など差し支えない範囲で答えたうえで、妊娠・出産したとしても長く働く意欲があることを伝えましょう。
親や家族の介護が必要になった
親などの家族の介護が退職理由(転職理由)の場合は、そのまま正直に伝えてOKです。
ただし、今は状況が改善したため仕事に支障がないことを伝えるのがポイントです。例文の「兄家族が対応してくれる」のように具体的な内容も合わせて伝えると、安心材料になります。
〈例文〉
父が脳梗塞で倒れ、介護が必要になったため前職を退職しました。
父は当時一人暮らしをしていたのですが、その後は介護施設に入所して介護の必要がなくなったため、再度働きたいと考えております。もし何かあった際は兄家族も対応してくれますので、業務に支障はありません。
今後は仕事に集中し、これまでの営業経験を活かして一刻も早く御社に貢献したい所存です。
詳しい介護状況を聞かれたらどうする?
厚生労働省のガイドラインでは、家庭環境に関する質問は本来、聞くべきではないとされています。しかし実態として、介護を退職理由として伝えた場合、介護状況を詳しく聞かれる可能性があります。
万が一聞かれた場合は、病名や介護の必要度、家族の体制、介護サービスの利用状況などは差し支えない範囲で答えられると良いでしょう。
詳細がわかったほうが面接官は安心しますし、入社後に休みを取る必要がある際にも理解を得やすくなるからです。
退職理由は嘘をついてもいいの?
面接で嘘の退職理由を伝える2つのリスク
面接で嘘の退職理由(転職理由)を伝えることは、2つのリスクがあるためおすすめできません。それは「1)嘘がバレて不採用になる」リスクと、「2)入社後にギャップを感じる」リスクです。
リスク1:嘘がバレて不採用になる
仮に嘘の退職理由(転職理由)を伝えても、面接中にバレてしまい、不採用になる可能性があります。
退職理由は応募者の人物像を正しく把握する上で、面接官にとっても特に気になる質問の一つ。当時の状況やその時にとった行動などについて、深く掘り下げられることは珍しくありません。
その際、嘘の退職理由を伝えてしまうと、話の辻褄を合わせようと取り繕ううちに、ボロが出たり矛盾が生じたりすることで、面接官に嘘がバレてしまうのです。
結果、面接官から「信用できない」「本当の人物像がわからず、自社との相性を判断できない」と判断され、不採用になってしまう可能性が高いでしょう。
▼面接で嘘をつくリスクについてくわしく
リスク2:入社後にギャップを感じる
たとえ面接で嘘の退職理由(転職理由)を伝えて内定をもらえたとしても、入社後にギャップや働きづらさを感じる可能性があります。
例えば長時間労働という本音の退職理由の代わりに、仕事内容に対する不満という嘘を伝えたとしましょう。このとき、面接官は「ウチは残業が多い時期もあるけど、仕事に対する意欲があるから、きっと頑張ってくれるだろう」などと間違った判断をし、内定を出してしまうことになりかねません。
その結果、前職と変わらず労働時間の長い会社に入社してしまい「こんなはずじゃなかった…」などと後悔し、短期離職につながってしまうのです。
はじめから本音の退職理由を伝えていれば、残業の多い応募先からは内定をもらえなくなってしまうかもしれませんが、ある意味それは「長時間労働は嫌だ」という自分の大切な価値観・譲れない条件に反する会社を「排除できている」とも捉えることができます。
そうすることで、自然と残業が比較的少ない会社だけが残り、入社後にギャップや働きづらさを感じるリスクを減らすことができるでしょう。
退職理由と一緒に志望動機も準備しよう
転職の面接では退職理由(転職理由)に関連して、志望動機を聞かれるケースが一般的です。面接官は、応募者の希望が叶う選択肢のうち、どうして自社なのかを気にしているからです。
下記の記事から例文を参考にし、数ある企業のうち、その応募先に惹かれている理由を言語化しておきましょう。
また、志望動機のほか、キャリアプランや逆質問など、転職でよく聞かれる質問については下記の記事でまとめています。
面接当日のマナーや服装もチェック
面接の質問対策と同時に、面接当日の立ち居振る舞いやマナー、服装や身だしなみの準備もしておきましょう。
▼面接当日のマナーについて
▼面接にふさわしい服装・身だしなみ
この記事の監修者
キャリアアドバイザー
竹園 翔一
株式会社クイック
転職支援を行うキャリアアドバイザー。主に建設・不動産・