長さは何分?例文も紹介 転職のプロに聞く、面接の志望動機の答え方
面接でよくある質問のひとつ、志望動機。
本当の正しい答え方について、これまで多くの求職者の選考対策をしてきた株式会社クイックの転職アドバイザー、大熊文人氏に話を聞きました。

大熊文人氏。転職支援を行うキャリアアドバイザー。豊富な支援実績から得た採用市場や業界の事情、転職活動の最適な進め方などのアドバイスを積極的に行い、4,000人以上の求職者の転職成功に貢献。
なぜ面接で志望動機を聞かれるの?
企業が志望意欲の高さを確かめるため
面接官は志望動機を聞くことで、応募者の志望意欲の度合いを確かめています。
説得力のある志望動機を答えるには、丹念な企業研究がマストです。応募する企業や仕事内容についてよく理解することはもちろん、競合や業界の状況も調べた上で「どうしてその企業でなければならないのか」もきちんと考える必要があります。
それをふまえた志望動機を答えることができれば、自然と志望意欲の高さが伝わるでしょう。
面接での志望動機の答え方・長さ
結論ファーストで、長さは1~3分
面接での志望動機ははじめに、結論として「志望先の企業・仕事内容で惹かれたポイント」を述べます。
その上で、惹かれた理由や背景を「その企業ならではの強み・特徴」と絡めながら答えられると効果的です。
話す時間は1分程度、長くても3分以内におさめましょう。1分で話せる文字数は300字程度です。
志望動機の例文
▼結論
御社のとことんお客様のニーズに寄り添うスタンスに魅力を感じたからです。
▼企業ならではの強み・特徴
御社はクライアントごとに商品の味付けや加工方法を変えるなど、営業に限らず企画や生産も一丸となったサービスを提供されていると認識しております。
そうした顧客第一主義を掲げることで、ただ製品の魅力を一方的に伝え押し売りするのではなく、「本当にいいもの」として心から満足していただくことで、クライアントと長く良好な関係を築けるものと考えております。
▼惹かれた理由・背景
私自身もこれまで営業職として、対話を重視した丁寧でこまめなヒアリングを実施したり、昨今の消費者のニーズを分析した独自資料を共有したりと、お客様のニーズに寄り添うことを大切にしてきたことから、これまでの経験を活かしながらより本質的な課題解決に挑戦できるものと思い、志望致しました。
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ありきたりな魅力を述べないよう注意
とりわけ有名な大企業などを志望する場合、惹かれたポイントとして、
- トップシェアを持つ製品が多いから
- 規模が大きく安定しているから
といった、誰でもわかるようなありきたりな内容を挙げがちです。
ただしこうした内容だけでは、志望動機としては弱いでしょう。もう一歩踏み込み、どうしてトップシェアを誇っているのか、どうして大企業に成長できたのか、その事実・結果の根本にある企業ならではの強み・特徴をよく調べ理解しましょう。
その上で、自分のキャリアにとってそれがどうして魅力的に映るのかを答える必要があります。
志望動機の例文集
面接で答える志望動機の例文を、業種・職種別にまとめました。
〈事務職〉の志望動機の例文
▼結論
事務というサポートの立場でありながら、主体的に動けるような環境や仕事内容に惹かれたからです。
▼企業ならではの強み・特徴
御社の事務職では、立場に関係なく気軽に意見を発信できるようなオープンな雰囲気の中で、荷電による新規開拓にも挑戦できるとお伺いしております。
▼惹かれた理由・背景
現職では営業職スタッフから指示された事務作業を淡々とこなすことが求められていましたが、次第にもっと主体的に動けるような仕事がしてみたいと思うようになりました。
御社であれば、これまで意識してきたスピード感や正確性は大事にしつつ、フラットな関係で周囲のメンバーとコミュニケーションをとりながら、自分の頭で考え行動するような積極性のある仕事ができると感じ、志望いたしました。
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その他の業種・職種については下記の記事をご確認ください。
面接の志望動機にまつわるQ&A
面接の志望動機に関して、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。
Q.志望動機が思いつかない…
A.情報収集をして企業の強みを見つける
面接で伝える志望動機がない、思いつかない場合、まずは志望先企業の求人票やホームページなどを読み込み、新聞・雑誌・インターネット等で最近の業界状況や競合他社などの情報収集を行いましょう。その企業・その職種やポジションならではの強みや特徴が見えてくるはずです。
その上で、自分の経験やスキル、仕事観などを振り返り、その強みや特徴に惹かれる理由や背景を考えましょう。
例えば「実力主義で若年層の管理職登用も活発」という特徴を持つ企業であれば、「若手ながら3人の新人育成・マネジメントを任された」「チームに課題を感じたときは、年次に関係なく積極的に発信してきた」などの経験やスタンスがアピールに効果的でしょう。
ただ、こうした自分の市場価値を正しく把握した上で、その企業でなくてはならない理由を言語化するのは簡単なことではありません。企業や職種、ポジションならではの強み・特徴についても、自分で調べられる範囲には限界があります。
その場合、企業や業界動向に詳しい転職エージェントと相談しながら、少しずつ見定めていくのも良いかもしれません。
Q.志望動機は履歴書と同じでOK?
A.同じでOK。ただし言葉を補って
面接で話す志望動機は、履歴書と同じ内容で問題ありません。ただ、履歴書では文字数の関係で伝えられる内容に限界があります。
よって面接では、エピソードをより具体的に話したり「◯◯を通して▲▲と感じまして…」など心の動きについて触れたりと、言葉を補いながら説明するイメージです。
Q.志望動機が複数あるときどうする?
A.2つまでに絞るのが無難
面接の志望動機で伝える要素は2つまでに絞りましょう。面接では志望動機に限らず、すべての質問で1分程度の端的でわかりやすい受け答えが求められます。
いろいろとアピールしようと内容を盛り込み過ぎると、話にまとまりがないと判断されてしまうので、避けたほうがいいでしょう。
Q.志望動機は暗記した方がいい?
A.暗記はNG。要点だけ覚えておく
志望動機など、面接でよくある質問について、回答内容を丸暗記することはおすすめしません。
少なからず緊張する実際の面接の場で、覚えてきた内容を一言一句間違わずに言い切るのは現実的に難しい上に、たどたどしくなってしまう恐れがあるからです。
おすすめは、必ず伝えたいキーワードやトピック、話のおおまかな構成だけ頭に入れておく方法です。それらをつなぐ細かなつなぎの言葉などは、その場で補いながら伝えると自然な印象になります。
▼暗記せずにうまく答える方法
特に準備もせず、その場で取り繕うような回答をするのはもちろんNGです。
Q.面接で志望動機を聞かれなかった…
A.転職では聞かれないことも多い
中途採用ではスキル・経験が重視されるので、主に志望意欲を確かめるための質問である志望動機は聞かれないこともあるでしょう。職務経歴の説明や自己PRなどでスキル・経験を見極められていれば、面接官はあえて志望動機を聞かなくても、採用の可否を判断できるからです。
ただ、応募者が多い場合、スキル・経験に加えて志望意欲の高さが応募者の差別化になるため、志望動機を聞かれる傾向が強いでしょう。
また、第二新卒や未経験の転職においても、アピールできるスキル・経験が少ないことから、志望動機を聞くことで熱意や積極性を判断する企業が多いと言えます。
いずれにせよ、聞かれる頻度は高いので準備しておくべきでしょう。
志望動機の対策ができたら…
面接で話す志望動機のイメージがついたら、下記の記事から他の質問対策も進めましょう。よくある42個の質問と回答例を網羅しています。
特に聞かれる頻度の高い質問については、下記の記事でも詳しく解説しています。
また、入退室や服装など、当日のマナーなどは下記の「面接ガイド」で解説。すべての面接対策ができるので、是非ご確認ください。
この記事の監修者

キャリアアドバイザー
大熊 文人
株式会社クイック
転職支援を行うキャリアアドバイザー。これまでの担当業界は医療業界、建設業、不動産業、製造業、IT業界と多岐にわたる。豊富な支援実績から得た採用市場や業界の事情、転職活動の最適な進め方などの情報提供を積極的に行い、4,000人以上の求職者の転職成功に貢献。『ビズリーチ ヘッドハンター・オブ・ザ・イヤー』のメーカー部門で2018年度MVPを受賞。
