長さは何分?履歴書と同じ内容? 面接での志望動機の答え方・例文34選
転職の面接における定番質問の一つ、志望動機。
何をどう伝えればいいのかわからない方に向けて、面接での志望動機の答え方や例文を紹介します。
面接官は志望動機から意欲や熱意を見ている
面接官が志望動機を聞くのは、応募者に「この会社で長く働きたい」という意欲や熱意があるかを確認するためです。
そもそも志望動機とは、応募先のどんな部分に・どうして惹かれたのかを伝えるもの。
その内容が応募先の強みや特徴を正しくつかんでいること、そこに惹かれた背景・理由に明確な根拠や強い思いがあることが、大切なポイントになります。
それがきちんと伝わる志望動機であれば、面接官も「これだけ自社のことを調べ、強い思いがあれば、きっと入社後も長く働いてくれるだろう」と安心でき、好印象につなげることができるのです。
志望動機の考え方やポイントについて、くわしくは下記の記事で解説しています。
長さは何分?面接での志望動機の答え方
面接で志望動機を聞かれた際の答え方と、話すときのポイント・注意点を解説します。
面接での志望動機の答え方
面接での志望動機は、主に下記の3つの要素からできています。
この3つの要素を盛り込んだのが、下記の例文です。
〈面接での志望動機の例文〉
――なぜ当社を志望されたのですか?
- はい。お客様のニーズにとことん寄り添うスタンスに魅力を感じたからです。
- 現職では営業職として3年間勤めましたが、会社全体としてアプローチするお客様数を増やすことを重視した営業スタイルだったこともあり、お客様の気持ちやニーズに応えきれていないもどかしさがあり、転職を検討しました。
そこで、もっとひとりひとりのお客様に寄り添って仕事ができるところはないか、さまざまな企業を調べていたところ、御社の採用ホームページでインタビュー記事を見つけました。そのなかでクライアントごとにしっかりヒアリングを行い、その内容に応じて商品の味付けや加工方法を変えるなど、営業に限らず企画や生産も一丸となったサービスを提供されているとの記述を拝見し、非常に感銘を受けました。 - そうした顧客第一主義を掲げる御社であれば、私の営業職としての思いを実現できるとともに、これまで以上に本質的な課題解決に挑戦できるものと思い、志望した次第です。
(403字)
それぞれの要素について、一つずつくわしく見ていきましょう。
1)応募した理由
面接で志望動機を聞かれた場合、まずは結論をひと言で伝えましょう。
ひと言目から経緯や具体的なエピソードをダラダラと話してしまうと「話を端的にまとめる力がない」「聞く相手に配慮したコミュニケーションができない」として、面接官にマイナス印象を与えてしまいます。
具体的な言い方としては「御社の◯◯という点に惹かれたから」などと、応募先に惹かれたポイントを伝えるパターンや、「△△の経験を活かせると思ったから」などと、応募先にマッチする自分の経験・スキルを伝えるパターンなどがあります。
2)その背景やエピソード
結論として応募した理由をひと言で言い切ったら、次はその結論に至った経緯をくわしく説明します。
具体的には、転職を考えたきっかけや、転職によって叶えたいこと・大切にしたい価値観などを述べます。面接官に共感してもらいやすいよう、自分自身の経験に根ざした具体的なエピソードを語ることが大切です。
その上で、応募先に惹かれたポイントを伝え、それが転職で叶えたいことや、自分の経験・価値観とマッチすること・共通するポイントがあることを強調しましょう。
(例)
(転職のきっかけ)会社全体としてアプローチするお客様の数を増やすことを重視した営業スタイルで、お客様の気持ちやニーズに応えきれていないもどかしさがあった
↓だから…
(転職で叶えたいこと)もっとひとりひとりのお客様に寄り添える仕事がしたい
↓マッチする↑
(応募先に惹かれたポイント)クライアントごとにしっかりヒアリングを行い、その内容に応じて商品の味付けや加工方法を変えるなど、営業に限らず企画や生産も一丸となったサービスを提供している
3)入社後の意気込み
志望動機の最後は、(そのような御社なら)「◯◯に挑戦できると思い、志望した」「△△の経験を活かせると思い、志望した」などと、入社後にチャレンジしたいことや活かせる経験・スキルなどに軽く触れて締めます。
面接で志望動機を答えるときのポイント
面接で志望動機を答える際、注意したいことやおさえておきたいポイントを3つ紹介します。
話す長さは1~2分程度
面接で志望動機を聞かれた際、話す時間は1~2分程度におさめましょう。文字数にするとおおよそ300~600字になります。
それより短いと面接官に「あれ、もう終わり? あまり考えられていないのでは?」と拍子抜けされてしまいますし、長くなると「何が言いたいのかよくわからない…」などと、論理的思考力に欠ける印象を与えてしまうでしょう。
面接はスピーチではなく、あくまで対話をする場なので、一度にすべて伝えきろうと焦らなくても大丈夫です。
掘り下げの質問にも備える
面接官によっては、はじめに志望動機として話した内容について、気になる部分を掘り下げるように追加で質問をしてくるケースも。
追加の質問例としては、例えば下記のようなものが考えられます。どこを突っ込まれても慌てないよう、あわせて回答を準備しておきましょう。
〈追加で聞かれる質問の例〉
- 〈業務内容〉「アプローチするお客様数を増やすことを重視した営業スタイル」とは、具体的にどんなことをされていたのですか?
- 〈価値観が生まれたきっかけ〉具体的に、どんな場面で「お客様のお気持ちやニーズに応えきれていないもどかしさ」を感じられたのですか?
- 〈退職理由〉「本質的な課題解決がしたい」とのことですが、現職では叶わなかったのでしょうか?
…など
表情や身振り手振りも意識する
表情や身振り手振りを効果的に使うことで、志望動機に説得力を持たせ、面接官に強く印象づけることができます。
表情は笑顔が基本ですが、覚悟や意気込みの話をしているときは真面目・神妙な表情、失敗や挫折の経験について話すときは悲しそうな表情をするなど、話す内容によって表情を変えてみましょう。
また、話すときは両手を膝から離し、身振り手振りも自然に織り交ぜます。
面接での話し方に不安がある方は、下記の記事も参考にしてください。
コラム:面接の志望動機は履歴書と同じでOK?
面接で話す志望動機は、履歴書と同じ内容で問題ありません。
ただ、履歴書は文字数の都合上、記載できる情報量に限界があります。また、面接はあくまで人と人とが顔を合わせて対話を図る場です。
履歴書に書いた志望動機をそっくりそのまま暗唱してしまうと、棒読みになったり不自然な話し方になったりすることで、人柄や熱意が伝わらなくなってしまいます。
そうではなく、面接の志望動機では「◯◯ということがあり、そのとき非常に嬉しく感じまして…」などと感情の動きについて話したり、表情や身振り手振りによって話し方に緩急をつけたりするのがポイント。
面接官の心をより惹きつけることができるでしょう。
【職種別】志望動機の例文53選
この章では、職種・業界ごとの志望動機の例文やポイントをまとめています。自分に近いものを選んで確認してみましょう。
分類 | 職種 |
営業系 | |
事務系 | |
販売・接客系 | |
製造・技術系 | |
建築・土木・不動産系 | |
インフラ・物流系 | |
IT系 | |
経営・企画系 | |
コンサルティング系 | |
医療・看護・介護系 | |
保育・教育系 |
志望動機に関わる質問も要チェック!
志望動機では、応募先や業界について正しく理解できているか・自身の経験や価値観が応募先にマッチしているかが見られています。
それを確認するための質問は「なぜ当社を志望したのですか?」という、いわゆる志望動機と呼ばれるものだけに限りません。
場合によっては、下記のような質問をされることがあります。
〈志望動機に関連する質問の例〉
どんな質問をされたとしても、大事になるのは回答の一貫性です。応募先に惹かれているポイントや、それが自分の経験や価値観にマッチしていることをブラさず伝えるようにしましょう。
関連質問それぞれの回答の例文とポイントを解説します。
転職先を選ぶ上で重視するポイントを教えてください。
どんな条件や価値観で転職先を探しているのかを聞く質問では、その内容が応募先にマッチしているかどうかが見られています。
応募先についてしっかり調べた上で、応募先で重視されている価値観や人物像にマッチする内容を伝えましょう。
具体的な回答としてはまず、重視している条件や価値観をひと言で述べ、そのあとにその理由を軽く説明します。
給与や残業時間など、待遇面を挙げるのは減点対象になりやすいので、第一条件として伝えるのは避けましょう。
◎回答例
お客様第一の風土であることです。
営業職として商品をより多く売ることはもちろん大切ですが、本当にいいものだと満足してご購入いただくこと無しには、お客様と長く良好な関係を築いていけないと考えております。
ですので、何よりもお客様第一の風土であるかどうかを重視しております。
なぜ未経験の職種にチャレンジしようと思ったのでしょうか?
未経験職種に応募する場合によく聞かれるこの質問では、応募先のポジション・仕事内容についての理解度や、「その仕事で活躍していきたい」という熱意が見られています。
まずは現職(前職)で働く中で、何をきっかけに転職を考えたのか、転職をしてどんな仕事をしていきたいのかを述べます。
その上で、そう考えるようになった具体的なエピソードや経緯を伝えましょう。
◎回答例
前職での営業サポートの仕事を通じて、会社の売上にもっと直接的に関わりたい、お客様の課題解決のために自ら提案できるようになりたいと感じたからです。
これまでの主な業務内容は、資料作成やアポ取り、お客様との電話・メール対応でした。
日々の業務の中で、営業職の同僚が課題解決のための提案やチーム戦略の設定などを行う姿を見て、私自身も大きな裁量で働けるような仕事がしたいと考えるようになり、このたび未経験職種へのチャレンジを決意しました。
当社の商品やサービスに対してどのような印象を持っていますか?
企業研究や業界理解がどの程度できているのかを問われる質問です。まずは結論として企業の特徴や魅力を端的に述べた上で、そう考えた根拠や理由もあわせて伝えましょう。
「幼い頃からのファンである」といった個人的な感情ではなく、そう感じたのは応募先にどんな特徴や魅力があるからなのか、客観的な意見を伝えたほうが、企業に対する理解の深さを伝えられます。
◎回答例
コストパフォーマンスの高い商品をお客様に提供するために、徹底的なコストカットに取り組まれている印象です。
新聞の折込み広告やテレビCMなどの販促を控え、その分価格を下げることでお客様の一番のニーズである「安くて良い商品」を提供することを貫いている姿勢にとても感銘を受けております。
この業界は今後どのようになっていくと思いますか?
業界に対する理解度が問われる質問です。
はじめに業界の未来についての見解を一言で述べた上で、そう言える客観的な背景・事実を説明すると、説得力のある内容になるでしょう。
◎回答例(建設業界に転職する場合)
今後の建設業界は、効率化・省力化への対応がますます求められるようになると考えています。
この数年で、通信機能を備えた建設機器や建設現場を管理するためのアプリなど、現場と施工管理をつなぐシステムが急速に普及してきました。
今後は資料の紙出力や現場に出向いた写真撮影など、非効率な業務をシステムの導入により効率化していくことが、業界全体の成長のカギになると考えています。
ほかに受けている会社はありますか?
他社の選考状況に関する質問では、今後の選考スケジュールの参考にしたいという狙いとは別に、受けている企業に一貫性があるか=転職活動の軸にブレがないかも見られています。
具体的な選考状況を述べる前に、「○○業界を中心に」「◯◯の経験が積める職場を中心に」など、会社選びの軸を一言付け加えると、一貫性を持って転職活動を行っていることが伝わります。
◎回答例
- 前職の営業経験を活かすことができる人材サービスの業界を中心に、御社の他に4社ほど受けております。
- 私がこれまで大切にしてきた「顧客第一主義」を大切にされている企業を中心に、御社を含め3社の選考が進んでおります。
他に受けている企業がない場合は「いいえ、現在選考が進んでいるのは御社のみです」と答えればOKです。
そのほか、面接でよくある質問と回答例は、下記の記事で解説しています。
この記事の監修者
キャリアアドバイザー
大熊 文人
株式会社クイック
転職支援を行うキャリアアドバイザー。これまでの担当業界は医療業界、建設業、不動産業、製造業、IT業界と多岐にわたる。豊富な支援実績から得た採用市場や業界の事情、転職活動の最適な進め方などの情報提供を積極的に行い、4,000人以上の求職者の転職成功に貢献。『ビズリーチ ヘッドハンター・オブ・ザ・イヤー』のメーカー部門で2018年度MVPを受賞。