転職時のポイントも解説 フリーランスの履歴書・職務経歴書の書き方
フリーランスから一般企業への転職を考えている場合、「フリーランスの経歴をどのように履歴書に書けばいいかわからない」という人は多いですよね。
この記事では、フリーランスから一般企業へ転職する場合の履歴書・職務経歴書の書き方と、書くときのポイントについて解説します。
【項目別】フリーランスの履歴書の書き方
この章では、フリーランスの方が一般企業に転職する際の履歴書の書き方を項目別に解説します。
特に職歴欄の書き方が一般企業から転職する場合と異なるため、フリーランスならではの書き方を理解して履歴書を正しく記入するようにしましょう。
学歴・職歴
履歴書の「学歴・職歴」欄は、学歴と職歴をそれぞれ分けて記入する必要があります。
まず、1行目の中央に「学歴」と見出しを立て、「高校卒業」からの学歴を書いていきます。学歴の記入が完了したら、次は1行空けて行の中央に「職歴」と見出しを立ててから職歴を記入しましょう。
「職歴」はフリーランスとしてどのような働き方をしていたのかによって、記載方法が異なります。
それぞれのケースの書き方を解説します。
開業届を出していた場合
個人事業の開業届を出して働いていた場合、職歴の年月の欄には開業した年月を明記します。
具体的な内容を記載する欄には「個人事業主として開業」と続け、屋号があれば(屋号:〇〇)のようにカッコ書きします。その1行下で、どんな事業・職種だったのかを簡潔に説明しましょう。
さらに「事業売却したケース」と「廃業したケース」で、具体的な内容の書き方が異なります。それぞれの書き方について、見本とあわせて解説します。
▼事業売却したケース
事業売却したのであれば、事業売却した年月と売却先の社名がわかるように記載しましょう。
▼廃業したケース
廃業したのであれば、廃業した年月と一緒に「一身上の都合により廃業」と書きます。
開業届を出していない場合
個人事業の開業届を出さずにフリーランスとして働いていた場合、職歴の年月の欄には活動を始めた年月を明記します。
開業届を出していないため、具体的な内容を記載する欄には「開業」と記載せずに「個人事業主として活動」と書くようにしてください。続けて、自分がどんな仕事をしていたのか伝わるように、担当業務や職種などを記載します。
現在はフリーランスとして仕事を受けていない場合は、1行下に「一身上の都合により活動停止」と記載すればOKです。
クラウドソーシングサイトを利用していた場合
クラウドソーシングサイトなどで業務を受注してフリーランスとして活動していた場合、職歴の年月の欄にはクラウドソーシングサイトに登録した年月を書きましょう。
具体的な内容を記載する欄には「個人事業主としてクラウドソーシングサイトに登録」と記載しましょう。クラウドソーシングサイト名も記載します。
その1行下に、今までどんな仕事を受注したのかを具体的に記載します。
現在フリーランスとして業務を行っていない場合は、1行下に同じ年月日と「一身上の都合により活動停止」と続けましょう。
クラウドソーシングサイトを退会していることを伝えておきたい場合は、退会した年月と「クラウドソーシングを退会」と書いても良いでしょう。
家業の手伝いをしていた場合
実家の事業を手伝っていた場合は「法人化しているケース」と「法人化していないケース」で履歴書の職歴への記載方法が異なります。
▼法人化しているケース
実家が法人化している、すなわち会社として事業を営んでいる場合は、入社年月日と会社名+「入社」の後に「(家業)」と記入します。続けて、どのような職種で働いていたのかわかるといいでしょう。
すでに退職している場合は、最後の行に「一身上の都合により退職」と書けばOKです。
▼法人化していないケース
実家が法人化していない、すなわち個人事業主として運営している場合は、株式会社〇〇ではなく「家業である〇〇に従事」「〇〇として活動」と書きます。
退職しているのであれば、法人化している場合と同様に「一身上の都合により退職」とすれば問題ありません。
コラム:フリーランスでも「現在に至る」は書くべき?
転職活動中もフリーランスとして働いているのであれば、職歴を書き終えた最後の行に左寄せで「現在に至る」と記載しましょう。
ただし現在はフリーランスとして働いておらず、無職期間である場合は、活動を停止していることや退職していることが分かるように記載します。「現在に至る」は不要です。
なお、次の行に右寄せで「以上」と忘れずに書くようにしましょう。
志望動機
履歴書の「志望動機」を書く際は、一度フリーランスになったのに、なぜ再び一般企業で働きたいと思ったのかを明確にする必要があります。
一般企業で働きたいと思ったきっかけ・理由として、「フリーランスで稼ぐことが難しくなった」「収入が不安定」といったネガティブな表現は事実であってもなるべく避けるのが無難です。
「より自分のスキルが役立つ仕事がしたい」「チームワークを重視した仕事がしたい」のようなポジティブな理由を書いた方が、採用担当者には好印象に映るでしょう。
以下の例を参考にして、自分の志望動機を考えましょう。
【志望動機の例文】
フリーランスとしてクライアントからの指示をもとにシステム開発をしていましたが、携われる業務が断片的になってしまうケースが多く、顧客の役に立っている実感を持てませんでした。
そのため、顧客の要望を聞いた上で、最初から最後までしっかりと開発に関われる企業への転職を考え、開発業務だけでなく企画段階から制作に携われる貴社なら、それが実現できると思い、志望いたしました。
志望動機の考え方や書き方について、くわしくは下記の記事で解説してします。
【項目別】フリーランスの職務経歴書の書き方
転職活動では、履歴書とあわせて職務経歴書を提出することが一般的です。
ここでは、フリーランスの方が一般企業に転職する際の職務経歴書の書き方を項目別に解説します。
フリーランスだからこそ確認すべき、それぞれの記載内容のポイントをくわしく解説します。
職務要約
職務経歴書の「職務要約」では、これまで経験した業務や実績をまとめます。
フリーランスの場合、採用担当者がこれまでにどのような業務に携わってきたのかをイメージしにくいことから、一般企業からの転職と比べると実績やスキルがより重視される傾向があります。
そのため、どのような点で自分に強みがあるのかを説明し、実績を具体的にアピールするといいでしょう。
フリーランスに転向する前に一般企業で経験を積んでいたのであれば、その旨も合わせて書きます。
【例文】
新卒で入社したデザイン事務所で5年間経験を積んだ後、柔軟な働き方をしたいと考えてフリーランスのデザイナーに転向しました。
フリーランスとしては6年にわたり、製造や運送、教育業界などさまざまな業界のクライアントにWebデザインや印刷物のデザインを納めました。特にWebデザインにおいてはクライアントの意図を深く理解し、業界ごとの知識をイチからしっかりとインプットすることでターゲットに訴えかけるビジュアルを作り出す力が高く評価されてきました。
また、フリーランスとして複数のプロジェクトを同時進行させて働く中で、効率的なタスク管理とクライアントとの効果的なコミュニケーションを常に心掛け、品質と納期の両方を守ることに尽力しています。
▼職務要約の書き方についてくわしくは…
職務経歴
職務経歴書の「職務経歴」については、携わってきたクライアント企業の規模や関わった案件の内容を書くと、実績のアピールにつながりやすいでしょう。
フリーランスになる前に一般企業で働いていたのであれば、まずは働いていた企業の情報を職務経歴の項目に沿って記載します。その場合は、勤務している企業か、クライアント企業かを区別するために、企業名の後に(正社員として勤務)や(フリーランスとして受注)のように書くとわかりやすいでしょう。
フリーランスで担当していた案件のクライアントが大手企業の場合は、企業名を出すのがおすすめです。
企業の規模がイメージできるように「売上高・従業員数・資本金」の情報も提示しましょう。企業名を出せない場合は、企業の属する業界のみを出す形にして「主な業務」「実績」を記載します。
▼職務経歴の書き方についてくわしくは…
活かせる経験・資格・スキル
職務経歴書の「活かせる経験・資格・知識・スキル」は、職務経歴の中で紹介しきれなかった経験・スキル(能力)や、所持している資格・知識などをアピールする欄です。
以下の例を参考に、業務に関連する資格に絞って書きましょう。
資格や活かせる経験を記入する際は、以下のポイントも合わせてチェックしましょう。
【資格を書く際のポイント】
- 「資格名+級数・スコア+取得日」の3点を、箇条書きで記載
- 履歴書と職務経歴書で記入する資格は統一する
【活かせる経験・スキル・知識のポイント】
- 即戦力となる能力・経験や、入社後すぐに活かせる知識など(コミュニケーションスキルやPCスキルなど)を、箇条書きでわかりやすく伝える
▼活かせる経験・資格・知識・スキルの書き方についてくわしくは…
自己PR
職務経歴書の「自己PR」では、フリーランスとしての自分の経験やスキルが、転職先でどのように役立てられるかが伝わるように記入します。
具体的には、1)今までの仕事内容→2)アピールポイント→3)アピールポイントを裏付けるエピソード→4)入社後の抱負、の流れで書きましょう。
文字数は300〜400字ほどを目安にしてください。
【例文】
- インハウスデザイナーとして3年間、フリーランスのデザイナーとして5年間、さまざまなお客様のWebサイトデザインを手がけてきました。
- 特に快適に閲覧できるようにUIやUXの分野を専門的に学び、最新のトレンドを取り入れるなど、ユーザーが見やすく使いやすい配色やボタンデザインに反映させてきました。例えば、あるオンラインショップのサイトを一新する際には、商品の魅力をより効果的に伝えるためにトレンドであるモーションデザインを取り入れることを提案し、実際にデザインを作成しました。その結果、サイトを訪れる人が増え、コンバージョン率も30%程増加しました。
- この経験から、顧客の要望を聞いた上で、最新トレンドを取り入れつつ効果的なWebデザインを行う力が私にはあると言えます。貴社での仕事でこのスキルを活かし、お客様のWebサイトをさらに魅力的で実用的なものにしていきたいと考えています。
(387文字)
自己PRを書く際は、応募先の企業に一番注目してもらいたいものに話題を絞ることが重要です。応募先の企業にとって自分が最も貢献できる点は何かを検討して、自己PRを考えましょう。
▼職務経歴書の自己PRの書き方についてくわしくは…
フリーランスが履歴書・職務経歴書を書くときのポイント
フリーランスが履歴書・職務経歴書を書く際のポイントは、主に3つです。
それぞれのポイントについて、解説します。
携わってきた案件を具体的に説明する
フリーランスから一般企業に転職する場合は、携わってきた案件の説明を具体的に行うことが特に重要です。応募者がフリーランスで活動していた場合、採用担当者はどのくらいのスキル・経験があるのか判断しづらいからです。
そのため、今まで携わってきた案件を具体的に出したり、ポートフォリオを提出したりするなどして、スキルや経験を採用担当者にアピールする必要があります。
その際は、自分がアピールしたいスキル・経験よりも、応募先の企業に対して貢献できるスキル・経験を選んでアピールするといいでしょう。
協調性があることをアピールする
フリーランスが応募書類を作成するときは、協調性があることをアピールすることも大切です。
フリーランスは個人で仕事を受ける働き方だからこそ、クライアントのやり方をしっかりと理解し、決められた納期に従って、適宜連携しながら業務遂行する力が求められます。このため、自己PRなどでは他人と協力して業務を行った経験を伝えるのがおすすめです。
例えば、フリーランスのエンジニアとして活動した場合は「クライアントやプログラマーと積極的にコミュニケーションを取りながら、認識の齟齬が起こらないよう常に意識していました」など、協調性をアピールするエピソードを伝えるように心がけましょう。
嘘の経歴を記載しない
働いていない期間があっても、嘘の経歴を記載するのはNGです。
空白期間にフリーランスとして働いていると偽ったり、逆にフリーランスで働いていたのに職歴欄に書かなかったりすることはないようにしましょう。嘘がバレたときには信用を失うリスクがあります。
転職後に年末調整で源泉徴収票の提出が求められ、そこでバレる可能性もあるため、嘘をつかないことが大切です。
履歴書・職務経歴書が完成したら、面接に備えよう
履歴書・職務経歴書を書いた後は、面接に備えて準備をしましょう。
下記の記事では、面接での服装やよくある質問と回答例を紹介しています。希望する応募先から無事内定を取れるように、入念に準備しましょう。
この記事の執筆者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。