変形労働時間制
内容
変形労働時間制とは、労働基準法(昭和22年4月7日法律第49号)の第32条第2項から第5項にかけて規定されている制度のことです。労働時間の規制を1週間および1日の単位ではなく、週あたりの平均の労働時間で計算することを許可する旨が定められています。変形労働時間制は、月初月末においては、仕事量が多いが、月の半ばでは仕事は少ないというような企業でよく用いられる制度です。 変形労働時間制では、一定の条件のもとで一定の期間を単位期間として労働時間を計算します。その単位期間の中で平均した労働時間が法定労働時間を超えなければ時間外労働となりません。 変形労働時間制には、次の3つの種類があります。それぞれに導入するための条件があり、導入後の規制もそれぞれで異なっています。
- (1)1ヶ月単位での変形労働時間制
- (2)1年単位の変形労働時間制
- (3)1週間単位の非定型的変形制
1ヶ月単位での変形労働時間制を導入するためには、労働者と雇用者との間での協定または就業規則などによって導入することを定め労働基準監督署に届出なければなりません。また、1日8時間を超える日、1週40時間を超える週は就業規則などで特定しておく必要があります。なお、1ヶ月単位での変形労働時間制では、単位期間は1週間以上1ヶ月以下とされています。
1年単位の変形労働時間制の場合も、労働者と雇用者との間での協定を結ぶことが必要となります。この協定は労働基準監督署に届出され、労働者に知らせられなければなりません。協定では対象期間、対象期間での労働日および労働日ごとの労働時間などを取り決めます。
1年単位の変形労働時間制には限度があり、1日の労働時間は10時間までで1週52時間まで、連続して働かせることができるのは原則6日までとされています。
1週単位での非定型的変形制であっても、上記の2つの種類と同じように労働基準監督署に届け出をします。しかし対象となる事業所が労働者30人未満の小売業、旅館、飲食店などに限定されていることもあり、この1週単位での非定型的変形制はあまり利用されていません。