1990年代以降、金融業界での人材の動きとして「日系金融機関→外資系金融機関」という大きい流れがありました。より専門性を生かせる、年収などの待遇面でも有利、といった認識が一般にも広まっていたといえます。
しかし、ここにきて「外資系金融機関→日系金融機関」という動きが注目されるようになってきました。理由はいうまでもなく、サブプライムローン問題が発火点となった世界金融危機です。海外の金融機関が大きく傷つく中で、比較的財務面で健全といわれる日本の金融機関の評価が高まっていることが、転職市場にも影響を及ぼしているものと考えられます。
では、現在外資系金融機関への転職事情はどうなっているのでしょうか。結論から言いますと、外資系金融機関にも健全な企業はあり、引き続き採用も行っています。外資系金融では、例年年明けから新年度の採用計画が決まり、新たな求人も発生します。また、春先にはボーナス後に転職・退職する人の欠員を補充するための追加の求人も出てきます。ただし、現状では金融業界、及び世界経済の先行きが不透明なこともあり、採用数自体は絞られる可能性も考慮する必要はあるでしょう。これまで「複数名」の募集であったポジションが「1名のみ採用」になるといったケースが考えられます。
また、業界再編が進んでいる時期であるからこその求人も予想されます。たとえば株主が変更になった場合、あるいは営業チャネルの見直しを進める場合などには、新規のポジションが発生し、求人が増える傾向があります。
ただし、こうした求人情報は一般公募にはほとんど出てきません。人材紹介会社や一部のヘッドハンターなどを使って採用を行なうケースがほとんどです。従って、こうしたチャンスを生かして外資系金融機関でキャリアを生かしたいという方は、早期からの準備と人材紹介会社などを活用した情報収集が不可欠となるでしょう。その上でタイミングを待っていただくというのが効率的な転職活動といえると思います。
例年、年末年始や年度が改まるころから転職希望の方のご登録が増えてきますが、採用数が絞られる可能性がある現状では、それをもう一段階前倒しするくらいでもちょうどよい感じかもしれません。
外資系への転職でもう一つのポイントは、「英語力の問題」と感じられる方も多いかと思います。しかし、ある有名外資系金融機関では「半数の方が英語を話せない」など、マネージメントクラスを除いては、「能力重視、最低限の読み書きが出来れば良い、特に若手の方であれば入社後にキャッチアップ出来れば構わない」という採用基準の企業も多く出てきています。
1990年代に不良債権投資や企業再生ビジネスが盛んになったように、米国など海外の金融機関は不況期には不況期に対応した新しいビジネスモデルをつくりあげる力があります。新ビジネスの開発力では、日系金融機関よりも外資系金融機関にやはり一日の長があり、早い段階からそれに関わることができれば日本での先駆者として活躍できる可能性もあります。
また、こうした不況期に採用を行なうということは、そのポジションが非常に重要だということであり、同時に採用した人材に対する期待にも大きいものがあります。外資系企業とはいえ、いったん採用した人材を入れ替えるということは経費もかかりますし、ビジネスの機会損失にもなりますので、不況期ほど避けたいと考えます。つまり、この時期に採用されるということは優秀な人材と認められたということであり、自信を持って仕事に邁進していただけるものと思います。
世界最大級の金融機関の在日証券業務拠点 | |
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企業名 | 社名非公開 |
会社の特徴 | 政府・公共団体・金融機関・国際企業へ、戦略的アドバイス、インベストメント・バンキング業務、資産運用、プライベート・ エクイティ、e-ファイナンスなど世界のネットワークを駆使した極めて質の高い金融サービスを提供。 |
募集ポジション | ■ コーポレートプランニング ■ 投資銀行部門(アナリスト・アソシエイツ) |
勤務地 | 東京 |
大手英系銀行 | |
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企業名 | 社名非公開 |
会社の特徴 | 世界最大級の金融グループを形成する中核コマーシャルバンク |
募集ポジション | ■ M&Aアドバイザー ■ プライベートバンカー |
勤務地 | 東京 |
欧州系銀行 | |
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企業名 | 社名非公開 |
会社の特徴 | 投資銀行業務、セールス&トレーディング業務、リサーチ業務など、質の高い金融サービスを提供 |
募集ポジション | ■ 投資銀行部門 ■ コンプライアンス |
勤務地 | 東京 |
大手外資系投資銀行グループ | |
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企業名 | 社名非公開 |
会社の特徴 | 不動産投資、ホテル投資、企業再生、ゴルフ場投資、プライベート エクイティ投資など投資事業全般。 |
募集ポジション | ■ アセットマネージャー ■ PE投資 |
勤務地 | 東京 |