裁量労働制度
内容
裁量労働制度とは、己裁量と自己責任によって仕事の進め方や労働時間の計画を立て、各従業員が主体的に仕事を行う制度のことです。企業などの雇用者側は業務の進め方や労働時間の配分を指示せず、労働時間の長短にかかわらず一定の労働をしているとみなされます。そのため、裁量労働時間制度においては、「残業」という考え方がなく、長時間働いても残業手当などが支払われることはありません。
裁量労働時間制度は、出勤や退勤の時間を自由に設定することが出来ます。しかし、一定の成果を出すために裁量労働時間制度を採用していない時よりも長時間働かなくてはならない場合もあります。広報や調査・分析などの担当者や、デザイナー、編集者、新商品開発担当者などの労働時間と成果がかならずしも連動しないような職種が多くこの制度を取っています。
裁量労働時間制度を採用するためには、労働基準法(昭和22年4月7日法律第49号)第38条の3項および4項に定められている以下の4つの条件を満たす必要があります。
- (1) 事業の運営上重要な決定が行われる事業場が対象であること
- (2) 対象事業場に、労働者と雇用者との話し合いをするための労使委員会が設置されていること
- (3) 労使委員会がその基本条件について全員で合意していること
- (4) (3)の決議を所轄労働基準監督所長に届出していること
なお、残業手当が支払われない事で過剰な労働を労働者に押し付けるなど悪用される場合があり、過労死や過労自殺の原因の一つとなっています。