投資会社の転職トレンド

ーライル、リップルウッド、サーベラス、ローンスター。もしくは、アドバンテッジパートナーズ、ユニゾンキャピタル。さて、これらの社名のうち何社をご存知だったでしょうか。金融業界で働いている方でも、社名だけを聞いてピンとくるという方は案外少数派ではないかという気がします。
実は、これらがいわゆる「投資会社（または投資ファンド）」といわれている企業なのです。最初に挙げたのが北米を本拠地とし日本でも活躍が目立つ4社、それに続くのが日系で老舗といわれている代表的な2社です。近年ではこういったメジャーな投資会社以外にも、ベンチャー企業から既存企業へと投資対象を拡大しつつあるVCなど、数多くの企業が投資ビジネスに参入し、まさに“群雄割拠”といった状況になっています。 投資会社は、基本的に対企業のビジネスであり、一般の方々に名前を知られる必要がないこと、また企業買収などの際には悪役のように言われることもあり、知名度をアップさせるような派手な宣伝を行っていない場合がほとんどです。それと関連があるのかどうかは分かりませんが、人材募集の際にもあまり情報を表に出さない傾向があります。求人情報も公開しないことが多く、ヘッドハンターや人材紹介会社を利用して採用を行っているのが普通です。 では、投資会社はどのような人材を求めているのでしょうか。これは投資の業務が高度化、複雑化していることを受けて、年々ハイスペックになってきているようです。同業での経験者は別として、大まかにいえば、投資銀行業務で実績をお持ちの方、戦略系コンサルティングファーム経験者の方、業界問わず大手企業などでのマネジメント経験が豊富な方…などに可能性があります。 一方、投資会社への転職を希望される方の志向といいますと、単に出資するだけでなく、その企業に深く入り込み、経営者として関与し企業価値の向上を図っていきたい…という方が多いのではないでしょうか。実際に、近年では出資とともに人材も送り込み、経営に深く関わっていく、いわゆるハンズオン型投資を行なう投資会社が増える傾向にあります。そのため、企業価値の向上を実現できる人材として、投資銀行や戦略系コンサルティングファームの経験者、大手企業でのマネジメント経験者などに即戦力としての期待が集まっているといえるでしょう。

資会社からの求人を数多くいただくようになったのは2000年頃からでしょうか。当時はこの業界自体がよく知られていなかったこともあり、その募集条件の高度な内容に驚いていたのを覚えています。業務の複雑さもあり、一見近寄りがたいイメージの投資会社ですが、実際にその社員の皆さんに接してみると、意外にも物腰が柔らかく紳士的な方が多い業界であったりもします。トップクラスの優秀な人材ばかりを集めているので、当然といえば当然なのですが。

投資会社は一部の老舗企業を除けば、比較的歴史の浅い会社が多い業界です。そのため投資実績はあるもののイグジットはまだない…という例もよく見受けられます。しかし、想像以上にしっかりしたバックボーンを持ち、信頼できる運営を行なっている企業も数多くあります。

投資会社での仕事の進め方は、3〜4人程度のプロジェクトを組んでのチームプレイが多くなります。また、企業価値向上を目的とする業務ですので、出資先の役員や社員ともコミュニケーションをとり協調的に仕事を進めることも不可欠となります。このチームプレイという部分が、外資系投資銀行などとのカルチャーの違いかもしれません。