転職Q&A 面接の志望動機は履歴書と同じでいい?
面接でよく聞かれる質問のひとつに「志望動機」がありますが、既に履歴書でも書いています。
この場合、面接で話す志望動機は、履歴書と同じ内容で問題ないのでしょうか? それとも、違うことを言った方がいいのでしょうか?
Q.面接の志望動機は履歴書と同じでいい?
内容は同じでOK。ただし丸暗記はNG
面接で話す志望動機は、履歴書に書いたものと同じ内容で問題ありません。
ただし、書いた内容をそっくりそのまま暗唱するのではなく、履歴書には書ききれなかったことを肉付けしながら話すようにしましょう。
たとえ履歴書に志望動機を書いている場合でも、面接の場で改めて聞かれるケースは珍しくありません。
履歴書は文字数の都合上、記載できる情報量に限界があるため、面接官は応募者に口頭で改めて話してもらうことで、履歴書を読むだけではわからなかったことを確認しようとしているのです。
ゆえに、面接で志望動機を聞かれた場合は、転職を考えたきっかけや応募先に惹かれているポイント、活かせる経験・スキルなどについて、言葉を補いながらよりくわしく・具体的に伝えるようにしましょう。
具体的な肉付けの例としては、下記の通りです。
▼面接で志望動機を聞かれた際の肉付けの例
- 転職を考えたきっかけ
→「現職(前職)で以前、◯◯ということがあり、そのとき非常に嬉しく感じまして…」などと、経緯を詳細に説明したり、感情の動きに触れたりする
- 応募先に惹かれたポイント
→「御社のホームページにあった◯◯という記載を拝見して…」などと、具体的に言及する - 活かせる経験・スキル
→「現職(前職)では◯◯をした経験があるので、そこで得た△△のスキルや●●の知識を活かせるものと考えており…」などと、具体的に言及する
履歴書に書いた志望動機を面接用に調整すると、例えば下記のようになります。
〈履歴書の志望動機〉
お客様のニーズにとことん寄り添うスタンスに魅力を感じ、志望しました。
現職はアプローチするお客様数を増やすことを最重視した営業スタイルのため、お客様の気持ちやニーズに応えきれていないもどかしさがあり、ひとりひとりのお客様にもっと寄り添える仕事がしたいと考えるようになりました。
顧客第一主義を掲げ、ヒアリング内容をもとにクライアントごとに商品の味付けや加工方法を変えるなど、営業・企画・生産が一丸となってサービスを提供されている貴社であれば、営業職としての思いを実現できるとともに、これまで以上に本質的な課題解決に挑戦できるものと思い、非常に魅力を感じております。
(280文字)
↓面接用に調整すると…
〈面接の志望動機〉
――なぜ当社を志望されたのですか?
はい。お客様のニーズにとことん寄り添うスタンスに魅力を感じたからです。
現職では営業職を3年間勤めましたが、会社全体としてアプローチするお客様数を増やすことを重視した営業スタイルだったので、お客様の気持ちやニーズに応えきれていないもどかしさがあり、転職を検討しました。
そこで、ひとりひとりのお客様にもっと寄り添って仕事ができるところはないか、さまざまな企業を調べていたところ、御社の採用ホームページに掲載されているインタビュー記事を見つけました。
そのなかで、御社ではクライアントごとにしっかりヒアリングを行い、その内容に応じて商品の味付けや加工方法を変えるなど、営業に限らず企画や生産も一丸となったサービスを提供されているとの記述を拝見し、非常に感銘を受けました。
そうした顧客第一主義を掲げる御社であれば、「ひとりひとりのお客様に寄り添いたい」という私の営業職としての思いを実現できるとともに、これまで以上に本質的な課題解決に挑戦できるものと思い、志望した次第です。
(432文字)
履歴書と大きく異なる志望動機はNG
反対に、履歴書と面接で志望動機の内容を大きく変えてしまうのはNGです。
選考では志望動機に限らず、履歴書や職務経歴書への記載内容や面接での回答内容に「一貫性があること」も大事なポイント。
「違うことを言った方が、アピールポイントが増えていいのでは?」と考える気持ちもわかりますが、面接官からするとまったくの予想外の回答に戸惑ってしまう上に、「転職で叶えたいことや重視している条件が定まっていないのでは?」と感じられ、むしろ評価が悪くなる恐れがあります。
面接ではあくまで、履歴書に書いた内容をベースに回答を組み立てるようにしましょう。
面接で志望動機を伝えるときのポイント3つ
面接で志望動機を伝える際は、下記の3つのポイントもあわせておさえておくと、より好印象につながります。
面接では「端的に話をまとめる力」も見られているため、志望動機を話す時間は1分程度、長くても2分以内におさめるようにしましょう。
適度な肉付けはアピールにつながりますが、ダラダラ話しすぎては逆効果です。
また、面接はあくまで対話の場なので、答えた内容に何かしらのツッコミが入るのが一般的。「志望動機を答えたら次の質問」と思わず、関連質問にも備えておきましょう。
▼追加で聞かれる質問の例
- 業務内容
→「『アプローチするお客様数を増やすことを重視した営業スタイル』とは、具体的にどんなことをされていたのですか?」
- 価値観が生まれたきっかけ
→「具体的に、どんな場面で『お客様のお気持ちやニーズに応えきれていないもどかしさ』を感じられたのですか?」
- 退職理由
→「『本質的な課題解決がしたい』とのことですが、現職では叶わなかったのでしょうか?」
…など
さらに、人の印象は話し方や伝え方によっても大きく左右されます。面接では話す内容に応じて表情を変えたり、適宜身振り手振りも織り交ぜたりすることで、より説得力が増します。
3つのポイントや志望動機の関連質問について、くわしくは下記の記事で解説しています。
また、志望動機の書き方のコツやポイントなどについて、ゼロからおさらいしたい場合は下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
この記事の執筆者
ライター・編集者
金子 龍介
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。面接対策の記事を中心に、転職ノウハウやキャリアに関する記事を手がける。
「人前で話すことが苦手」という自らの課題意識を原動力に、同じように悩む方に向けて、声や表情、伝え方といったコミュニケーションにまつわるテーマにも注力している。